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FUKUOKA国際映画祭とは独断と偏見で
感銘を受けリスペクトしてやまない映画を表彰し
その映画の素晴らしさを兎に角広く知ってもらいたいと願う
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勝手にFUKUOKA国際映画祭とは…



感銘を受けリスペクトしてやまない映画を独断と偏見で表彰し、

その映画の素晴らしさを兎に角、広く知ってもらいたいと願う…

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今回の受賞は…


目の前が真っ白になり何も見えなくなる


原因不明の病気が伝染する恐怖を描いた



『ブラインドネス』。



この作品、いわゆる今流行りのパンデミック映画と


思われがちだが…そうではない!



ポルトガルのノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴの名作『白の闇』


『シティ・オブ・ゴッド』で一躍、世界に名をはせた


ブラジルの巨匠フェルナンド・メイレレスが映画化したという…



他のパンデミック映画とは明らかに一線をかくす作品だ。


(とは言ってもレンタル店ではパニックコーナーに置かれているが)




さあ。まず、ポルトガルのノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴから


語らせていただきたい。




世界中に数多くのノーベル文学賞作家がいるが…


この人ほど 『唯一無二の文学表現』 という言葉が


似合う人はいないだろう。


文章内には口語文体の印『』が無かったり、

 
登場人物名はジョンなどではなく、医者の男やその妻など


人物名を使わず寓話的表現を用いたり、



とにかく、その文学表現は独特だ。


(その反面、読みづらいため日本語に翻訳されている作品も少ない)



その唯一無二の文章表現をするジョゼ・サラマーゴだから



当然、自分の作品の映画化など感嘆には許可はしない。


今まで数多くの映画化の依頼をすべて断ってきた。



そのジョゼ・サラマーゴから映画化の許可を勝ち取った監督が


ブラジルの鬼才フェルナンド・メイレレスだ。



フェルナンド・メイレレスと言っても聞き覚えが無い人も多いだろうが…


ブラジル版の『仁義なき闘い』と言われる


『シティ・オブ・ゴッド』の監督と言えば…


ピンとくる映画好きの人も多いだろう。




『シティ・オブ・ゴッド』では…


『仁義なき闘い』の監督深作欣二に似た


手持ちカメラによる臨場感の

ある手法を使い、


『人間の業や悪』を表現する監督として


フェルナンド・メイレレスは世界中に名をはせた。



しかし、本作『ブラインドネス』では、


手持ちカメラによる臨場感は少し控えめで、
(少し引き目のカットが多い)


人間性を描く事に終始している。



これが『シティ・オブ・ゴッド』のような演出だったら


ジョゼ・サラマーゴの世界観は台無しになってしまっただろう。


実際『ブラインドネス』の原作『白の闇』は


パニック作品としての評価より…


『蠅の王』のような集団による人間性や権威性を表現した作品としての


評価の方が圧倒的に高い。



原作の作者も監督も大好きなので…


いろいろ書いてしまったが…


日本の俳優:伊勢谷友介も出ているし


パニック映画だが、グロイシーンもあまり無いため


比較的見やすい作品なので…


(原作も含めて)
ゼヒ!見てホシイ!


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今回の受賞は…


台湾が誇る世界的名監督ホウ・シャオシェンの「非情城市」。




ホウ・シャオシェン監督の事を


日本では知らない人も多いかもしれないが…

映画賞を数々受賞している

世界的に有名な映画監督だ。




2004年公開された


一青窈、浅野忠信 主演の「珈琲時光」の監督といえば

ピンとくる映画好きの人も多いかもしれない。




そんなホウ・シャオシェン監督の作品の中でも


本作「非情城市」は、監督の出世作として有名だ。




「非情城市」の舞台は太平洋戦争終戦直後の台湾。


船問屋を営む林家には四人の兄弟がいたが、


日本の統治が終わり、台湾に激動の時代が訪れる中、


兄弟たちは、その逃れられない時代の渦に巻き込まれていく。


(実際に起きた政府による弾圧二・二八事件を描いている)




