2017年に見た映画総まとめ12月の巻! | 冷やしえいがゾンビ

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めっきりノータッチですが、メインは映画に関する垂れ流し。

12月に見た映画は


パーティで女の子に話しかけるには

ヘドローバ

ビジランテ

ありふれた悪事

スターウォーズ/最後のジェダイ

勝手にふるえてろ

8年越しの花嫁

52hzのラブソング

バーフバリ 王の凱旋


の9作。ついてこいよ!



パーティで女の子に話しかけるには


『ヘドウィグ&アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督最新作。主人公のパンクキッズが偶然出会った女の子は、ある秘密を抱えていた。ヒロインは世界中の映画人に愛されるスーパー美少女、エル・ファニング。


タイトルはいかにも日本の配給が付けそうな甘々系ですが、意外にも英題の直訳。しかし内容は刺激強めのハイパートリップ映画でした。


パンクロックに耽溺する冴えない高校生3人組が、ライブ帰りに遠くから聴こえてきた音楽に惹かれて大きな建物に入っていくと、原色の珍妙な衣装に身を包んだ謎の集団に出会う。彼らは自分たちを宇宙人であると語る


自称宇宙人のカルト集団かと思ったら本当に宇宙人で、そのうちの1人と主人公がじわじわと接近した結果、パンクスピリットを植え付けて違う価値観を共有する事に成功したり。


正直言ってストーリーラインは訳が分からないのでぼんやりとしか覚えてないのですが、無軌道な感じ、予測不可能な展開、アート感覚やデザイン・美術の圧倒的なパワーなどなどを映画館で感じているだけで楽しい。


自分のツイッターログを読む限り、テンポを褒めてクライマックスとオチも褒めていて、ストーリー部分にも満足しているみたいなので是非皆さんもご自分の目で確認してみてください。☆☆☆★★



ヘドローバ


『孤高の遠吠』『全員死刑』の小林勇貴監督が全編iPhoneで撮影した商業映画。シゾーカの団地を舞台に、 宗教とシャブを生業にしたババア一家の暴走を描く。孤高の遠吠で前歯が無かったウメモトジンギが主演。


書きたい事を全部書きたくなったので別エントリにまとめました。


小林勇貴監督作『ヘドローバ』誕&生

https://ameblo.jp/ez-chill/entry-12346287399.html


☆☆☆☆☆

ビジランテ


入江悠監督のオリジナル作品。地方都市に生きる次男と三男、その町を捨てた長男が描き出すノワール。


入江悠という監督の事はあまり好きになれなくて、たまに撮る駄作を見るに「堤幸彦の後継者がここにいた!」と思ったりもするほどです。犯罪がらみのストーリーが好みに合いそうだし、監督自身が書いたオリジナル脚本でもあるという事で、真価を見極めるべく見に行きました。


結論としては、あまり好きになれない作品でした。


展開やトーン、オチは嫌いじゃないけど、とにかく芝居の間が延びすぎ。話が転がるのを待ってるのに「ただ今より!人気俳優の!熱演が!始まりますよ!」とばかりに間延び演技。役者のファンにサービスしてるつもりなのか知らないけど飽き飽き。


序盤は簡潔でシンプルな表現に終始していて手際には満足感を覚えていたのに第一幕(のようなもの)が終わった辺りから話運びがまどろっこしくなった。重たい空気感を鈍重なテンポで描かれても困惑するしかない。たまに添加されるエロや暴力でどうにか間を保たせてるつもりなのかもしれないが…


以上Twitterからの転載。これ以上ダラダラ書いても鈍重なだけなのでこれで終わります。☆☆★★★



ありふれた悪事


韓国映画。主演は雨上がり決死隊・蛍原徹にそっくりなおじさん俳優のソン・ヒョンジュ。一介の刑事だった男が、公安の指示で正義とは程遠い行為を強いられていく。


韓国映画らしからぬ分かりづらさ。期待感が膨らまない構成、感情の矛先が見えてこない物語。9割ムカムカしながら見て、ラストに少し救われる。そんな映画見たくなかった、が本音。字幕の付け方が悪かったのでは?とさえ感じる消化不良っぷり。ボタンのかけ違いと言うか…

 

というのがTwitterに書いたファーストインプレッション。おそらくこの映画のストーリーラインは韓国の黒歴史に対する反省・悔恨を主軸にしたものだと思うのですが、それ故に主人公の意志が歴史の闇に飲み込まれていく過程を見せる作品でもあり、要はカタルシスが無い。


