「けいちょんフェス」への提言 | けいちょんチャンネル雑感

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【期間限定】けいちょんフェスティバル2023「けェスin愛知」supported by ワンラブ

 

『けェスin愛知』の本編が公開された。2時間を超える長尺で、ほぼほぼ全編公開されていると言って良いだろう。さて、ここからは激辛批評をしようと思うので、「『けェスin愛知』面白かった!」という方はお引取り願いたい。良い思い出は良い思い出のままにしておいたほうが幸せなこともある。

まず、100点満点で採点すると、豪雨の影響があったことを差し引いても20点ぐらいだろう。豪雨の影響がなければ10点ぐらいか。それほど、イベントとして低級だったというのが率直な感想だ。誤解しないでほしいのは、自分は出演者の中に嫌いな人は1人もいない。むしろ全員好きと言っていいだろう。それでも、イベントとしては20点なのだ。

言い方を変えれば、食材自体は良いが、出来上がった料理は不味い、といった表現が適している。鬼越トマホークによるアンケートにもあった通り、客層はおよそ半分が見取り図のファンだった。見取り図のファンからすれば、見取り図という食材それだけで大満足だし、須田亜香里にしても同様、もちろんけいちょんを可愛いと認識するファン
(「批判される運命にあるけいちょん」参照)からしても同様だろう。

この『けェス』というイベントは「お笑いと音楽の融合」というテーマで2021年11月に宮崎県で第1回が開催された。出演者はお笑い半分、音楽枠半分といった感じなのだが、どうも融合できていないと思うのだ。つまりお笑いと音楽が水と油のように混ざり合わず、料理で言うところの食べ合わせの悪い感じだけがそこにあるのだ。

フェスやイベントというのは、基本ジャンル縛りをかける。例えばヘビーメタルのバンドを集めてヘビーメタルが好きな客層をターゲッティングしたり、EDMならEDMが好きな客層に楽しんでもらえるような人選をする。けェスの場合は「お笑いと音楽」という2つのものすごい広い層をからごった煮にしているので、結局どういう層に向けているのかがわからない。自分は「
けいちょんチャンネルのけいちょんファミリーによるけいちょんチャンネルファンのためのお祭り」にすべきだとしたが(「平均再生回数=信頼の値」参照)、鬼越トマホークが述べていたように、とにかく客寄せの出演者を出したりするので、客層の半分がけいちょんファミリーではない部外者のファンだったりする。そうなるともう本末転倒、今回なら見取り図がメインのイベントだったほうが良かったんじゃないの?という話になってしまう。見取り図のファンの前で、けいちょんが何曲も「誰も知らん曲」を歌う。どう考えてもこれはイベントとしてキツいしゲスい。

逆によそのイベントに出てけ'zやさりけいをやるのはいいと思う。アウェーに乗り込んでいって、「俺たちを知ってください」とアピールするのは認知度が低いユニットの常套手段だ。「けいちょんフェス」と言う以上はホームである必要があって、せめて半分は「けいちょん」が客を集めるべきだ。そして、その会場においては半分以上が、け'zやさりけいの曲を”知っている”という空間を作る必要がある。「けいちょん」では客を集められないというのであれば、はっきり言って自分が顔のフェスやイベントをやる資格が無い。例えば、ですよ。が「ですよ。フェス」を開催したいが、集客できないから開催できないと嘆いていたとして、「じゃあやるなよ」、「フェスとか言う前に単独ライブできるようにしろよ」としか言いようがないのと一緒だ。

前置きが長くなったが、本編についてじっくり批評してみよう。以下がセットリストだ。


け'z - オープニング

【愛のメドレー】
け'z - 「哀愁BreakOut」
鈴木紗理奈 - 「シャレになんない」
ニューヨーク - 「愛されるより愛したい」
見取り図 - 「リンダリンダ」
ハンバーグ師匠 - 「ずっと好きだった」
ですよ。 - 「会いたかった」
西野未姫 - 「アイノカタチ」
須田亜香里 - 「パレオはエメラルド」

ニューヨーク ネタ
見取り図 ネタ

け'z - 「今をかけろ」、「オレンジのアナベル」

鬼越トマホーク ネタ
ハンバーグ師匠 ネタ
ですよ。 ネタ

さりけい - 「未来史上最年少」、「夢だらけ」

須田亜香里&西野未姫 - 「フライングゲット」、「ヘビーローテション」

コットンの告発コーナー(VTR)

ニューヨーク - 「キスして欲しい」
純翼 & HATEandTEARS - 「わたしは踊り子」
見取り図盛山&mckj - ラップバトル

け'z - 「シーサイドBBQ」

nobodyknows+ - 「ココロオドル」

け'z - 「めでてーな」

nobodyknows+ - 「ココロオドル」(アンコール)



