もうすぐ花組の大千秋楽が近づいてきました。いろいろ気ぜわしい中、先に月組トップコンビが大劇場を卒業しました。
千秋楽、芝居ショーともに研ぎ澄まされ組長が「トップコンビの集大成」と言っていたのも納得できるクオリティーの高さでした。
さて、意外だったというかびっくりしたのはサヨナラショーです。サヨナラショーと言えばトップスターが作家と相談してセトリなどを決めるもの、トップの思いやカラーが出ます。
驚いたことはトップコンビ以外の退団者5名の場面が2つ、2曲あったことです。ありがちなのが銀橋を退団者まとめて歌いながら過ぎていったり…と一場面だけなのが普通の演出ですから今回かなりの厚遇です。普段あまり出番のない下級生達嬉しかったでしょうね。
そしてラストも驚きの終わり方でしたね。たいていトップスター1人か組子総出の演出ですが、今回は海乃美月様との2人のキスシーンで静かに幕が降りました。
オープニングも台詞から始まりましたし、芝居の月組らしいちょっとストーリーあるサヨナラショーだなと思いました。
長年様々なサヨナラショーを観てきましたけどあのスタイルは初めてでした。
記者会見や以前のコメントを読みましたが、サヨナラショーをするにあたって真っ先に思い浮かんだことは下級生達にCompass of Your Heartを歌って欲しいということ。歌詞も合っているしいいなと思ったそうです。そしてラストは2人で終えたいと思い思い出深い曲を選んだそうです。「DEATH TAKES A HOLIDAY」、海乃美月様のソロもこの作品からでしたね。音域は低いのだけどまるでソプラノ で歌っているかのように聞こえる(素人なら高音域歌っているのと勘違いしそうな)メロディーの美しい曲です。歌が苦手で高音が出ない海ちゃんへの配慮かなと思いました。
月城さんは、月城かなとサヨナラショーだけど相手役海乃さんのサヨナラショーでもあるので最後は2人で終えたいと考えたそうです。
月城さんはよく「トップの自分だけが良く見えてはいけない。みんなが良く見えなければ意味がない。」とおっしゃっていました。
月組誰1人が欠けても舞台は成り立たない、みんな仲良く長屋のような組(川霧の橋にかけて)にしたいとプレお披露目でも言ってました。
宝塚と言えば年功序列、男役至上主義です。トップがいわば王。トップを引き立てるために動くのが他のスターのいかたです。
トップの自分だけでなく下級生や相手役にもスポットを…というポリシーは男女平等、ハラスメントにうるさい現代にとてもよく合った考え方です。
95期というと皆仲良しな期。
(教え惜しみをしたり誰かの足を引っ張ったり、自分だけが良いのではなく)一人一人、上級生から下級生までみんなが輝けるようにというのが月城かなとさんでした。それって自分に自信や責任がないと出来ないことですから素晴らしい人格者だなと思います。
今回のショー作品でも次世代に続く人達に活躍の場をあげて欲しいとのことでした。
長年続いた月組のゴタゴタイメージや不人気を払拭し、個人主義からファミリー感ある組へと導いた月城かなと様。
昨今社会からの目が厳しい宝塚です。
クレバーな彼女からだからこそ宝塚の良くない古いところを静かに出来る範囲で変えたかったように思います。
東京公演楽しみにしています。