辻 仁成
代筆屋

筆者も「変な言い方だか、手紙は純然なるハンドメイド」と

あとがきで述べているように、手紙というメディアは

筆跡から封筒のセンスまで、送り手の色がでる。

情報を伝えることはメールでもできるけど、

だから手紙が無くなるということはないだろう。

「手紙が無くなってもいい」と思う人も

現代にはいるのかもしれないが、なんとも情緒がなくて、

私とは話が合わないだろう。


そんな、コピーすることが困難な手紙を代筆するという仕事を

著者はしていた。

大変難しい仕事だし、小説家の糧になったと思う。

いい代筆をするには感情移入をしないわけにはいかないから。


プライベートでハンドメイドな手紙を他人に依頼するということは

一般的には恥ずかしかったりもするものである。

当然、自分のプライベートをすべて著者に伝える必要がでるから。

この本に出てくる依頼人たちはそれでも代筆を依頼しにきている。

それだけ、切羽つまっていることが多いわけで、

必然的に興味深い話が多くなる。


筆者が代筆する手紙はやはりプロの作家が

書いているなあと思わせる。

いい意味で表現が大袈裟なときがあり、

わざとらしくは無い。

相手を見て、手紙を書く目的を強く意識して、

戦略的に書く。プロの仕事。


手紙を書くとき私は感情のおもむくままに

文章を書き付けてしまうことが多い。

そんな人には参考になるのではないだろうか。

違う書き方もあるんだなあと。


手紙から広がるストーリーは面白い。

この本は何回か読み返したくなるかなあと思う。


この本の値段は1365円。

あわせて23737円になりました。