本ブログでは、日本の自治体が実施しているドナー助成制度の助成内容を示す一覧を作成し、その都度、この一覧を更新してきました(本ブログの記事骨髄バンクのドナー等助成制度を実施している自治体の一覧(1)、骨髄バンクのドナー等助成制度を実施している自治体の一覧(2)、骨髄バンクのドナー等助成制度を実施している自治体の一覧(3)、骨髄バンクのドナー等助成制度を実施している自治体の一覧(4)、骨髄バンクのドナー等助成制度を実施している自治体の一覧(5)参照)。
以下では、ドナー助成制度に関して公表された資料を用いて、全国の地方自治体のドナー助成制度がどのように機能しているのかを見ることにより、ドナー登録をしている方が住んでいる地方自治体にドナー助成制度が適用されることによって、骨髄バンクを通じた非血縁者間の移植に貢献している実態を明らかにしたいと思います(なお、登録者の方が自分の住む市町村にドナー助成制度があることを知っていることが、骨髄等を提供する方向へと意思決定をする要因の一つとなっていることは、日本造血・免疫細胞療法学会雑誌に公表されている国立がんセンターの医師らのデータに基づく論文(骨髄バンクドナーの骨髄等の提供に関する行動の要因を分析した医師らの論文について参照)によって、明らかにされています。)。
まず、神奈川県についてみると、令和4年度神奈川県造血幹細胞移植推進事業について4頁に、神奈川県内の自治体が平成30年度から令和3年度までにドナー助成制度によって交付した助成実績が出ています。これによると、平成30年度には、提供者の方4人と、その勤務先事業所に1か所に助成金が交付され、ドナー助成制度を実施する市町の数が増えた令和元年度には、提供者の方36人とその勤務先事業所4か所に、令和2年度には、提供者の方35人と、その勤務先事業所5か所に助成がなされ、いずれも助成件数は増加しています。さらに、令和3年度には、提供者の方62人と、その勤務先事業所8か所に助成金が交付されており、倍近い数字に増えています。なお、横浜市についてみると、令和4年には、提供者の方26人に対して助成金が交付され、令和5年には提供者の方33人に対して助成金が交付されています(令和4年度がん撲滅対策推進条例に基づく実施状況報告書30頁、令和5年度がん撲滅対策推進条例に基づく実施状況報告書35頁)。このように、神奈川県では、6年間に少なくとも提供者の方170人とその勤務先事業所10か所に助成金が交付されていることから考えて、神奈川県におけるドナー助成制度が登録者の方から患者さんへの骨髄等の提供に寄与したと推定できます。
次に、令和元年に県の補助によって多くの市町村でドナー助成制度が導入された長野県では、令和6年度長野県骨髄・末梢血幹細胞提供推進連絡会議の資料のうち、資料3 長野県の現状についてから、各年度における骨髄等の提供者全体の数と、補助実績を対照させた形の表が出ており、これによって長野県の多くの市町村におけるドナー助成制度の運用状況を知ることができます。具体的には、長野県では、ドナー助成制度の導入前の平成28年度には14人、平成29年度には16人、平成30年度には14人の提供者の方がいたのに対し、ドナー助成制度が導入された令和元年度は、14人の提供者のうち5人の方に補助が行われています。しかし、ドナー助成制度を実施する市町村が増え、この制度が広く周知されるようになった令和2年度には、提供者の方の数が25人と大きく増え、これに対応して補助を受けた方も16人と増えました。そして、令和3年度には、提供者の方の数が20人、そのうち補助を受けた方が14人、令和4年度には提供者の方の数が21人、そのうち補助を受けた方が17人、令和5年度には、提供者の方の数が23人に増え、そのうちの22人もの方が補助を受けています。
このように長野県では、5年間の間に74人の提供者の方にドナー助成制度による補助が行われており、ドナー助成制度が骨髄等の提供者を増やす結果となって現れており、長野県による一連の試みが大きな成果を挙げています。