それを構成の巧みさで新鮮な切り口から提示してくれるのならともかく、ここまで真っ当に、苦しみを共有させるような映画を楽しめるだけの素養は自分にありませんでした。そこを乗り越えて面白く料理してくれるのが韓国映画のように思っていたのですが、ハマらず。☆★★★★



スター・ウォーズ/最後のジェダイ


SWサーガのエピソード8に位置する作品。『BRICK』『LOOPER』のライアン・ジョンソンが監督に抜擢され、脚本も担当。


賛否両論!と言われてる作品ですが、私の第一印象は「なかなか面白かったぞ?」でした。エピソード7は見ながら5回ほど泣いたのに印象としては「うーん、これは期待ハズレだぞ」と感じたのに比べると、今回は見たかったものを見せてもらえた気がしました。


見た当日にシナリオの穴と演出のマズさを指摘する批評を目にして、今作を見ながら自分が感じていた緊張感の正体が分かった気がしました。


とにかく観客を驚かせようとしたストーリー展開なので、物語がどこに行き着き、どのキャラがどうなっていくのか、それを知りたい/探りたいというフツーのスタンスで見ている観客にとっては先が予測しづらい、と思うんですよ。


予告編でレイの闇堕ちを予感させておいて、ターンするのは別のキャラクターだった!という、あの場面もフレッシュ。驚きを提示しておいての、あのアクションシーン。最後の決め技なんて最高of最高ってくらい高まったよ!


レイがどうなるか問題とは別に進行するのが、反乱軍はファースト・オーダーの追撃から逃げ切れるか?というサスペンス性を帯びたドラマ。成否/勝敗を含めどうなるのか分からない、どのキャラがどうなるのか分からないままに映画が進むので、単純に目が離せなかったし見てる間自分の身体が強張っている事に気付きました。


冷静に振り返るとキャラクターの行動原理が破綻しているため理解不能。オチを分かった上で2回3回と見れば、ドラマのために屁理屈こねて事態をややこしくしているだけのキャラが目障りになる事必至。


それでも、ライトセーバード派手チャンバラシーンや、最後のジェダイさんの大活躍クライマックスと同時に進むフィン&ローズのちっぽけな抵抗っぷりを見ていると、心を揺さぶられるしかない。激怒する人の気持ちも分かるけど、ドラマチックな映画であるのも間違いない。エピソード9どうするんだ??☆☆☆★★



勝手にふるえてろ


綿矢りさの同名小説が原作。主演は松岡茉優(モーニング娘。の大ファン)。中学の同級生への恋慕を長年引きずり続けるOLの苦悩。


よく出来た小説をいかに上手く映画化するか、小説の文体をいかにして映画の話法に移行させるか、そこに腐心した形跡がよく見える作品。


監督は小説の強みを劣化させないよう大量のモノローグで心情を説明させる事を選んだわけで、そこが作劇上のリズムを生んで楽しげではあるんですが、そういった映画としての歪さを度外視してストーリーラインだけを見たらあまり面白くないのではないかと思います。


松岡茉優すげー!やっぱ才能あるぅー!と、喜んだ部分は大いにありますが、相手役のクール君とウザ男君が魅力的に見えなかったので、松岡茉優とのコラボによる化学反応が感じられなかったです。見終わってから「なぜこんなに満足度が低いのだろう?」「あ、相手役の男がショぼいからだ」と納得。☆☆★★★



8年越しの花嫁


難病×純愛なノンフィクション書籍の映画化。主演は佐藤健と土屋太鳳。婚約していた女性が、突然昏倒し、意識不明に。2度と目覚めないかもしれない難病と2人の長い戦いの始まりだった。


トリガール!で好感を持った土屋太鳳さんが逆ベクトルのアプローチを見せてくれる作品とあっては見逃したくない。TOHOシネマズ渋谷で女子高生と若いカップルに囲まれながら見ました。以下Twitterより転載。


目がヒリヒリ痛む!ベタベタな展開をうまく外してくる絶妙な構成、このキャストにこの監督でなければ成立しないであろう静謐で誠実な演出と演技にハートをつかまれる!佐藤健の堪え忍ぶ芝居、土屋太鳳の心理的激闘の具現化。そして助演陣が最高!特に北村一輝!


