重松 清
セカンド・ライン―エッセイ百連発!

サブタイトルのとおり、

コラム、単行本の解説などが100本収録してある。

選りすぐりの100本なわけで、

真剣な文章ばかりで、読み応えがある。


先日読んだ本で、重松清という人はどういう人だろうと

思っていたので、それを知るのには絶好の本であった。

少し前の本なので、トピックは古いけど、

彼の選ぶトピックは社会問題的なものや、家族に関係するものが

多いので、今読んでも違和感はそれほどない。


文中ではフリーライターとしての姿勢が伝わってくる。

「お金を得るために文章を書いてきた。」

「商品として文章を書いてきた。」

このへんの職人気質が非常に好感をもった。

社会人の職業の一つとして、

モノ書きを選んでいるという姿勢が伝わってくる。

実際、「商品」としての文章は

読みやすかったり、しんどかったりはするけど、

そこに何らかの市場的な価値があるものと

なっていると思う。


この本の値段は1470円

合計の節約額は27937円になりました。




重松 清
ビタミンF

昨日、旧友と岡山駅で待ち合わせをするため、

久々に電車に乗った。


何か文庫本を買って読もうと出かけるときに決めていた。

学生時代はいつも鞄に何か入っていて、

池上線の中とか、自由が丘での乗り換えとかで、

ずっと読んでいた。


そんなことを思い出しながら本屋へ。

いろんなメディアで名前を聞いていたので

「重松 清」の本を買ってみようと思っていた。


というわけで、

始めてこの人の本を読んだが、

非常に読みやすく、

期待通りの満足感を得ることが出来た。


内容は「中途半端な」30代後半から40代くらいの会社員が

家庭の周りで起きる問題に向き合うという内容。

駅にたむろする不良を恐れる主人公、

子供がうけているいじめに悩む主人公などなど、

目をそむけづらい、身近にある風景。


自分がこれからさしかかろうとしている世代の話だから、

「自分なら」と色々イメージしたりしながら、

非常に興味深く読めた。



自分が父親になって、

こんなんでいいのかなあと思うことがよくある。

自分はこどものころによく近所のおじさんとか

マンションの管理人のおじさんとかに怒られていた。

先生も怖かった。


今は、大人が怖くない。

「傷つくから」と、子供の問題はデリケートに扱う。


別に、強行にやればいいというのではない。

ただ、「何故、昔と違うのだろう?」と考える。



いろいろと言いたいことが出てくるが、

なんとも話がまとまらない。

ただ、この本は、

そんな、少し目をそむけていたところに

もう一回焦点を合わせてくれたように思う。


少なくとも、子供の前で

夫婦がお互いの悪口は絶対に言わない方がいいと

あらためて思った。



また、重松清の本を読んでみたい。

図書館でも人気ですけど、待ちます。




余談ですが、昔を懐かしむシーンで何回か

「サザンオールスターズ」という単語が出てくるのが、

現役サザンファンとしては不思議な感慨がありました。

市川 拓司
世界中が雨だったら

「いま、会いにゆきます」の作者という予備知識しかなかった。

「いま、会いにゆきます」も読んでいない。

心が温まるような本という先入観をもって、

読み始めた。


短編が3つ収められているが、

予想とは全く違う展開だった。

どれも奇妙な死が絡んでいる。


日常と異常の間で、

生き様と死が描かれている。

主人公たちは世間になじめないタイプが多く、

心の闇を抱えている。


3つの物語には「救い」のようなものはない。

乾いたまま、話は終わる。


そう、「乾いた」という表現が非常にあう。

それは今の時代、今の若者と同じような。


恋も、死も、乾いている。


この本の値段は1365円。

あわせて26467円になりました

吉田 修一
7月24日通り

主人公は自意識過剰なひと。

わりとよくいるタイプの女性なのだろうか。

自分がスペシャルな人間ではない為に

必要以上に普通であろうとする。

スペシャルな人が気になる。

回りの人とのランク付けに必死で、

中の上でいたいと思う。


そんな感じなひとだろうか。


主人公には誇りがある。

それはとてもとても素敵な弟。

そして弟の彼女にケチをつける。


とても自分と似ているから。



