賭博堕天録カイジ 24億脱出編・第288話『再会』289話『捜索』感想 ~牙を剥くかつての同志~ | ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

ツェーイーメン ~福本漫画感想日記~

カイジ・アカギ・トネガワ等
福本伸行先生の漫画作品
について意見するブログ。
熱い三流を目指します!

お久しぶりですm(_ _ )m
御託は不要なので、さっそく前々回感想から。
 
 
カイジとマリオが廃屋から出ようという間際、チャンが奇跡的に帰還。
3人は涙ながらに再会の喜びを分かち合いました。
 
そして、チャンは大幅に遅れた訳を告白。
住所メモを紛失したことで、白木ほか類似の苗字をしらみ潰しに回っていた事を明かしました。
 
そして待たせていたタクシーへ料金を払いに戻ると・・・

夜を徹して協力して頂いただけでも有難いのに、さらに身なりを察して値引きするとは・・・。

 

30万円は今の3人には痛くも痒くもない金額ですが、運転手のおじさんにとって10万円の利益差は大きい。

損得に拘らない厚意・・・誰もが出来ることではありません。

人柄が表れていますね。

 

正規の30万円を支払うと、運転手のおじさんはいい稼ぎになったと笑顔で走り去って行きました。

 

 

思えば・・・広島のおじさんもチャンの不法投棄を知りつつ見逃しました。

騙し騙されが多いカイジですが、やはり世の中は善人によって成り立っているのですね。
 

 
一晩を共にしたタクシーを見送ったチャンは、傍にあった表札を確認。
それが白木ではなく臼木と知り愕然としますが、それでも辿り着けたのは・・・
やはり「あれ」のおかげでした。
当時(↓273話)は鼻で笑ったポスターですが・・・まさに恩人、いや恩ガエル。間の抜けたイラストが、今は神々しく見えるよ。

ちなみにポスター内の中原市表記が大田市へ変わっていますね。

 

チャンがコインロッカーを利用した駅名についても「新中原駅」から「志野駅」へ変更されましたし、

284話(↓)に登場した地図でも中原市は消えていました。

何の不都合があったのかは分かりませんが、中原市の存在を消して大田市へ統一したい意図が見えますね。
 
ただ、新中原駅については既に単行本で修正されることなく描かれています。
単行本は作品の完成版ですから、筋としては中原市表記に統一すべき。なぜ大田市に統一する方へ舵を切っているのか・・・今ひとつ編集部の意図が分からないな。
 
 
ともかく、3人は金を取りに廃屋へ戻りますが・・・
その時・・・!

怖!w 夜中にこれはビビるわ。
 
カイジを目撃した娘さんが、家族に相談したのでしょう。
揃って様子を窺っていました・・・(°д°;)
 
戦慄する3人ですが、すぐに立ち退くとして警察に連絡しないように懇願。
すると、どうやら穏便な一家らしく静かに引き下がってくれました・・・。
 
危なすぎる・・・
脱出編は本当に他人の善意に救われています。
 
これで廃屋を経由したトラック破棄は完了。
紆余曲折を経て予定から大幅に遅れはしましたが、何とか当初の目的を果たせましたね。
 
マリオは改めてタクシーを拾うと、廃屋へと案内。
3人は車内いっぱいに23億円を詰め込むと、新たな目的地へと走り出しました・・・。
とにもかくにも「基地」から離脱
脱出行
次の段階へ

 

あとはレンタカーを借りて、地方へと身を隠すだけ。
そこで現金を預金、あるいはモノや権利に変えるなどして身軽になった上で、チャンマリは帰国への準備を進めることになりますね。
 
 
逃走劇が新局面を迎えたところで、以下289話です。
 
こうして、3人が黒服のバリケードを突破してから5日目に突入。
 
右往左往しつつも、着実に前進していますが・・・
気になるのは帝愛側の動向。
 
3人の行方を見失って以降は全く描写されていませんでしたが、決して手をこまねいていた訳ではありません。
実は対応に動いていたのです。
捜索本部が創設される!
 
あら・・・本当に追っていたのか。
敵などおらず、カイジたちが一人相撲で追い込まれていただけという可能性も考えていました。
 
しかし・・・和也はカイジを許さなかったのか
命を救われたにも関わらず、恩を仇で返す形ですね。
あるいは問答無用で会長あたりが指示したのかな。
 
ところで、新設の部署ですから新たな人事が下りました。
それにはカイジを知る人材が適切。
 
よって黒崎の命によって抜擢されたのは・・・
帝愛と袂を分けたはずのこの男!
どぅえええ!?(*。◇。)
まさかの遠藤さん登場!w
これはサプライズですね・・・!
 
