かがわ・山なみ芸術祭2019 | 蝋画塾 Atelier Berankat のブログ

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第二次大戦中に開発された、「蝋画」という描画技法を紹介するブログです。

 

2016年に参加したかがわ・山なみ芸術祭に今

年も参加が決まった。

思えば、植物の葉を使った作品を最初に展示

したのが3年前のこの芸術祭だった。

 

3年前の展示風景

 

今回の展示では、基本的に3年前のコンセプ

トを踏襲する。以下に青文字で当時の作品

解説を引用する。

 

ここ2年ほど、家に伝わる祖先のアルバム

写真を素材にして、自分の存立に要した人

と時間の重層的な関わりに注目して制作し

てきた。今回の展示では、会場の琴南中が

今年閉校に至ったこと、少子化が日本全体

の問題であること、私自身に子供がいない

こと、これらの事象を時代の大きな流れの

中の一部としてとらえ、祖先と自分のみに

向けていた視線を、過去の帰結である現

代の問題にも向けなおし、「子供」をキー

ワードに制作する。

 

会場となる香川県まんのう町は、今年3月

ウッドスタート宣言を行い、地元産の木か

ら作られたおもちゃを満1歳の幼児とその

保護者に贈呈するという活動を始めた。

 

ウッドスタートとは→http://mokuikulabo.info/ws/

 

2016年に展示会場となった「旧琴南中学

校」は、現在「ことなみ未来館」と名前を変

え、ウッドスタートの活動の拠点となり、お

もちゃの製作工房も敷地内に移設される

という。

 

広報まんのう 20019.5月号より

 

まんのう町で作られる「ひまわりコロコロ」

というおもちゃは、私の世代には馴染み

深い、幼少期に遊んだ「まゆ玉コロコロ」

と似ている。

 

おもちゃ工房から許可を頂き、ひまわりコロ

コロの製作時に余った端材を借用できるこ

とになったので、作品の素材のひとつとして

使用する。

 

前回の2016年には、その年の3月に琴南中学

校最後の卒業生となった6人に、在校時の写

真を提供して頂き、葉に焼き付けた。

 

今回もその同じ6人に現在の姿を写した写真

の提供を依頼、現地スタッフのご尽力のお陰

で、全員の写真が先月半ばに手元に届いた。

 

今回も葉は最後には自然に還すため、これま

で通り薬品類を用いずに、太陽光だけで焼き

つけを行う。

 

まんのう町の新たな取り組みと、旧琴南中学

校の地域の中での役割の変化、そして写真

に垣間見える卒業生達の成長に、3年という

歳月を強く意識しながらの制作となった。

 

3年前の作品解説の最後、「子供をキーワー

ドに制作する。」という文章は、むしろ今年

にこそふさわしい。

 

 

会場となった教室から(2016年撮影)

 

もしも、3年後もこのコンセプトで制作が継

続されるとしたら、6人の卒業生は成人に

なっている。さらにその3年後は、もう社会

人だろうか。

 

彼らにしてみれば、3年毎に写真の提供依頼

の話が舞い込み、自分自身の画像が葉に焼

き付けられ、かつての級友と共に母校の教室

で展示される。

 

これは彼らにとってどんな経験なのだろう。

3年に一度開催される、美術を介した同窓会

のようなものだろうか。

 

私の作品が、変化しながらも交流を続ける一

つの契機になるのなら、機会を頂ける限り継

続してみたいと思う。

 

 

 

イベントページ→https://www.kagawayamanami.org/