米長期金利の上昇が話題となっています。
「債券の価値が下がる」と金利は上昇しますが、現在米10年債利回りは昨年1月末以来の水準にまで上昇しています(債券の価値は低下)。
米コロナ追加対策法が成立、バイデン氏「ワクチン接種加速へ」
バイデン米大統領は11日、1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案に署名し、同法は成立した。米国の経済対策としては歴史的な規模で、バイデン大統領にとって就任後初の大きな成果となる。(11日ロイター)
バイデン政権は追加経済対策ということで1.9兆ドル規模の法案を可決、これによりインフレ期待が高まっており、結果長期金利も上昇しています。
期待インフレ率=名目金利-実質金利
デフレの国ニッポンからすると、うらやましい話でもあります。
一方で、上昇する金利は企業活動や市民生活の阻害要因にもなりかねず、企業の資金調達スケジュールや住宅ローン金利などに影響が出始めています。
金利負担は強い国よりも弱い国にとって影響が大きく、新興国経済への影響が懸念されます。
上記は中国、インド、欧州の代表的株価指数ですが、これまで上昇をけん引してきたインド株に陰りが見えます。
同様に、中国株も3カ月ぶり安値に沈んでいますが、欧米市場は高値更新中です。
米国を発端とした金利上昇は、まず新興国経済に影を落としています。
フラジャル・ファイブの一つトルコは、昨晩予想を上回る政策金利を公表しています(19.00%)。
それだけ「キャピタル・フライト」(資金離脱)が警戒されているのでしょう。
当サイトでは、昨年2月26日「新興国が弱い」を掲載。
コロナショックを経て、彼岸底へとつながりました。
今のところ新興国に目立つほどの下げはありませんが、ヒンデンブルグ・オーメン点灯中ということもありますので注意が必要です。
また、日本時間来週木曜日の夜には、南ア、メキシコ中銀がそれぞれ政策金利を発表します。
フラジャイルファイブの一角であるこれらの国々が、米金利上昇に対してどのような対応をするのか。
株価動向を含め、これらの国々に注目です。
▼フラジャイル・ファイブ(脆弱な5通貨) 米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小に伴って下落が進みやすい新興国通貨の総称。米モルガン・スタンレーが名付けた。ブラジルレアル、インドルピー、インドネシアルピア、トルコリラ、南アフリカランドの5通貨を指す。市場では世界経済の混乱要因として意識されている。高いインフレ率や経常収支の赤字で、成長資金を国外に頼る脆弱なマクロ経済構造を抱えている点で共通している。(日経新聞)
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谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員