先週末のダウは戦後最悪の雇用統計にも負けず455ドル上昇、経済活動再開期待や米中対立緩和期待が相場を押し上げました。
3月23日安値18,217ドルから比べると約6,000ドルほど戻していますが、4月29日高値24,764ドルには至っておりません。
4月29日が高かった理由はただひとつ、「レムデシビル」です。
米製薬大手ギリアドは、レムデシビル臨床試験で主要評価項目を達成したことを発表。
その日のうちにも米当局が緊急で承認するとの思惑から、ダウは532ドル上昇。
同時間帯にFOMCが開催されていましたが、やや慎重姿勢とも捉えられたパウエル会見を置き去りにし、株式市場は大きく上昇しました。
ダウが高値を記録したこの日、もう一つ注目すべき出来事が。
「ダウ&期待インフレ率逆行」が再び発生したことです。
ダウと期待インフレ率は連動しており、ダウの上昇はインフレ期待の高まりに他ならないと言えます。
しかし、期待インフレ率のピークは4月14日の1.29%。
中国貿易収支を受けた世界同時株高を記録した日が、インフレ期待のピークです。
株価上昇に対し、期待インフレ率がそこまで高まっていません。
株式市場の上昇とは裏腹に、市場はそこまでのインフレを予想していないことになります。
ちなみに、NY原油と比較するとどうなるか。
ダウを加えると、こんなかんじに…。
期待インフレ率ピーク後、ダウは横ばい、原油価格は上昇。
このまま期待インフレ率が低迷するなら、米実質金利は上昇します。
実質金利とは
実質金利とは、名目金利から予想される物価上昇率を差し引いたものである(Wikipediaより)
「実質金利=名目金利-期待インフレ率」で表すことができます。
この関係を解いたのがアメリカの経済学者フィッシャーさんであることから、「フィッシャー方程式」と呼ばれています。
NY金と実質金利は逆相関にあることから、次のようなことが言えます。
名目金利が低下する、期待インフレ率が上昇する→実質金利低下→NY金上昇
名目金利が上昇する、期待インフレ率が低下する→実質金利上昇→NY金下落
(「ダウ&期待インフレ率逆行」より)
明日は米国消費者物価指数の発表です。
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日本フィナンシャルセキュリティーズ㈱ 谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員