まず、オープニングだが、かっこいい系の始まり方はどうかと思うのだ。けいちょんチャンネルファンが見たいものはやはりいつものやつである。まずはけいちょんが1人で出てきていつものオープニングを”アカペラで”歌うべきだ。オープニング後半の「けーいちょん!チャンーネルー!」のところからバンドが入ってくるというのならばまだわかるが、冒頭はやはり伴奏なしでやるべきだ。そしてオープニングが長い。内容を充実させるためには削れる部分は削るべきだ。オープニングなどササッと終わらせればいいのだ。

続いて「愛のメドレー」としてメドレーが始まる。まずは、”サザンっぽい”で知られる、け'zの「哀愁BreakOut」だ。オープニングからちょいちょいmckjがラップや煽りで参加しているのだが、これも不要だ。もともと「哀愁BreakOut」にはラップが入っていないのだから、余計なものを入れないほうがいい。けいちょんは気持ちよさそうに歌ってはいるが、やはりおじさんののど自慢大会の領域は超えておらず、1曲目にして「これ以上聴かされるのはキツい」という感覚になる。それと音楽フェスとして考えると音声が悪すぎる。せめて音声はステレオであってほしかった。

いきなりメドレーで始まるこの変な演出は一体なんなんだろうと考えて思い当たるのは、チャバネ松本がかつてニューヨークチャンネルに出たときに『夜もヒッパレ』『LOVE LOVE あいしてる』みたいな番組が作りたかったと言っていた。おそらくそういうイメージでやっているのだろう。これは面白いのだろうか。自分は正直面白いと感じられない。思い返せば『夜もヒッパレ』自体もあまり面白かったという記憶がない。『夜もヒッパレ』とは関係ないとしても、こういうお笑い芸人が歌を歌うみたいな企画の場合は、ちゃんとその場を仕切れる司会者のような人がいたほうがいいだろう。ただ歌うだけではなく、その歌をイジるという枠が欲しいのだ。

そんな謎のメドレーのあと、ネタコーナーが始まる。途中、け'zのライブになるが、これは鬼越トマホークの到着が遅れたことによる入れ替えだと思うのでやむを得ないだろう。ニューヨーク屋敷の「Zeebraが言いそうなことをみんなで言うのがラップ」という表現は面白かった。そして唯一黄色い歓声から始まったのが見取り図だ。鬼越トマホークは半ばアドリブ、小ネタの詰め合わせに見えたが個人的には一番面白かった。ハンバーグ師匠はそもそもネタが無いので、けいちょん、西野未姫とのトークになった。ですよ。のネタも独自の空間を作り出していて面白かった。というか、ですよ。に付き合う現場のお客さんがだいぶ優しいなと思った。

続いて、さりけいだが、「未来史上最年少」の後の紗理奈の発言「ニューヨークに『誰も知らん曲』と言われて自信失くしてた」は、反応として全く正しい。問題は、さりけいを知らない人を集めてさりけいをやることだ。「
鬼越トマホークが露わにした「けェス」の問題点」でも述べたが、さりけいはさりけい単独、あるいはけ'zと2マンで小さいライブハウスとかでやればいい。そこにニューヨークだとか、部外者を混ぜるから空間の歪みが生じるのであって、フェスを主催するのであれば前述の通り「ジャンル縛りをかける」つまり「”誰も知らん曲”を作ってるお笑い芸人、タレント」を集めるというやり方があってもいいだろう。「誰も知らん曲を作ってるお笑い芸人、タレント」というのは実は結構いて、例えばさまぁ~ずとふかわりょうで「ういんたぁ~す」というユニットを結成している。そういうYouTubeチャンネル発祥の”誰も知らん”ユニットを集めるというイベントは面白くなり得る。「さりけいなんて誰も知らん」と言われたら「ういんたぁ~すだって誰も知らんやろ」と言い返せる横一線の関係があるということが大事なのだ。

続いて、須田亜香里&西野未姫でAKBの曲を2曲やるのだが、他の出演者が後に言っていたようにけいちょんが本当に邪魔だ。せっかく2人がアイドルに振り切ってやっているのに、おっさんがウロウロしているのはまるでお花畑のうんこだ。前も言ったが「総合出演」というやりかたは良くないと思う。出るとこは出て、退くところは退くというのが節度というものであり、出しゃばりもほどほどにしなくてはいけない。