小説には、自分では絶対真似できないような主人公の物語と

自分と似た主人公に共感しながら読み進める物語があるとするならば、

この本は、私にとってはあとの方だ。


物語時代は地方都市によくある話だが、

主人公の心の声、言い換えれば妄想の部分が

非常に細かく伝えられていて、

私は引き込まれていった。

気がつけば、主人公が自分を嫌うように、

少し嫌気がさしたりもしていた。



最後は、こんな主人公には珍しい前向きさがあって、良かった。

そう、人の気持ちは相対的なものではなくて、

絶対的なもののはずだから。。



この本の値段は1365円。

あわせて25102円になりました。

辻 仁成
代筆屋

筆者も「変な言い方だか、手紙は純然なるハンドメイド」と

あとがきで述べているように、手紙というメディアは

筆跡から封筒のセンスまで、送り手の色がでる。

情報を伝えることはメールでもできるけど、

だから手紙が無くなるということはないだろう。

「手紙が無くなってもいい」と思う人も

現代にはいるのかもしれないが、なんとも情緒がなくて、

私とは話が合わないだろう。


そんな、コピーすることが困難な手紙を代筆するという仕事を

著者はしていた。

大変難しい仕事だし、小説家の糧になったと思う。

いい代筆をするには感情移入をしないわけにはいかないから。


プライベートでハンドメイドな手紙を他人に依頼するということは

一般的には恥ずかしかったりもするものである。

当然、自分のプライベートをすべて著者に伝える必要がでるから。

この本に出てくる依頼人たちはそれでも代筆を依頼しにきている。

それだけ、切羽つまっていることが多いわけで、

必然的に興味深い話が多くなる。


筆者が代筆する手紙はやはりプロの作家が

書いているなあと思わせる。

いい意味で表現が大袈裟なときがあり、

わざとらしくは無い。

相手を見て、手紙を書く目的を強く意識して、

戦略的に書く。プロの仕事。


手紙を書くとき私は感情のおもむくままに

文章を書き付けてしまうことが多い。

そんな人には参考になるのではないだろうか。

違う書き方もあるんだなあと。


手紙から広がるストーリーは面白い。

この本は何回か読み返したくなるかなあと思う。


この本の値段は1365円。

あわせて23737円になりました。

本多 孝好
真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B

やっと下巻がきた。

結構間が空いたのに、

読み始めると前のストーリーがすぐ蘇ってきた。

面白い本だった。


この話、冷静に考えれば、

かなりありえない話の連続なのだが、

そこにリアリティを持たせてしまう、

クールな主人公(最後まで名前が出ない)

とその主人公の涙。


いろいろ書くとネタバレになってしまうのだが、

やはり、主人公の名前が最後まで出てこないというのが、

人間の抱える侘しさ、孤独感を醸し出しているんじゃないだろうか。

恋人には「あなた」、同僚、先輩には「お前」とか、

名前で呼ばれることがほとんど無い主人公。

自分はどうだろうか。

回りにもあまりそういう人はいないんじゃないだろうか。

名前で呼ばせることをはばからせるような距離感を作り出す主人公。

主人公のキャラクターが、

このありえない話を成立させている。


この本の値段は1260円。

あわせて22372円になりました。

浅井 宏純, 森本 和子
ニートといわれる人々 自分の子供をニートにさせない方法

自分も父親であるとわけで、子育てのこともたまには読まないといけないと思い、

この本を読んだ。


本を書くのが本職の人の本ではないので、

読み物としては、話があちこちに散ってしまっていて、

少し薄味な印象がある。

一つ一つの問題、解決法について

もう少し、掘り下げて書いた方がよかったと思う。


ただ、知識を得るという側面で見ると、

当然専門家の方の本なので、

色々と興味深いことが書いてあった。


特に、食育、早寝早起きなど規則正しい生活が大切で、

健全な精神は健全な心に宿るというのが共感できた。

本の中では寮生活を勧めていたが、

私は中学以降はとにかく体育会系の部活に入ることを勧めたい。

あまりくだらない言い訳を考えれないくらい

肉体的に疲れるという経験は

大切なことだと思う。


この本の値段は1600円(税込み)

