学生の患者様をメインにやっている当院だが、その間隙をぬって(稀に)高齢者の方も来院される。

高齢者の痛みのの多くは、慢性的であり外傷は殆どない。

慢性ということは当然、健康保健外である。

 

この説明をすると大概の高齢者の方は帰る。

不正請求が横行しているこのエリア、他にいけばタダに近い低料金で電気治療とマッサージを受けれるので自費になりますなど言われたら当然だろう。

 

そんな中、数少ない高齢者の患者が来院した。

膝が痛いとの事だ。

電療をしながら、ある話題になった。

そう、膝と言えばというほど世間に浸透している、グルコサミンだ。

 

近年はCMも一時期に比べれば減少しているが、通販などまだまだ多い。

 

このグルコサミン。

簡単にザックリ云うと、たんぱく質由来の軟骨を構成する成分の1つ。

CM等では、これを定期的に経口摂取する事で損傷した軟骨を再生し、痛みを緩和させると言い、階段の上り降りが困難な高齢者がスイスイと同様の動作をしている。

 

人体に関節は、140とも200とも言われている。

骨と骨の間を関節と言っているが、膝や肩などの動く関節から頭蓋骨のように動かないが繋ぎ目としての関節まであれば確かに相当数存在する。

 

誰でも簡単なところから考えた場合、経口摂取し分解され腸管で体内に吸収されたグルコサミンが200もある関節の中からピンポイントで膝に吸着するのだろうか。

1/200、つまり0.005%だ。

0.005%の排出率のガチャを引き続ける苦痛・・・

更に、分解されてグルコサミンはたんぱく質と糖質になる。

そう、分解されてしまうのだ。

 

軟骨と骨は全く違う。

骨の損傷、骨折は何故修復されるのか。

それは、骨内には血管が存在するからだ。

人体の修復は血管・血流を介して行われるのは小学生でも知っている。

軟骨には血管がない、だから軟骨の損傷は自己修復できない

 

しかし、製造メーカーなどは効果があるという論文の提出をしている。

だから、健康補助食品等の許認可を受けている。

一方、効果なしとの論文も多い、むしろこちらの方が多い。

これは何が違うのか。

中立かどうか。

製造メーカーや販売に関わる業者が研究資金を出している状況で、普通に考えても効果ありませんとは言えないだろう。

利益相反だからだ。

 

とある薬科大学の論文が手元にある。

様々に医科学的根拠を基に、最後にこう書かれてある。

 

現段階では、グルコサミンとコンドロイチンによる痛みの改善効果は疑わしいと言える。(中略)プラセボ効果が大きく影響している。

 

信じる者は救われる。

病は気から。

 

これで良いならご愛飲下さい。

 

 

 

 

小顔矯正に係る業者やサロン等が、医学的根拠が無いにもかかわらず誇大広告をしたことにより「景品表示法」により措置命令を受けたニュースは記憶にも新しい。

このご時世、接(整)骨院では自費メニューと称し、小顔矯正や整体・骨盤矯正、脱毛やダイエットなど様々な施術を受けれる。

 

骨盤矯正や産後の骨盤矯正は特に人気のようで、むしろそちらを前面に押し出して経営している接(整)骨院も多い。

当院にも1年に数回は珍客が問い合わせてくる。

当院の性質上、絶対にやらない施術の一つだが。

 

この骨盤矯正

接(整)骨院や整体院のホームページやチラシなどを見ると、「治す」「矯正治療」などの文言を使用し、適応症状まで載せている。

 

例)

①骨盤の歪みを矯正(整え)し、患者様の痛みを根本から治します。

➁産後は骨盤が開き、それを放置すると股関節の痛みや尿漏れなど様々な症状が出てきますので、早めの矯正治療を当院ではお勧めしています。

③ギックリ腰や慢性腰痛、肩こりや脚の痛みは骨盤の歪みが原因です。

 

まず大前提として、骨盤矯正は治療ではなくリラクゼーションである。

治療的施術とは、医科学的な根拠に基づき、それが臨床上効果があるものをいう。

一方、骨盤矯正に代表される施術はその根拠にかける。

小顔矯正の業者が、医学的根拠に基づく資料の提出を出来なかった為に処分を受けた事をみれば明らかだ。

 

そもそもだが。

骨盤は腹腔内臓器を守る為に、強固に出来ており骨の厚みも相当だ。

交通事故などで骨盤を骨折した場合、大量出血となり生死に関わる。

その骨盤が「徒手」、人の手で押したり引いたり動かすこと自体不可能なのである。

 

施術前の確認でやられているのが、ベッドに仰向け(背臥位)になり脱力させつま先の位置のを診て右(左)の方が〇cm長いだの短いだの(下肢長)。

これが骨盤の歪みにイコールというもの驚きだ。

腰以下の、つまり下半身の関節を思い出してもらいたい。

股関節、膝関節、足関節(足首)と大きい主要関節が3つある。

下肢長差が生まれる原因が骨盤と断定できる要素は何もない。

股関節の筋の状態は?

