灰まみれ
オリーブの葉は好きじゃない。
そもそもこの地にオリーブはないし、
ホウレンソウの切れ端のほうが好きだ。
しかしこのオレ様が平和の象徴とは笑わせる。
大洪水から逃れた箱舟に
地上があることを教えたご先祖さまがいたらしいが
そんなことは知ったこっちゃない。
こちとら、生きるのに必死。
仲間より個人のほうが大事で、
年中エサの奪い合いでケンカに明け暮れる、
どだい平和的とは言い難い生き様を晒してる。
それに見ろよこの有様。
ここ2週間降りやまない灰で
身体じゅうが真っ白だぜ。
おまけに変な光を浴びて
妙なぶつぶつまで出来てきた始末さ。
「おお、神よ……」
灰だらけのニンゲンが、俺様のことをありがたがって
拝んでやがる。
こちとら、残飯でもかっぱらってやろうと
降り立っただけなのに。
しかしてめえらでてめえらの街をふっ飛ばすとは
ニンゲンてやつは分からないね。
おっとあぶねぇ!
さっきまで拝んでたやつに食われそうになった。
ったく油断も隙もありゃしねぇ。
そもそもこの地にオリーブはないし、
ホウレンソウの切れ端のほうが好きだ。
しかしこのオレ様が平和の象徴とは笑わせる。
大洪水から逃れた箱舟に
地上があることを教えたご先祖さまがいたらしいが
そんなことは知ったこっちゃない。
こちとら、生きるのに必死。
仲間より個人のほうが大事で、
年中エサの奪い合いでケンカに明け暮れる、
どだい平和的とは言い難い生き様を晒してる。
それに見ろよこの有様。
ここ2週間降りやまない灰で
身体じゅうが真っ白だぜ。
おまけに変な光を浴びて
妙なぶつぶつまで出来てきた始末さ。
「おお、神よ……」
灰だらけのニンゲンが、俺様のことをありがたがって
拝んでやがる。
こちとら、残飯でもかっぱらってやろうと
降り立っただけなのに。
しかしてめえらでてめえらの街をふっ飛ばすとは
ニンゲンてやつは分からないね。
おっとあぶねぇ!
さっきまで拝んでたやつに食われそうになった。
ったく油断も隙もありゃしねぇ。

ムてきの獅子
はず初めに、このタテガミは偽物だと
告白したい。
自分の毛の色に近い枯れ草を集めて
こっそり作ったカツラだ。
本当の俺はお情け程度のタテガミしかない
貧相な見た目のライオンだ。
つぎに、ヌーの群れを追い払った話について
告白したい。
あれは川にワニがいて勝手に逃げただけの話で
俺はそばで見ていただけだ。
本当の俺は臆病で、ハイエナ1匹に威嚇されただけで
逃げ出すようなオスだ。
つぎに、妻と息子たちのことについて
告白したい。
あれは別のオスの妻と息子であり
群れの一員として挨拶を交わす程度の仲で
妻と息子と言ったのはデタラメだ。
本当の俺は生殖能力がなく
群れのお荷物として、隅に追いやられるような存在だ。
どうしてここにきて
赤の他人のあなたに洗いざらい打ち明けたのか。
自分でもよく分からない。
誰かに知ってほしかったのかもしれない。
せめて弱さをさらけ出すだけの強さは
持っていたオスであったと。
告白したい。
自分の毛の色に近い枯れ草を集めて
こっそり作ったカツラだ。
本当の俺はお情け程度のタテガミしかない
貧相な見た目のライオンだ。
つぎに、ヌーの群れを追い払った話について
告白したい。
あれは川にワニがいて勝手に逃げただけの話で
俺はそばで見ていただけだ。
本当の俺は臆病で、ハイエナ1匹に威嚇されただけで
逃げ出すようなオスだ。
つぎに、妻と息子たちのことについて
告白したい。
あれは別のオスの妻と息子であり
群れの一員として挨拶を交わす程度の仲で
妻と息子と言ったのはデタラメだ。
本当の俺は生殖能力がなく
群れのお荷物として、隅に追いやられるような存在だ。
どうしてここにきて
赤の他人のあなたに洗いざらい打ち明けたのか。
自分でもよく分からない。
誰かに知ってほしかったのかもしれない。
せめて弱さをさらけ出すだけの強さは
持っていたオスであったと。

蝶の解釈
その蝶は「過去の言葉」を
全身に刻みつけられながら育った。
決して道理に反する言葉ではないと確信しているし
それが当たり前のことだと生きてきたので
疑ったこともない。
身体に刻まれた言葉をみた他の虫たちに
「その言葉自体は正しいが、受け取り方が間違っている」
と指摘されても、
「そんなことはない。
間違っているのはお前らだ」と逆に指摘した。
「その言葉らは先人の時代には通じたのかもしれないが、
現代には通じない」と糾弾されても
「今でも十分通用する」と返した。
論破され、言い返せなかった時は
「私は間違っていない。彼らが理解できない凡愚であり
いつか私が正しいと証明される」と
心の中で自己弁護した。
蝶の周りにはもはや誰の姿もなく
あきれ果てた空が広がっているのみ。
遠くにゴオオオと低い声で鳴く、白い鳥が見えた。
あの鳥に言葉を伝えに行かねばならない。
また否定されようとも、私は絶対に正しいし
それが私の宿命なのだから。
蝶はあの高さまで飛べるだろうか。
その鳥が生きものでないと知り、言葉など届かないとしても
途中で力尽きたとしても
蝶は自分に酔いしれながら思うだろう。
「私は使命のために殉じた」と。
全身に刻みつけられながら育った。
決して道理に反する言葉ではないと確信しているし
それが当たり前のことだと生きてきたので
疑ったこともない。
身体に刻まれた言葉をみた他の虫たちに
「その言葉自体は正しいが、受け取り方が間違っている」
と指摘されても、
「そんなことはない。
間違っているのはお前らだ」と逆に指摘した。
「その言葉らは先人の時代には通じたのかもしれないが、
現代には通じない」と糾弾されても
「今でも十分通用する」と返した。
論破され、言い返せなかった時は
「私は間違っていない。彼らが理解できない凡愚であり
いつか私が正しいと証明される」と
心の中で自己弁護した。
蝶の周りにはもはや誰の姿もなく
あきれ果てた空が広がっているのみ。
遠くにゴオオオと低い声で鳴く、白い鳥が見えた。
あの鳥に言葉を伝えに行かねばならない。
また否定されようとも、私は絶対に正しいし
それが私の宿命なのだから。
蝶はあの高さまで飛べるだろうか。
その鳥が生きものでないと知り、言葉など届かないとしても
途中で力尽きたとしても
蝶は自分に酔いしれながら思うだろう。
「私は使命のために殉じた」と。