なぜか下の名前が間違ってますけど、
(言うまでもなく本来は勇次。↓破戒録7巻76話「旧友」より。)

編集部の怠慢については言い出せばキリがないので、激怒したいところですがスルーします。

恐らくトネガワの堂下浩次に引っ張られたのでしょう。

 

しかし福本先生は一度退場させたキャラクターを再登場させることは少ないだけに、ここで遠藤さんが来るとは全く予想できなかったな。
 
 
帝愛としては遠藤から7億の損害を受けていますが、今回はそれを大きく上回る24億円の奪還が懸かっています。
そのため背に腹は代えられず、悔恨を水に流したようです。
 
まあ帝愛側の思惑は理解できますね。
 
でも・・・正直見損なったよ、遠藤さん。
 
沼編では酷い暴利でカイジの取り分をさらったとはいえ、劣勢でもカイジを信じて金を貸したり、万が一の地下行きを受け入れてまで協力してくれた仲間じゃないですか。
 
ちょっとポストを貰って報酬が約束されただけで、簡単に身を翻して帝愛の駒になってしまうの・・・?
遠藤さんにとって、死線を越えてきたカイジとの絆はその程度の物だったの・・・?(´Д`;)
 
そんなはずない・・・認めたくないよ・・・。
 
 
しかし遠藤はやる気満々。
捜索部隊の80名を前に、今後の指針を語りだしました。
 
帝愛グループには1200名の社員がいますが、応援部隊を呼べるのは3人のおおよその居所が知れてから。
日本のどこに消えたか分からない状況ですから、一見して80名の捜索では絶望的に思えますね。
 
しかし、帝愛には「債務者」という全国に散らばった万単位の兵隊がいます。
有効活用しない手はありません。
 
そこで、彼等に3人の写真を配り、捜索を命令。
有力情報の提供者には借金の棒引きを約束することになりました。

おお・・・連中呼ばわりかよ・・・悲しい・・・。

 

そして、カイジたちの勝ち金は24億円=240kg。

当然クルマでの移動が基本となりますが、ナンバーの割れている軽トラはすぐに乗り捨てるのは確実。

 

よって、シッポを掴むには新たなクルマの入手ルートを張るのが手っ取り早いと考えたようです。

 

とはいえ盗難車は職質で一発アウトですから回避するはず。遠藤としては考慮に入れる必要がありません。

 

かといって購入するにも実印と印鑑証明書が必要。

既にカイジの住民登録がある練馬区と、チャンマリの住民登録がある豊島区の役所には黒服を張らせていました。

 

仮に代理人を立てるにしても、その為の書類が必要。窓口での会話に聞き耳を立てていれば代理人の申請だと分かります。

その者の後を追えば、とどのつまりカイジに行き着くわけです。

 

よって、カイジは購入もリスキーであると承知のはず。

恐らくは避けてくると読みました。

 

結局、残された手段は借りるのみ。

遠藤はレンタカー業界に従事している債務者に連絡を取り、情報が当たれば1000万円を出すように黒服へ指示しました。

 

そうすれば直接の言葉をかけずとも、債務者たちは躍起になってデータの入手に動くことでしょう。

クルマさえ特定されれば、情報は債務者に共有されます。
万の目が相手ですから、まさに確保は時間の問題となる事でしょう。
 
遠藤としては自画自賛の完璧な作戦でした。
 
 
しかし・・・それから4日が経過した現在、いまだにヒットは皆無。
レンタカーを借りた痕跡、あるいは目撃情報はおろか、怪しいという噂すら入ってきません。
 
この5日間、カイジたちは足踏みして行動に移せていないので当たり前なのですが、帝愛にとっては忽然と姿を消された印象。

 

つまり、カイジたちは意図せずにハマっていた迷走や停滞に救われてもいたのです( °д°)
 
 
さすがの遠藤も焦りを隠せません。
軽トラの目撃情報がない以上、既に僻地で破棄されたのは確実。
 
しかし購入とレンタカーの痕跡がないということは・・・
そのどちらでもない方法。
つまり知り合いから借りたと考えざるを得ません。
 
しかし個人間の貸し借りは足が付きませんから、帝愛としてはお手上げ。だからこそ、遠藤はハナから考慮に入れていませんでした。
 
そもそもカイジにクルマを貸す仲間など想像も付かない・・・
と、諦めかけた瞬間!
 
遠藤の脳裏にはとある人物が浮かびました。
カイジと遠藤の共通の知り合いという時点で、もうあの人しかいませんね。
 
まさか脱出編のクライマックスがカイジVS遠藤の構図に発展するとは夢にも思いませんでしたが、かつてない強敵ですね。
 
カイジを捕えようとする遠藤には失望感が甚だしいですが、目の離せない状況となりました。
290話感想に続きます。
 
 
・週刊ヤングマガジン№33(2018/07/30号)
・同№34(2018/08/06号)より。