少し前のABEMA TIMESの記事に、骨髄バンクの登録されたドナーの方と患者の方のHLA型が適合しても、辞退者が後を絶たないという現在なおも続く問題点の解決策を考えた興味深い記事として、次のようなものがありました。

 

 

 

 確かに、会社員などで予定した仕事があるために仕事が休めないというのは、ドナー登録をされた方にとって非常に大きな問題であることはよく理解できます。また、そのためには、骨髄バンクがこれまで推進してきたドナー休暇制度を採用する会社が大幅に増えることが何と言っても一番の解決策であると思います。しかし、民間企業や団体である以上、ドナー休暇制度を採用するか否かは当該企業又は団体の自由であることは否定できず、骨髄バンクの様々な努力にもかかわらず、全国でドナー休暇制度を採用する事業体は現在843にとどまっており、一部の大企業や大学関係を中心としているのが現状です。

 

 そこで、ドナー休暇を採用する企業が少ないことを補うものとして、ドナーの方の受ける経済面での不利益を少しでも軽減するものとして、なお不十分なものではあっても、ドナー助成制度が重要であり、これをより拡大して行くことが必要であると思います。自治体のドナー助成制度については筆者は何度か本ブログで書いてきたのですが、現在、日本の1,718の市町村のうち約65%に及ぶ市町村がこの制度を採用しています。とりわけ、人口15万人以上の市についてみると、札幌市・吹田市・秋田市・盛岡市・茨木市・寝屋川市・岸和田市・和泉市・帯広市・釧路市を除く、138もの市がドナー助成制度を採用しており、それ以外でも人口の多い市では一部を除きドナー助成制度が実施されています。それゆえ、ドナー助成制度を採用している市町村の人口を合計すると、おそらく日本の全人口の90%以上をカバーしていると推測されます(現時点におけるドナー助成制度を実施する市町村の数とそのリンク先については、本ブログの記事である骨髄バンクを通じての骨髄等ドナー助成制度のリンク集の補足版を参照して頂ければと思います。)。そして、昨年末の本ブログの記事自治体のドナー助成制度は骨髄バンクを通じた非血縁者間移植の推進に貢献しています!で示したように、多くの公表資料から、自治体のドナー助成制度が非血縁者間移植の推進に重要な役割を果たしていることが客観的なデータからわかります。

 

 従って、ドナー助成制度を採用する自治体を日本のすべての自治体へと拡大し、ひいては国の制度としてドナー助成制度を確立すること、さらには、労働基準法などの国の法律によって骨髄バンクのドナーに選ばれた場合のドナー休暇の権利を保障することが、骨髄バンクを通じた移植を推進するためにはどうしても必要であり、そのような体制に一歩でも近づいて行くことを目指して、私自身も微力ながらできる範囲で努力して行きたいと思っています。