ジャパンヴィンテージギターのリペア | F-ROOTS ギターリペアマン 思いのままに・・

F-ROOTS ギターリペアマン 思いのままに・・

読んでくれた方に何かが伝わればいいなと・・・

※テーマは全部「突発記事」で書くことにしました。(2011.10.20)

皆様のお仕事も同じかと思いますが、
私達の日々も多くの想定外が起こります。
 
ある方のギターを修理した時の話を書いてみようかと思います。
実は先日からインスタ、
FBページにも載せましたので
そちらも見て下さった方には重なってしまいますが、
僕はブログでは一番細かく書いています。
 
「連動」とかさせれば良いでのでしょうが、
なんなんですかね、そういうの好きじゃなくて。笑
 
そのあるギターというのは1968年に作られたと思われる
モーリス製のアコースティックギターでした。
 
まず工房で確認した時は
ブリッジが大きく破損してましたので作りかえること
またブレイシングの剥がれ等確認できたので
必要なリペアを行う…。
というのが大筋の内容でした。
 
ブリッジを外す作業はスタッフmyaoが行っていました。
すると
「穴が空いているんだけど!?」と。
私は
(アコースティックギターの作成経験などもあるmyaoですが)
「そりゃ、ブリッジピンの穴は開いてるでしょ!」みたいな
気持ちで私もギターを見ると…
私、「穴空いてるじゃん!」
myao「だから、そう言ってるじゃん…」
みたいなコントみたいな会話があったことを記憶してます。
この会話を生み出したのが先述の想定外ですよね。
 
このギターは以前オーナー様がご自分で
いろいろリペアを試みた過去がありそれが、それが…。
 
トップ板だけにしても割れが数か所あり
トップ板の作り替えが頭をよぎるも
そうすることは今回のリペアのコンセプトからずれる。
1つ1つ割れを対応していき
トップの内側からも影響を最小限に抑えつつの補強を…
 
そして、myaoは自分の作業場に戻りブリッジの作り込みに…
 
私はブリッジ完成に合わせてブレイシングの対応しておくか。
みたいな感じでしたが
ブレイシング浮きの対応も
以前オーナー様が試みたようで…
しかも浮いた状態でガッチリ固定されてしまっている。
 
物凄く時間をかけながら
ブレイシングが圧着できるように過去の接着剤を取って行く。
これがギターの内部で行う作業になるので
少しずつ少しずつの作業しかできない。
 
それ以外にもサイド板とバック板が取れていたり…。
とにかく
補修・補強が必要な箇所への処置を繰り返す。
 
そして、作り込んだブリッジを取り付ける。
 
ブリッジの圧着が完了したら、
補強した箇所がちゃんと強度を出しているか?等を
弦を張り確認していく…。
 
 
この作り込んだブリッジは当初の設計とは異なり、
ロングサドルスタイルだったブリッジを少し仕様変更しました。
 
元祖を継承しロングサドルスタイルで作った方がとも考えましたが、
旧ブリッジを見ても
ブリッジがそもそも薄いうえにサドル溝も浅い
その状態でのロングサドルは
「割れることを期待している?」という思いになったり。
 
それならば、
弦振動を確実にサドルからブリッジへ、トップ板へとなることを
期待した設計にした…という。
 
だだだと書きなぐってしましたが、
いろいろを経て、無事に楽器へと戻りました。
 
多分、何年、もしくは何十年弾かれていなかったろうこのギター。
そのブランクを感じさせない音圧と音色を
私達に聞かせてくれました。
 
このギターのリペアの事をmyaoもブログに投稿しています。
似たような内容でもまた違う角度から
ギターリペアというモノを表現しているように思います。
是非読んでみて下さい。
 
 
長文のお付き合いありがとうござました。