小顔矯正に係る業者やサロン等が、医学的根拠が無いにもかかわらず誇大広告をしたことにより「景品表示法」により措置命令を受けたニュースは記憶にも新しい。
このご時世、接(整)骨院では自費メニューと称し、小顔矯正や整体・骨盤矯正、脱毛やダイエットなど様々な施術を受けれる。
骨盤矯正や産後の骨盤矯正は特に人気のようで、むしろそちらを前面に押し出して経営している接(整)骨院も多い。
当院にも1年に数回は珍客が問い合わせてくる。
当院の性質上、絶対にやらない施術の一つだが。
この骨盤矯正。
接(整)骨院や整体院のホームページやチラシなどを見ると、「治す」や「矯正治療」などの文言を使用し、適応症状まで載せている。
例)
①骨盤の歪みを矯正(整え)し、患者様の痛みを根本から治します。
➁産後は骨盤が開き、それを放置すると股関節の痛みや尿漏れなど様々な症状が出てきますので、早めの矯正治療を当院ではお勧めしています。
③ギックリ腰や慢性腰痛、肩こりや脚の痛みは骨盤の歪みが原因です。
まず大前提として、骨盤矯正は治療ではなくリラクゼーションである。
治療的施術とは、医科学的な根拠に基づき、それが臨床上効果があるものをいう。
一方、骨盤矯正に代表される施術はその根拠にかける。
小顔矯正の業者が、医学的根拠に基づく資料の提出を出来なかった為に処分を受けた事をみれば明らかだ。
そもそもだが。
骨盤は腹腔内臓器を守る為に、強固に出来ており骨の厚みも相当だ。
交通事故などで骨盤を骨折した場合、大量出血となり生死に関わる。
その骨盤が「徒手」、人の手で押したり引いたり動かすこと自体不可能なのである。
施術前の確認でやられているのが、ベッドに仰向け(背臥位)になり脱力させつま先の位置のを診て右(左)の方が〇cm長いだの短いだの(下肢長)。
これが骨盤の歪みにイコールというもの驚きだ。
腰以下の、つまり下半身の関節を思い出してもらいたい。
股関節、膝関節、足関節(足首)と大きい主要関節が3つある。
下肢長差が生まれる原因が骨盤と断定できる要素は何もない。
股関節の筋の状態は?
膝関節に関わる筋の状態および既往歴は?(靭帯断裂等の重症の既往がある場合、関節の弛緩が発生する)
足関節も同様である。
骨盤は徒手では動かない、つまり矯正できない。
ならば何をやっているのか。
実際に施術を受けて痛みが緩和したという人もいるだろう。
結論から言えばストレッチだ。
腰部や股関節周囲には様々な筋が存在し、個人の生活スタイルに応じて使われ方も様々だ。
よく使われる筋は疲労し硬くなる。
硬くなれば動かないので当然ながらそれは左右差として現れる。
それをストレッチをして緩めているだけだ。
東京在住の婦人科の女医が
「骨盤矯正は意味がない」
と発言している。
やはり、東京在住の有名美容整形外科の院長も
「本当に医学を学んだ人は〇〇矯正はしない」
とも言っている。
これは医療(治療)としての側面からだ。
整体や骨盤矯正は、独自理論を展開する傾向にある。
医科学に基づいてと言っても、基づいてないなことが殆どだ。
自分で理解しているわけではなく、教わった時にテキストにそう書いてあったからそう説明しているだけだと私は思っている。
骨盤矯正すれば全ての整形外科的適応症は解決。
こんなのは、あり得ない。
ストレッチは重要であることには変わらない。
骨盤矯正をやっても構わないし、受けても構わない。
しかし、あくまで無資格施術。
リラクゼーションの一つとして、痛くない人が利用するということであろう。