仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz) -31ページ目

灰まみれ

オリーブの葉は好きじゃない。

そもそもこの地にオリーブはないし、
ホウレンソウの切れ端のほうが好きだ。

しかしこのオレ様が平和の象徴とは笑わせる。

大洪水から逃れた箱舟に
地上があることを教えたご先祖さまがいたらしいが
そんなことは知ったこっちゃない。

こちとら、生きるのに必死。
仲間より個人のほうが大事で、
年中エサの奪い合いでケンカに明け暮れる、
どだい平和的とは言い難い生き様を晒してる。

それに見ろよこの有様。

ここ2週間降りやまない灰で
身体じゅうが真っ白だぜ。

おまけに変な光を浴びて
妙なぶつぶつまで出来てきた始末さ。

おお、神よ……

灰だらけのニンゲンが、俺様のことをありがたがって
拝んでやがる。

こちとら、残飯でもかっぱらってやろうと
降り立っただけなのに。

しかしてめえらでてめえらの街をふっ飛ばすとは
ニンゲンてやつは分からないね。

おっとあぶねぇ!

さっきまで拝んでたやつに食われそうになった。
ったく油断も隙もありゃしねぇ。

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ムてきの獅子

はず初めに、このタテガミは偽物だ
告白したい。

自分の毛の色に近い枯れ草を集めて
こっそり作ったカツラだ。

本当の俺はお情け程度のタテガミしかない
貧相な見た目のライオンだ。


つぎに、ヌーの群れを追い払った話について
告白したい。

あれは川にワニがいて勝手に逃げただけの話で
俺はそばで見ていただけだ。

本当の俺は臆病で、ハイエナ1匹に威嚇されただけで
逃げ出すようなオスだ。


つぎに、妻と息子たちのことについて
告白したい。

あれは別のオスの妻と息子であり
群れの一員として挨拶を交わす程度の仲
妻と息子と言ったのはデタラメだ。

本当の俺は生殖能力がなく
群れのお荷物として、隅に追いやられるような存在だ。


どうしてここにきて
赤の他人のあなたに洗いざらい打ち明けたのか。
自分でもよく分からない。

誰かに知ってほしかったのかもしれない。

せめて弱さをさらけ出すだけの強さは
持っていたオスであったと。

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蝶の解釈

その蝶は「過去の言葉」を
全身に刻みつけられながら育った。

決して道理に反する言葉ではないと確信しているし
それが当たり前のことだと生きてきたので
疑ったこともない。

身体に刻まれた言葉をみた他の虫たちに
その言葉自体は正しいが、受け取り方が間違っている
と指摘されても、

そんなことはない。
間違っているのはお前らだ」と逆に指摘した。

その言葉らは先人の時代には通じたのかもしれないが、
現代には通じない」と糾弾されても

今でも十分通用する」と返した。

論破され、言い返せなかった時は
私は間違っていない。彼らが理解できない凡愚であり
いつか私が正しいと証明される」と
心の中で自己弁護した。

蝶の周りにはもはや誰の姿もなく
あきれ果てた空が広がっているのみ。

遠くにゴオオオと低い声で鳴く、白い鳥が見えた。

あの鳥に言葉を伝えに行かねばならない。
また否定されようとも、私は絶対に正しいし
それが私の宿命なのだから。

蝶はあの高さまで飛べるだろうか。
その鳥が生きものでないと知り、言葉など届かないとしても
途中で力尽きたとしても
蝶は自分に酔いしれながら思うだろう。

私は使命のために殉じた」と。

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