やはり主演の2人が圧巻。突然錯乱して「うるせー!殺せー!」と泣き喚く土屋太鳳、芸能界屈指の身体能力を封印して『オアシス』ばりの身体障害を体現する土屋太鳳。そんな姿に成り果てた婚約者をただ見守る佐藤健は高倉健ばりの忍耐を芝居に滲ませる。


「感動の強調・押し売り」というにはあまりにも言葉足らずな、瀬々敬久監督の畳み掛けるような構成と演出。クライマックスってこういうものだよな、と痛感させられる見事な手腕。目覚めない婚約者のために撮りためた動画フッテージをどう使うのか…サスペンス性さえ漂わせてからのリリース。参った。


以上、自分のツイートです。色んな意味でのアレンジが的確かつ絶妙。それこそが映画化スタッフの仕事であり使命。クライマックスに何を描くべきか、という構成面、目指すべきクライマックスのための演技アプローチはどうあるべきか、という俳優への演出アプローチ、どちらも素晴らしかったです。こういうジャンルをなめちゃいけない。☆☆☆☆★



52hzのラブソング


『セデック・バレ』『KANO1931』のウェイ・ダーション監督作。台湾初のミュージカル映画。プロのシンガー/アーティストを主要キャストに多数起用して描かれる群像恋愛劇。


前2作が日本による統治時代の苦味を含んだ重厚なドラマだっただけに意外な方向転換に見えるのですが、2008年の監督デビュー作に近いジャンルへの回帰とも言えます。


真っ暗な部屋で短調な音色をギターに歌わせる男、その悲しげなトーンが少しずつ明るく楽しげになっていくにつれ、部屋に朝焼けの眩しさが差し込んでいく。そしてそのまま別シーンに移行し、長調でポジティブで幸せそうな楽曲のミュージカルが始まる。


このオープニングだけで最高にキュート!歌っているのは赤とピンクと青のまだら模様なショートボブの女性。ピンクのオーバーオール。花屋であるらしい彼女が、市場で花を買い付ける様子が、フラッシュモブ要素を混じえて描かれていきます。早々からリアリティを無視した挑戦的な姿勢に心が高鳴ります。


主要キャラとして、パティシエ見習いの男性、花屋の店員女性、楽器店の店員男性、役所勤めの女性、の4人がメインのストーリーを作っていくのですが、次々と新しいキャラクターがこの映画に巻き込まれていくのでそこにも注目してほしい。


30過ぎて恋人もいない…30過ぎて収入安定しない…そういったビターテイストを描きつつも、楽しくて笑えて、主要キャストの歌声が美しい。映画オリジナル楽曲も17曲あるため、心情を歌でストレートに表現しているところがエモーショナルであり、パワフル。


後半になると群像劇というジグソーパズルのピースが埋まっていくような快感があり、そこが楽しくてハッピーで最高! 予想外の展開もあって高揚感が止まらず、ある時点から最後までずーっと涙が出っぱなしでした。8年越しの花嫁と同日に見たので自分の涙腺が壊れたのかと疑いました。


映画としても大満足だったのですが、個人的には赤髪ボブの33歳女子を演じた小球(シャオチョウ)さんの事が大好きになってしまいました(照)。前はバンドに所属していて、今はソロのボーカリストとして活動中みたいです。映画公開に合わせて来日してライブも行ったと知って胸が苦しくなりました。2017年のベストガールは彼女!


ギターを弾きながら勘違い発言しまくりのあいつは性格と髪型からみやぞんを連想。パティシエ見習い君はペナルティ・ヒデにしか見えない。役所な女性はかなりの美人だけど、この人も歌手なんだそうです。


歌手勢揃いのキャストの中、『セデック・バレ』で主人公モーナ・ルダオを演じたリン・チンタイも出演。本業がキリスト教の牧師でありながらセデック・バレで首狩り族の誇り高きトライバル・チーフを演じて以来俳優業はやっていなかったようですが、今作で復帰。パティシエ役だし、美声で歌う!セデック・バレを見た人はこちらも必見です。☆☆☆☆☆

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バーフバリ王の凱旋


『バーフバリ 伝説誕生』の続編にして完結編。これは別ページにまとめます(執筆中)。圧倒的大傑作。見逃さないで良かった。バーフバリ、ジャイホー!!☆☆☆☆☆☆

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というわけで2017年に見た映画をおさらい終了。116作品見る事が出来ました。2018年もマイペースに映画と付き合っていきたいです。ありがとうございました!!


11月まとめ・前編