仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz) -29ページ目

うつくしいははなときもいもむし

もしもあなたがぼくをみて
きもちわるいとおもったなら
それはぼくのしょうりといえます。

まだこどもでよわいぼくは
ほかのいきものにたべられないために
このすがたをしているのだから。

むしをおびきよせるためにうつくしいはなの
はっぱをたべる、たべる。

べつにしっとしているわけじゃない
おなかがへってるからたべるだけ。

たべる、たべる、たべる。

うつくしいはなのはっぱをたべて
ぼくはしょうらいうつくしくなる。

うつくしいはねをひろげて
うつくしいせかいにはばたく。

むしのおうさまになれるかもしれない。
むしのぎゃくさつしゃにおちるかもしれない。
そのまえにとりにたべられるかもしれない。

たべる、たべる、たべる。

うつくしいはなは、いまにもおれそうだ。

おかしなきりがでてきた。むらさきいろのきりだ。
ぼくはころりと、じめんにおちた。

ニンゲンがまいたのうやくだった。
うつくしいはなは、うりものだった。

ぼくのたましいははねをひろげて
うつくしいせかいへと、とびだった。

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TOTSUGEKI

猪仲間は仲良しこよし
どこへ行くにもみんなと一緒

あっちの原野に餌があるぞー
とつげきだ食らい尽くせー

あっちの池に水があるぞー
とつげきだ飲み尽くせー

あっちの谷に敵がいるぞー
とつげきだ踏み潰せー

こっちの山にも餌があるぞー
とつげきだ味わい尽くせー

こっちの小川に水があるぞー
とつげきだねぶり尽くせー

こっちの森に敵がいるぞー
とつげきだ蹴散らしてやれー

そっちの林にも餌はもうない?
じゃあお前を食ってやるー

そっちの滝は岩で塞がれた?
じゃあお前の血を啜ってやるー

そっちの崖から敵が来る?
この数じゃ敵わんそら逃げろー

猪仲間は足を滑らし
みんなで海に落ちたとさ。

変わり者の一匹だけが
一部始終を見ていたそうな。

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鮫と血

本能の赴くままに生きることが生命の本懐と
オレは思う。

いや、つい一時間前まで、思っていたというべきか。

1キロ先の血の臭いを嗅ぎとり
獲物の首根っこに200本の歯を突き立て、仕留め、
乱暴に食らう。

恐れおののき、一目散に逃げ出す魚たちを見て
こう思う。

そうだ。もっと恐れるがいい。
オレは海の覇者だ。オレに勝る者などいない。

先祖の代から、オレたちは強さを求めた。
負けないために、滅ぼされないために
求め続けた結果、この姿になった。

反抗する者はいなかった。
ついでに、友達もいなかった。

食って、クソをして、子孫を増やす。
それ以外に何が必要と言うのか。

何が………………。

そんなくだらないことで、一瞬でも迷ったのが命取りだった。

ニンゲンの網だ。
多くの魚と一緒に引き上げられたオレは
利用価値なしと、打ち捨てられた。

海では怖いものなしなこのオレも
陸にあげられては生きられない。

終わりの時が近づくなか、これまでのことを思い出していた。

どうしてこんなことになったのか。
別の生き方を選んでいれば、こうはならなかったのか。

オレがいなくなることで喜ぶ奴はいるとして
悲しむ奴がいないことが

こんなにも空しいことを、
今頃になって知るなんて。

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