これだけ読むと、激しい作品に思うかもしれないが


ホウ・シャオシェン監督は、

あえて引き目のカットを多くしたり、

ワンカットを長まわししたりすることで、

映像にユルさを、あえて残し、

映像のリアリティと作品のテーマとのギャップを

見事に表現している。

(うーん。スゴイ。)




激動の時代と映像のユルさ。


二つの時間軸が存在するかのような


錯覚を覚えるかのような不思議な映画。




さらに中国と日本を融合したような独特な台湾の文化や、

アジアの名優トニー・レオンも出演し、

日本人にも親しみやすい作品でもあるので



ゼヒ!見てほしい!



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【賞 評(ここが好き)】


今回の受賞は…

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督の

『少年と自転車』


ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟は


ベルギー出身で『ロゼッタ』や『ある子供』など

世界的に評価の高い作品を制作している監督だ。


この兄弟監督の作品の特徴をあげるとすれば…


大きく2つだろう!



1つは社会の深部に生きる貧しい人間たちに


クローズアップしている点。


それは…時にトレーラーで暮らす貧しい少女だったり、


我が子を売ってしまう若いカップルであったり、


崖っぷちにいる人間たちを常に描いている。

これはジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟自身が

本格的に映画を撮り始めるまでの数十年間、


労働者階級が多く住む団地に暮らしながら、



ドキュメンタリー映像を制作してきた事が影響している。





もう1つはドキュメンタリータッチで撮影する点。


『ロゼッタ』や『ある子供』などの作品にも共通しているのだが、


カメラは手持ちでドキュメンタリーに近いワークで撮影している。


これにより…実際のリアル感を出し、


物語に対する感情移入を促している。




さて…本作『少年と自転車』だが…


親から見捨てられ、施設にあずけられていた少年シリルと


引き取ってもらった里親の女性サマンサとの心の絆を描いている。


一見、世界中どこでも作られていそうな、感動狙いのストーリーだが…


流石…ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟監督。



施設にあずけられいた少年の善と悪、



そして里親の女性サマンサの必ずしも善だけではない部分も表現し、


リアルで見事な作品になっている。


もちろん!ドキュメンタリータッチの撮影法も健在!




『弱き者にこそ人は惹きつけられる!』



是非…観てほしい!







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今回の受賞は…

今…世界が注目するイランの天才監督

アスガル・ファルハーディーの出世作

『彼女が消えた浜辺』


世界が注目と言っても…

ピンと来ない人も多いかもしれないが…

現在ミニシアターで大ヒット上映中の

『別離』の監督と言ったら…

納得する映画好きの人も多いだろう。


アスガル・ファルハーディー監督は

まだ40歳という若い監督だが…

『今後10年!20年!

世界の映画賞の常連になるのは間違いない』

と断言してもいいくらいの天才映画監督だ!


本作『彼女が消えた浜辺』もとにかく素晴らしい!

(ちなみに現在上映中の『別離』も個人的に

今年観た映画の中ではダントツNo.1!)


ストーリーは…

あるイラン人ファミリーがバカンスで訪れた別荘に

断られ海辺の古い別荘に宿泊するところから始まる。


『彼女が消えた浜辺』というタイトルを聞くと

サスペンスやホラー映画を想像しがちだが…

とんでもない…

人間の心底を描いた群像劇だ!


しかも…誰にでも起こりそうな事を

予想がつかないストーリー展開で

進行していく


これが脚本もてがける

アスガル・ファルハーディー監督の

真骨頂だろう。


更に物語のほとんどが

海辺の別荘で展開されるのだが…

タルい展開ではなく…

むしろ…そのストーリーにグイグイ引き込まれる


そして

映画中盤から後半にかけての

ドラマティックな展開と結末…


とにかく…素晴らしい作品。


現在公開中の『別離』では…

イラン人でありながら…

反イラン感情が高い

アメリカアカデミー賞で外国語映画賞も

受賞するという快挙も成し遂げた

アスガル・ファルハーディー監督。


イラン映画を観たことがない人でも

十分楽しめる作品なので…


是非…観てほしい!



