映画「ルース エドガー」•アメリカの理想と現実• | 黒人夫とのアメリカ生活30年

黒人夫とのアメリカ生活30年

黒人夫との約30年のアメリカ生活で体験した、黒人差別問題など、ありのまま綴っていきたいと思います。より良い未来を願って⭐️

私のブログへのコメントで

“最近観た映画「ルース・エドガー」は、監督がナイジェリア出身の方ですが、アフリカからの養子が主人公で、とても考えさせられた作品でした。”



とあり、気になったので、娘と一緒に見た。

そして、その後、キャプション付きで、あと2回、一人で見た。

全米の賞レースで20を超える賞にノミネートされ、人間の謎めいた本質、アメリカの理想と現実をえぐる、サスペンスフルなヒューマン・ドラマ。


模範的な若者として、学校や地域の誰からも愛され、称賛される少年ルースの、“知られざる真実”をめぐって、展開するストーリー。


アメリカの人種差別の根深さや、”わかりあえなさ”みたいなことを考えさせられ、いかに自分の暮らしが、ステレオタイプに溢れているかを痛感させられる。


印象に残ったセリフとしては


「その事実を知ってしまったら、知らなかった頃の自分には戻れないのよ」


と、事実を知るというのは、それなりの覚悟が必要なんだと思い知らされる。

 
また、白人に比べて、黒人は、一つのチャンスを失ったら、もうチャンスはないかも知れない、という社会的不公平さ。  

その為に、黒人の女教師は、精神的におかしい姉の存在を隠し、スポーツスカラシップのチャンスを奪われた黒人生徒は、大学に行くチャンスをなくす。

そして、そんな弱い立場にいる黒人の立場を、皆んな理解しており、自分のいいように利用する。


黒人は、優秀かそうで無ければ、怪物にしたがる世の中で、ギリギリの線で戦っている。


映画の中では、その状況を、


“アメリカでは、黒人は皆んな狭い汚い、きつい箱の中に入っていて、そこには、ほんの少しの光しか注がれない。”


と表現している。


ルースは、映画の中で、自分に課せられた理想像(アメリカの白人夫婦が、貧しい黒人の子供を立派に育てた)に応える為に、


「I CAN’T BREATHE (息ができない)」


と言っているが、最後のシーンでの彼の表情は、その息苦しさを表現し、私達にアメリカ社会に存在する、矛盾や問題点を投げかけてくる。






映画を観た後、あまりにも、多くの”ルース”を知っている私は、いたたまれない気持ちになった。

 

お酒もタバコもしない、いつも道端で会う人達に、笑顔で挨拶し、必要以上にフレンドリーな私の夫も、そういうところがあるような気がする。


成績優秀、スポーツ万能で、いつも礼儀正しい、娘の黒人の彼氏も、そういうところが、あるのだろうか。


そうやって、”私は害はないですよ。いい人なんですよ。”と、あえて、表現しなくてはいけない世の中って、、、


“黒人は白人の、3倍の努力をしなくてはいけない”なんて話も聞くけど、そんなの、やっぱり、間違っている。 


そして、私の大学時代の白人ホストファミリーは、ルースの年齢の、成績優秀で礼儀ただしい、色黒の養子を育てていたが、まさに、この映画に出てくる偏見を持っている自分達に気づかない、白人夫婦そのものだった。  



私と夫が、婚約報告に行った時、牧師のお父さんに、いい教会を紹介してほしいと聞いたのだが、あーでもない、こーでもないと、結局どこの教会も紹介してもらえなかった事があった。


夫は


「なんで、すんなり、自分達の教会においでと言わないんだろう、、、牧師のくせに、人種差別してる」


と、後で言っていた。


その後、手紙をだしても返事はなく、音信不通になってしまったのは、とても残念だったが、色黒の養子を育てているのに、なんで黒人差別をするのか不思議だったが、やっと、そのカラクリが分かった気がする。


一つ救われたのは、この映画を日本でみた、日本人の方の感想で


“いつの時代も、差別や偏見を生むのは「無知」や「無関心」だと思う。少しでも多くの人が、正しい情報を元に、信念を持って、行動できたらいいなと思う。いつまでも、知らないふりはできないし、それだと身の回りの、小さな差別や偏見にも、気付けないだろう。無意識のうちに、差別や偏見の目を持ってしまっているかもしれない。改めて、人権差別について、深く考えてみようと思えた。”


と書いてあり、本当にその通りだと思ったと同時に、これをきっかけに、人種差別について深く考えてみよう、と思ってくれた事実が、とても嬉しかった。


また、最近のニュースで、公園で、白人女性が首輪をつけずに離していた犬に対して、黒人男性が首輪を付けてくださいと頼んだところ、白人女性は警察に「黒人男性が、私の命を狙っている。命の危険を感じる」と電話している動画が流れていた。


彼女は、白人女性と黒人男性だと、警察は断然、白人女性の言い分を信じるという事をわかって、こういう嘘の証言をしているのだが、動画に全て撮られていた為、その嘘はバレて、後日、職場から解雇されたそうだ。




こういう、人種差別をした為に、職場から解雇されたケースは、最近増えており、人種差別を許さない職場の傾向には、希望の光が見える。


また、最初に紹介した、コメントをくださった方が、自身黒人である監督の言葉も、下記で紹介しているが、納得させられるものばかりだ。


誰もが語らない、アメリカの日常に溢れる、理想と現実を知るのに、この映画を見ることは、とても意義があると思った。
















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