未象の庭 ―森へ続く道― その後① | 蝋画塾 Atelier Berankat のブログ

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第二次大戦中に開発された、「蝋画」という描画技法を紹介するブログです。

 

昨年末から始めた日野手緑地の管理ボランティ

アも、早くも今月で8ヶ月が経とうとしている。

ここでの経験は、3月に埼玉会館で展示した作品に、

色濃く反映することになった。

 

 

人と植物が関わってきた長い歴史を想うと

き、その一部は私の内面に畳み込まれて

いて、何らかの切っ掛けがあれば、それは

紐解かれ自覚できるところまで浮上して

くる。

 

そのためには、身体を動かすタイプの接触の試みが、私には必要だったのだと思う。

その場所に私以上にその歴史を体現している人が居ること、それも重要な事だった。

 

元皇居の庭師、農夫、鷹匠…様々な背景を持った人の集まりだから、緑地の保全に対する考えも少しずつ異なる。経験値の集合の中から妥当なものを選ぶにしても、たった一つの正解がある、というわけでもない。

 

 

 

3月の展示作品「未象の庭―森へ続く道」には、沢山のどんぐりを使った。

展示後、その中からクヌギとシラカシの実を鉢に埋めておいた。

芽が出て、順調に育ったのは半分ほど。

それらは4ヶ月で立派な苗になった。

 

 

上の写真の鉢のクヌギの苗は全部で7本、

そのうちの5本は、元荒川河川敷や雅楽谷の

森など、蓮田市内で拾ったもの。

 

後の2本は、切り倒された黒浜の大クヌギの

実が芽吹いたもの。この実は、大クヌギを存

続させようと活動していた人達の中心にい

た、里宇さやかさんから展示会期中に頂い

たもの。

 

 

蓮田市では国の指定史跡である黒浜貝塚の整備事業を進めている。

しばらく休んでいた工事が7月から再開し、来年度の完成を目指しているという。その事業の一つに、縄文の森を復元する計画がある。

https://www.city.hasuda.saitama.jp/syogaikyoiku/kyouiku/bunkazai/documents/panfuura.pdf

 

 

先日この事業計画に、育てた苗を寄贈、植樹を行なった。順調に育って、将来この森の一部になってくれたら嬉しい。

 

 

 

結果として、蓮田市の道路拡幅工事のために

伐られた大クヌギの直系の子孫を、同じ市の

推進する別の事業によって育てることになっ

た。これは市にとっても、クヌギにとっても、

作品にとっても、ひとつの妥当な帰結ではない

かと思う。

 

 

 

 

 

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簡単なものですが、蝋画技法の初歩を図解したPDFファイルを配布しています。

実習を伴う教室等で受講者に配布しているものですので、この資料を見ただけで蝋画

が描けるようになる保障はありませんが、よろしければ下記アドレスからご請求下さい。

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