星を切り刻む | 詩人:Writer 上杉浩司

星を切り刻む

 

 

 

 

 

星を切り刻んだような瞬間

初めての目眩 空気に対しての目眩

戸惑いなど始めから無かった

春はいつの間にか姿を変えて

もしかして息づく人間になってしまったのか

 

笑ってはならない

今という瞬間の空も凍り付いたような

沈黙を抱えながら 私たちは 言葉を

交わすことも出来ず 色褪せた表現を

避けるように 闇の中へと潜り込んで行った

 

朝から夜までの距離を一気に縮めた顔の光景

動揺する時間を何処かに忘れてしまったと

言っていいのか

想い出を奇術のように組み立てながら

窓ガラスの外の車の音さえも

私達には遠いものだった