仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz) -30ページ目

駝鳥の幸福なセンタク

羽があるのに飛べないことを
不幸せのように思われることがままあるが
飛べないのではなく、飛ばないのであり
小生は至ってハッピーである。

風を切り、大地を蹴って前に進む感覚は
何にも代えがたい喜びがある。
生きている実感がある。

空を飛べば、地上のみにくさは小さくなって
傷つくこともなく、汚れることもなく
キレイなままでいられるだろう。

高いところから見下ろすことで
優越感を得られるかもしれない。

飛べもしないのに翼をほしがる者ほど
そういう偽物のハッピーを追い求めることを
小生はこの歳に至るまでの過程で、しかと学んだ。

不幸せ、理不尽、汚れにまみれた地上を
否定して逃げ出すだけの者たちは
同じ顔、同じ口調で、小生をあわれむ。

みんなでハッピーな幻を見て、
周囲の者すべてを不幸にしていることにも
嘘に嘘を重ねた自己弁護で
自分で自分をマヒさせていることにも気付かず。

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おことん。

この豚野郎!」となじられても
生まれた時から豚であるのだから
はい、豚ですけど?」と答えるしかないし
野郎というのはあてはまらないですワタシ雌だから。

そもそも豚を下等なものの例えとして扱う
あなた方の教養のなさには呆れますね。

増え続けるあなた方の餌として
この身を提供し続けて差し上げているというのに。

あなた方と違って、感謝しろなんてことは
言いませんけども
せめて敬意は払ってほしいものですね。

さきほどから何を驚いた顔をしているんですか?
ニンゲンて本当につまらない常識のなかで
生きている愚鈍な生物なんですね。

いつまで経っても成長しないし
この惰性にもそろそろ区切りをつけたいし
ワタシそろそろ行きますね。

たちにも誘いは送ってあります。

年中食べ物をゴミ箱に捨ててるあなた達ですが
せいぜい食べ物がなくなる恐怖に怯えるといいですよ。

いよいよ虫を食べる時代が来るかもしれませんね。
共食いになるかもしれませんね。

どちらにしろ、ワタシの知ったことではありませんけど。

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デ犀トピア

この角は実のところもう必要ないのだけれど
生まれつき生えてくるのだから仕方がない

ぼくは楽園のサイ。

争いが嫌で、だまされ疲れて、そこにいたくなくて
同じ考えの人が集まって生活している
この地に辿り着いた。

ここにはきたないものは何もない。

最小限のものしか必要ない者ばかりなので
食べ物の奪い合いがなく
争いが起こることは、まずない。

みんなそれぞれがそれぞれの為に
ちょっとずつ努力して生活しているので
相手の幸せを願うことが
自分の幸せにつながることだと、毎日気付かされる。

この地のルールを定めたのは
ニンゲンから逃れてきた、あるチンパンジーだ。

ちりひとつ落ちていない宮殿に
彼は住んでいる。

彼に会いたがる人は多いけど
近づける者はほとんどいない。

今日はぼくが宮殿の掃除係だ。
彼に会ったことはないけれど、一度お礼が言いたいと
常々思っていた。

モップで大理石の床を磨いている時
ぼくの角が宮殿の柱に当たってしまい
隠し扉がぐるりと開いた。

そこには彼がいた。

お菓子の袋や果物の皮がそこかしこに散らかった部屋。

大きなテレビに映っている
この地の者に禁じている「血の出る映画」を
たくさんのメスチンパンジーと一緒に
気持ち良くなる飲み物を片手に、観ている。

他の者にこれを知られる訳にはいかない。
ぼくがやらなければ、この地は再びけがれてしまうかもしれない。

争いが嫌いなぼくにこの角が生え続ける理由を
ぼくはようやく理解した。

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