あわせて21112円の節約になりました。

角田 光代
対岸の彼女

中学・高校の記憶、出来事に引きずられながら

今を生きる30代の女性の話。

主人公たちの高校時代の描写に

強いリアリティを感じるのは

同世代だからなのだろうか。

主婦の方の主人公の家庭には

もっとリアリティを感じ、うしろめたさを持ったりもする。


主人公の二人の女性はスーパーマンではなく、

どちらかといえば暗い影があるタイプ。

華やかなストーリーではないが、

話には引き込まれる。


主人公の心の声、独り言。

彼女達が考えることが、

学校を卒業し社会に出て、

少し慣れ始めたときに感じる、虚無感というのだろうか。

生活の中で多くの人が抱く想いを代弁しており、

つぎに答えを言ってくれることを

期待して読み進んでしまうのかもしれない。


私も良くも悪くも学生時代の記憶が

自分の行動に強く影響しているタイプだと思う。

この本が多くの人に読まれたということは、

みんなそうなのだろうか。


読んだ後に、人生について思いを巡らせていた。

この本は、そんな本だった。


この本の値段は1680円(税込み)

あわせて19512円の節約になりました。

本多 孝好
Fine days―恋愛小説

本屋で装丁が気になっていた。

恋愛小説が好きでもあるので、

読んでみようと思っていた。


4本の短編小説から成り立つ本。

すべての小説にSF的な要素が入っている。

村上春樹よりは理解しやすいSF的要素。


私のようなSF嫌いでも、

この本のように現実から自然に

流れていくように取り込まれていると、読みやすい。

SFというよりメルヘンなんだろうか。

(メルヘン以外のいい言葉が浮かばない‥)

結構、怖い話も入ってるけど。


4つの話とも、終わり方に救われた部分がある。

「眠りのための暖かな場所」は

学生の描写が懐かしくて、

つい、自分の昔見た風景を重ねていた。

老人の語りで進む「シェード」は

ストーリーはさほど珍しいわけではないんだけど、

期待通りの展開に、和まされた。


この本の値段は1680円(税込み)

あわせて17912円の節約になりました。

山崎 洋一郎
激刊!山崎


ロッキングオン、ロッキングオンJAPANに連載されている、

編集長山崎氏の11年間のコラムをまとめた本。

「雑誌にしては少し重く、評論集にすると少し軽すぎる」

と本人は自分の文章を分析しているが、

いやいや、十分重い文章である。


単純に圧倒的に字が多いのと、

「重い」というより、「想い」がすごく感じられるので、

簡単に読みすすめて、さらっと終わるというような本じゃない。

実際私は2週間もこの本と格闘していた。


11年前の私はサザンしか聞いていなくて、

ロッキングオンJAPANの存在も知らなかった頃であり、

歴史の教科書を読むかのような、

新鮮さもあった。

ロッキンオンになってからは、

批評的な要素が結構強くて、

自分は知らない音楽の側面を

教えてくれた。


作者は職業上の理由でもあるが、

一貫して批評的であろうとして生きている。

批評があるから物事は進んでいくという姿勢は、

自分に甘くなりがちな人間(特に私)は

見習わなくてはいけないと思った。


音楽のコメントをしてるブログにも生かしたい。

自分のテキストになる本かもしれない。

買おうかな。何回か読むと思うし。


この本の値段は1470円(税込み)

あわせて16232円の節約になりました。