続いて、VTRによるコットンの告発コーナーがあるのだが、これについては別記事で取り上げてみたい。

告発コーナーのあとは、屋敷がギターを弾くニューヨークの「キスして欲しい」のカバー、純翼 & HATEandTEARS、見取り図盛山とmckjのラップバトルと続く。HATEandTEARSは自分たちの曲をやるのかと思っていたが、純翼と組まされて終了というのはなんだか可哀想だ。自分はMCバトル自体は好きだが、とろサーモン久保田などがやっている芸人のそれには興味がない。どうせやるならちゃんとトーナメントで優勝を争うぐらいじゃないと見る気がしない。とにかくけェスは突発的でゴールのない企画が多すぎるのだ。

そしてまたもやけ'zが登場し、ようやくnobodyknows+の出番になる。さすがプロのグループだけあって、それまでの茶番とは一線を画すパフォーマンスを見せた。問題は、nobodyknows+を呼びつけて、披露してもらったのが「ココロオドル」だけというのが信じられない。フェスのトリというからにはnobodyknows+もおそらく少なくとも20分ぐらいは枠をもらえるという想定だったに違いない。ひとつ言えることはけいちょんもチャバネ松本もいわゆる「フェス」というものをまるでわかっていないということだ。「フェス」と銘打ってやる以上はフェスがどういうものなのかを少し勉強したほうが良いと思う。そしてタイムテーブルというものを事前に発表すべきだ。どの出演者が何時から何分くらいやるのかというのをわかるようにしておくのもフェスの基本だ。nobodyknows+目当てのファンが、nobodyknows+のライブをこれしか見れなかったとがっかりしていてもおかしくない。しかし、事前にタイムテーブルを出しておけばまだ見に来た人の落胆を防ぐことはできる。「『ココロオドル』しかやらないのなら行かない」という選択肢も当然あったはずだ。

これで終了、と思いきやまたもやけ'zが出てくるのだ。「いい加減にしろよ!」と怒りたくなる。どうしてプロの後にド素人が出てこれるのかがわからない。

そして本当の最後にアンコールでまたnobodyknows+が出てくるのだが、「ココロオドル」の2回目である。同じのを2回もやらなくていいだろうという感じもあるが、nobodyknows+でなんとか音楽フェスらしさが出たと言えるだろう。

一つ一つ具体的に問題点を取り上げてみたが、けェスの問題点を3つに集約させてみたいと思う、

1.けいちょんの総合出演

「けいちょんフェス」だからと言ってけいちょんが出まくればいいわけではない。他の出演者の魅力を引き出すのも主催者の役目だ。総合出演することで魅力を引き出せるのであれば総合出演することを肯定することもやぶさかではないが、魅力を引き出すどころか邪魔をしているのだ。これはもう最低最悪な演出だ。それを推進なり容認している「総合演出」のチャバネ松本にも責任がある。自分の出番以外は楽屋に引っ込んでろと言える人が必要だ。

2.他人任せの集客

けいちょんフェスなのに客層の半分が見取り図ファンというのはキツい。これは見取り図や見取り図のファンが悪いのではなく、見取り図で集客してイベントを強引に成立させようとするその根性の卑しさが悪いのだ。逆に考えると、「見取り図フェス」だとして、そこでけ'zが5曲も歌うというのはおかしいし、そんなセットリストは認められないだろう。「けいちょんフェス」だからけ'zが5曲歌って何が悪い!とするのであれば、集客もけいちょんがするべきだ。見取り図ファンに席を奪われてはいけないのだ。

3.全体的な構成の悪さ

今回一番酷いのはやはりnobodyknows+への時間配分の少なさだろう。それ以外でもとにかく無駄が多いし、楽しみづらい順序なのだ。削れるところを削れば10~20分くらいは空きができる。その空き時間をnobodyknows+に譲ってもいいし、他のなにか楽しい企画にしてもいい。全体的な構成で言うと、オープニングはあってもいいが、「つかみはOK」でないといけないのだ。音楽の部分でいうと、nobodyknows+以外はほぼド素人なのだから、音楽ではつかめないと考えるべきだ。だとすると、まずはササッとオープニングを終わらせて出演者を全員登場させてトークするという構成のほうが良かっただろう。例えて言うならばHEYHEYHEYスタイルだ。出演者を1組ずつ紹介していってから本編に入るという流れのほうが良い。

大きく前編と後編に分けるなら、前編をお笑い、後編を音楽にするべきだっただろう。前編でプロのお笑いのネタが続くことでイベント自体が軌道に乗り、後編になるに従いド素人の音楽が入ってきても良いという心の余裕が客に生まれる。そして最後にプロのnobodyknows+で締めればいいのだ。


今年は8月にもけェスが2回あるという。果たして、なんの学習もせずに同じことを繰り返すのか、少しは自分たちの問題に気付けるのか、どうなることやら。ちなみに、今回のけェスin愛知では「怒らなくなってしまったけいちょん」が結構怒っていたが、面白かっただろうか。かなりの確率でどスベリボウズになってしまっていたように見えたのは私だけだろうか。