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さる5月29日一人の映画監督が

この世を去った。

その監督の名は新藤兼人!

100歳の現役監督としても高名だった同監督だが…

その生涯で監督した作品は…40作以上!

更に多くの監督に脚本も提供しており…

その数…80作以上!


その新藤兼人監督の数ある作品の中でも

レジェンドとして今も語られている作品。

それが『裸の島』だ!


『裸の島』は新藤監督48歳の作品。

実はこの作品、新藤監督が作った映画製作会社の

解散記念で作った作品!


倒産寸前の映画会社の最後の作品として企画し

キャスト2人・スタッフ11人で瀬戸内海ロケを敢行。

撮影期間1ヶ月でこの映画をわずか500万円

低予算で作り上げた。


しかも…『裸の島』は台詞が一切ない!


瀬戸内海に実在する小島に暮らす

家族4人の姿を描いているのだが…


その島は電気もガスも水道もなく

毎日水を汲みに小船で出かけ…

ただ黙々と島の作物に水を与えて暮らしている。

(映画序盤はひたすらこの映像が出てくる)


しかし…

台詞がない事が逆にリアリティを増し、

島の暮らしの過酷さを伝えている。


映画中盤から後半にかけては

台詞が無いにも関わらずドラマティックな展開で

観ている人を惹きつける。


とにかく…素晴らしい作品。


しかも…

この作品、完成後…世界中の映画賞を受賞し、

最終的に世界62ヶ国に作品の上映権を売ることで、

なんと!それまでの借金を返済し、

倒産危機を免れるという大逆転を演じた!


とにかく日本映画の中でも

いろいろな伝説があり語り継がれている名作!


当然…新藤兼人監督と出演者だった妻乙羽信子の

思い入れも強く…

18年前に亡くなった乙羽信子の遺骨は

裸の島のロケ地だった瀬戸内海に散骨されている。

そして…先日亡くなった新藤監督の遺骨も…

同じ海に散骨された。


保守層に嫌われるような作品を多く制作したため

一般の人からあまり知られていない作品も多いが

素晴らしい作品を数多く制作した日本を代表する

映画監督の名作なので…


是非…観てほしい!







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今回の受賞は…

現在、世界最高齢!

ポルトガルの現役映画監督

マノエル・デ・オリヴェイラ

100歳の時に制作した異色作

『ブロンド少女は過激に美しく』。


監督マノエル・デ・オリヴェイラは

現在103歳という、

その年齢ばかりが注目されるが

その異色の経歴も注目に値する!


1931年(戦前!)に初映画作品を監督し

2作品を制作した後、

30年近く実家の葡萄園を営み…

その後、60歳を過ぎて再び映画を作り始め…

75歳を過ぎてからは毎年1本という

驚異的なペースで映画を作っている!

(なんと!黒澤明よりも年上!)


年齢と経歴ばかりでなく…

実力も素晴らしい!

2007年 カンヌ国際映画祭60周年記念で

制作されたオムニバス映画では

世界的に有名な監督36人の1人に

選ばれている。

(ちなみに日本代表は北野武だった)


さて…

本作『ブロンド少女は過激に美しく』

だが…


タイトルだけ聞くと…

安っぽいアメリカコメディ映画のようだが…

とんでもない!

100歳の監督が作ったとは思えない

挑戦的な作品に仕上がっている。


物語は…

リスボン発の長距離列車から始まる。

見知らぬ婦人と隣あわせたマカリオは

『妻にも友にも言えないような話は、

見知らぬ人に話すべし・・・』と

自分に起きた衝撃的な事件を語り始める。

それは美しいブロンド少女に恋をした話だった。


序盤は…

古典的なラブストーリーの印象を受けるが…

徐々に物語に引き込まれ


最後のオチを見終わった後は…

『え…』という強烈で空虚な感情!


とにかく100歳で

よくこんなオチの映画を作ろうと思うところに

感心してしまう


クリエイティブな仕事をする人にとって

実年齢より感覚年齢が重要だという事を

再認識させられ…

創作意欲が湧いてくる作品!