膝関節に関わる筋の状態および既往歴は?(靭帯断裂等の重症の既往がある場合、関節の弛緩が発生する)

足関節も同様である。

 

骨盤は徒手では動かない、つまり矯正できない。

ならば何をやっているのか。

実際に施術を受けて痛みが緩和したという人もいるだろう。

 

結論から言えばストレッチだ。

腰部や股関節周囲には様々な筋が存在し、個人の生活スタイルに応じて使われ方も様々だ。

よく使われる筋は疲労し硬くなる。

硬くなれば動かないので当然ながらそれは左右差として現れる。

それをストレッチをして緩めているだけだ。

 

東京在住の婦人科の女医が

「骨盤矯正は意味がない」

と発言している。

 

やはり、東京在住の有名美容整形外科の院長も

「本当に医学を学んだ人は〇〇矯正はしない」

とも言っている。

 

これは医療(治療)としての側面からだ。

 

整体や骨盤矯正は、独自理論を展開する傾向にある。

医科学に基づいてと言っても、基づいてないなことが殆どだ。

自分で理解しているわけではなく、教わった時にテキストにそう書いてあったからそう説明しているだけだと私は思っている。

 

骨盤矯正すれば全ての整形外科的適応症は解決。

こんなのは、あり得ない。

ストレッチは重要であることには変わらない。

 

骨盤矯正をやっても構わないし、受けても構わない。

しかし、あくまで無資格施術。

リラクゼーションの一つとして、痛くない人が利用するということであろう。

 

 

 

病院と接(整)骨院の区別がついてないと前のブログで書いたことがあった。

巷では、医師も柔道整復師も「先生」と呼ばれる。

法律により、医師は様々な権利を認められているが柔道整復師は限定的である。

 

医療系国家資格はそれぞれ法律により業務範囲が決まっており、罰則規定もある。

 

接(整)骨院に通院された患者様において、で多くの方が経験されているであろう、湿布薬の取り扱いについてだ。

 

整形外科で処方される鎮痛剤(痛み止め)、これは医師の処方箋により薬局(薬剤師)が処方する。

接(整)骨院で使用される湿布薬(第2・3類医薬品)に関しても同様だ。

湿布薬は薬である。

鎮痛成分を経口摂取するか皮膚吸収するかの違いだけで基本的に効果は一緒だ。

 

湿布薬、ここが落とし穴になりやすい。

捻挫や肉離れなど、外傷の施術後に患者の患部に貼る事はこれに該当しない。

しかし、これを譲渡(貰う・買う)事は薬事法に抵触する違法行為だ。

 

 

こんな問い合わせをもらった。

 

患者:初診なんですけど、腰に違和感あるので診てほしいです。

当院:いいですよ。いつから痛みありますか?

患者:痛いというよりも、重いと言うか違和感なんです。1年ほど前から。

当院:ご来院頂ければ確認できますが、慢性の場合は保険は適応できませんので自費になります。

患者:薬は貰えますか?

当院:病院と接骨院は別物ですので薬は出せません。それは病院しかできません。

患者:湿布だけ貰う事できませんか?

当院:湿布も薬ですので無理です。

患者:もみほぐしとかしてもらえるのですか?

当院:もみほぐしは接(整)骨院の業務ではないので当院ではしません。

患者:薬も貰えない、揉んでも貰えない、何だったらやってくれるんですか(怒)

当院:薬も揉みも接骨院の仕事ではありません。接骨院の業務範囲で疼痛緩和をします。

患者:じゃあいいです。

 

まずは薬や湿布の処方、これは薬事法違反

揉みほぐし。

マッサージは本来、あん摩マッサージ師(国家資格)がおこなう手技(施術)である。

マッサージはあん摩マッサージ師と柔道整復師(一部)に認められたものである。

柔道整復師は行えるマッサージは長期固定による関節拘縮(固まる)の除去に施術できる。

つまり、「マッサージ」と使えるのはあん摩マッサージ師のみであり、街に溢れる無資格施術所におけるそれは違法である。

広告・看板の制限が強化されている背景から、類似語として考えられたのが「揉みほぐし」だ。

 

整体や骨盤矯正と同様で、揉みほぐしは無資格施術所の言葉であり、我々が使用するものではない。

無資格施術は医学的根拠に基づいたものではなく、慰安目的の為自己責任となる。

 

繰り返すが、湿布は薬である。

薬は薬剤師の業務、これを侵せば薬事法違反。