残念ながらDVDは出ていない。

そのため…気軽に観るチャンスは少ないが…

ミニシアターなどで珠に上映する事もあるので…


是非…観てほしい!


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今回の受賞は…

日本を代表するノーベル文学賞作家

大江健三郎の原作を…

『戦場のメリークリスマス』『愛のコリーダ』で

世界的に有名な映画監督

大島渚が映画化した『飼育』。


本作『飼育』は…

太平洋戦争末期、とある山村に墜落した

B29に搭乗していた黒人米兵を

村人たちが飼育するという

ストーリーだ。


『飼育』の原作者:大江健三郎は、

最近ではノーベル文学賞を受賞したり、

原発反対運動をしたり、

どちらかというと作品以外で注目されている。
(最近の大江作品はベストセラー作品に比べ、

文章的に非常に難しいので一般受けしないのも

理由の一つではあるが…)

しかし…

『飼育』にみられる初期の大江作品は

エネルギッシュで、グロテスクで、

性的表現を多用したり、

今の平和的なイメージとは

かけ離れている作品が多い。


もちろん

この『飼育』も太平洋戦争末期の山村の人々を

どこか生々しく描いている作品だ。


その原作を名匠:大島渚が制作し、

更に名優:三國連太郎が

名演をしているのだから、

面白くないはずがない。


大島渚監督は…

時に左翼的に権力と闘う作品を作ったり、

性的描写を大胆に描いたり、

日本映画界でも

異色の監督として知られている。


本作『飼育』では…

原作のエネルギッシュな雰囲気を

見事に映像化した。


恐らく…

初期の大江作品を

ここまで見事に映像化できるのは

大島渚だけだろう。


単に戦時中を描いた作品というだけでなく

人間の性や本質を

大胆に描いた作品でもあることが、

本作に更に深みを与えている。


日本代表する

二人の作家と映画監督の

素晴らしさがミックスされた作品『飼育』

置いているレンタルショップは少ないが…

是非…観てほしい!


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今回の受賞は…

イタリアを代表する映画監督

ミケランジェロ・アントニオーニ監督の

名作で世界的にも評価の高い

『欲望』。


本作『欲望』はとても印象的な映画だ

その理由は…『欲望』が

芸術的なサスペンスだからだ。


『欲望』のストーリーは…

あるファッションカメラマンが公園で偶然撮影した

写真をきっかけに…ある事件の真相に近づく

というものだが…



サスペンス的要素が強いストーリーにも関わらず、

映画の印象は…

芸術的要素のほうが強く感じられる作品だ。



これは…名匠ミケランジェロ・アントニオー二監督の

独特の演出によるものだろう。



冒頭のシーンでは、トラックの荷台に溢れんばかりの人が

乗っているにも関わらず、誰もいない道を通るなど

『喧騒と静寂』の対比を描いたり。



ファッションカメラマンがモデルたちと

乱痴気騒ぎしたかと思えば…

次のシーンでは誰もいない公園で一人で

真相を突き止めようとしたりと。



ここでも『喧騒と静寂』の対比を

見事に描いている


ミケランジェロ・アントニオーニはイタリアの監督だが

本作『欲望』ではイギリスに渡り制作した。

その他にも名作『砂丘』はアメリカで、

『太陽はひとりぼっち』ではフランスで、

また中国でドキュメンタリーを撮ったりと

監督としての製作本数は少ないにも関わらず、

世界中の国で映画を制作している

本当に驚くべき監督だ。


しかも…ほとんどの作品が

素晴らしい作品に仕上がっているのは、

さらに驚きだ!


作風は破滅的であったり、

悲劇的な結末で終わることが多いし、

アメリカのニューシネマ的な感覚もあり、

ヌーヴェルバーグ的な感覚もある

唯一無二の名匠ミケランジェロ・アントニオーニ。


多くの作品が世界中の映画賞を受賞し、

また世界中の映画監督から

未だにリスペクトされている。



本作『欲望』のみならず

素晴らしい作品が多いので…


是非…観てほしい!


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今回の受賞は…

相米慎二監督の代表作で

世界的にも評価の高い

『台風クラブ』


もし『ここ30年で海外に通用する日本映画を

1作品選べ』(恐らく…こんな質問は無いが…)

という問いがあれば…

僕は『台風クラブ』を選ぶだろう…

それほど素晴らしい作品だ!


相米慎二監督といえば…

『セーラー服と機関銃』などで有名な監督だが…

一方、40代前までは…

ワンシーンワンカット長まわしでも有名だった


ワンシーンワンカット長まわしは

古くは日本の溝口健二

(ワンシーンワンカット長まわしの産みの親)

世界的に有名なのは先日亡くなった

ギリシアのテオ・アンゲロプロス

(ワンシーンワンカット長まわしを芸術作品として確立した)


そして…相米慎二監督の

ワンシーンワンカット長まわしは

多くの出演者を使い遠近法に近い

表現でスクリーンに奥行きを与えた

そのようなイメージだろう…


実際に本作「台風クラブ」は…

これといった大きな本筋がある

あるわけではない


しかし…

演じている中学生たちの演技に

何故か引き込まれていく…

(世界観という表現が相応しいだろうか)


もちろん退屈になりがちな

ワンシーンワンカット長まわしを

飽きさせない工夫が感じさせる

カメラワークも見逃せない

(時に遠くに…時に近くに)


そして…

もう1点見逃せないのが…

表現の殻を破っているところ

自分勝手な教師…

中学生の性…

若者と死など…

公開された1985年まで…

そして公開して25年以上経つ今ですら…

なかなか表現できていないテーマ

つまり…表現の殻を破っている


あのイタリアの名匠

ベルナルド・ベルトリッチをして…

『自分の創作意欲を沸きさせてくれる作品』

言わしめたほど…

世界中の映画関係者に評価された作品

『台風クラブ』


相米慎二監督は53歳という若さで

この世を去ったが…

本当に惜しくてならない


表現的にもきわどいので

なかなか置いているレンタルショップも少ないが…


是非…観てほしい!



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今回の受賞は…

原作者であるドルトン・トランボが

脚本・監督まで担当し

カンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した

『ジョニーは戦場へ行った』


しかも監督であるドルトン・トランボが

監督した作品は生涯この1作のみ…

というから更に驚きだ!


しかし…この1作を制作するまでの

長い道のりを知れば…

この作品がいかに偉大な作品か…

理解いただけるはずだ…


本作『ジョニーは戦場へ行った』は…

第一次世界大戦へ志願兵として参加したジョニーが

負傷して…身体のほとんどの機能を失って帰還し

動けない身体で驚きの行動をとるという

ストーリーなのだが…


1939年にドルトン・トランボが原作を書き上げてから

太平洋戦争、朝鮮戦争時に反戦色が強いという理由から

アメリカで2度も発禁処分を受けた問題作なのだ!


しかも『ローマの休日』などを書き

優秀な脚本家でもあったドルトン・トランボは

1947年…赤狩りの影響で…

ハリウッドからも追放されてしまう!


1960年代になり…

ハリウッドに復帰したドルトン・トランボが

反戦家としてFBIなどに徹底的にマークされている中…

激化するベトナム戦争に思慮し…


強烈な平和へのメッセージを送るべく

生涯1度だけ監督した作品

これが『ジョニーは戦場へ行った』なのだ!


作るまでのプロセスもドラマがあるが…

その作品も制作者の想いが

強く伝わってくる作品になっている


もちろん作品としても素晴らしい…

モノクロとカラーを上手に使っているし…

なによりも原作も脚本が両方とも

本当に素晴らしい!

(ストーリーが面白い!)


しかも生涯…監督した作品が

1作品のみで…それがカンヌグランプリを

獲得したのはドルトン・トランボ

ただ一人だ!


制作者の想いが強く伝わる

本当に素晴らしい作品


なかなか置いているレンタルショップも少ないが…


是非…観てほしい!


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