茨城県については、茨城新聞2023年10月29日「17年『生きた証し』 茨城・大洗でミニカー展示 両親、ドナー増加願う」の記事によれば、県内44の全市町村がドナー助成制度を実施している茨城県では、2015~2022年までに70件のドナー助成制度の利用があったという茨城県薬務課の説明が出ています。このことは、茨城県と神奈川県の人口比が921:287と茨城県が約3分の1であることを考えれば、ドナー助成制度の実施が早かった茨城県では神奈川県にほぼ相当するドナー助成制度の利用があり、茨城県内全市町村におけるドナー助成制度の存在が、多くの登録者の方の骨髄等の提供に結び付いたことを示しています。
宮城県については、宮城県 令和4年度薬事行政概要78頁によれば、平成30年度には2市町村で14人、令和元年度には5市町村で23人、令和2年度には8市町村で24人、令和3年度には8市町村で20人の、骨髄等の提供等をしたドナーの方に助成金が交付されており、平成30年度から令和3年度の4年間に71件ドナー助成金が交付されていることがわかります。このように宮城県におけるドナー助成制度の利用実績が4年間に71件にも達していることから考えて、宮城県が補助をしている宮城県内市町村におけるドナー助成制度が登録者の方の骨髄等の提供に寄与していることがわかります。
岡山県については、令和3年度岡山県造血幹細胞移植推進連絡協議会資料32頁(現在削除されており、閲覧不能です。)の中で、平成28年度から令和2年度までの岡山県内の市町村によるドナー助成費の交付実績の総数が公表されていました。これによると、平成28年度にはドナーの方18人とその勤務先事業所4か所に、平成29年度にはドナーの方17人とその勤務先事業所4か所に、平成30年度にはドナーの方17人とその勤務先事業所6か所にドナー助成費が交付されていました。次に、現在公表されている令和6年度岡山県造血幹細胞移植推進連絡協議会27頁によれば、令和元年度にはドナーの方19人とその勤務先事業所6か所に、令和2年度にはドナーの方23人とその勤務先事業所10か所に、令和3年度にはドナーの方18人とその勤務先事業所2か所に、令和4年度にはドナーの方20人とその勤務先事業所6か所に、令和5年度にはドナーの方26人とその勤務先事業所10か所に、ドナー助成費が交付されていることがわかります。このように岡山県におけるドナー助成制度の利用実績が8年間に158件にも達しているということからも、岡山県が補助をする県内全市町村におけるドナー助成の実施が、登録者の方の骨髄等の提供に大きく寄与していることが示されています。
また、青森県についてみると、青森県の令和4年度青森県骨髄ドナー助成事業費補助及び青森県におけるドナー登録推進の取組みによれば、令和3年度には青森県全体で5件の助成、令和4年度には8件の助成、令和5年度には5件の助成がなされていて、3年間に合計18人の提供者の方に助成が行われていることがわかります。
また、山梨県については、山梨県 骨髄バンクドナー支援推進事業補助金の交付状況によると、令和元年度には甲府市で1人の方、令和2年度には甲府市で1人、南アルプス市で2人、笛吹市で1人の計4人の方、令和3年度には南アルプス市で1人、山梨市で1人、笛吹市で1人の計3人の方、令和4年度には甲府市で1人、韮崎市で3人の方の計4人の方、令和5年度には甲府市で1人、南アルプス市で1人の計2人の方、令和6年度には南アルプス市で1人、笛吹市で1人と、合計で16人の提供者の方に助成が行われていることがわかります。
次に、市についてみると、まず、栃木県においては、人口51万3千人を擁する県庁所在地の宇都宮市(骨髄移植ドナー等助成金)で、平成29年度に2人(+その勤務先事業所1か所)、平成30年度に2人(+その勤務先事業所2か所)、令和元年度に2人(+その勤務先事業所1か所)、令和2年度に7人(+その勤務先事業所2か所)、令和3年度に8人(+その勤務先事業所1か所)、令和4年度に12人(+その勤務先事業所1か所)、令和5年度に7人と、合計40人の提供者の方とその勤務先事業所8か所に助成金が交付されていることがわかります(宇都宮市 令和元年度保健衛生概要58頁、宇都宮市 令和3年度保健衛生概要57頁、宇都宮市 令和4年度保健衛生概要57頁、宇都宮市 令和6年度保健衛生概要 6 保健医療サービスの推進1)。次に、小山市(人口16万6千人)の小山市骨髄移植ドナー奨励金交付制度についてというサイトには、他の市にはない小山市独自の試みとして、平成25年の制度開始より令和3年6月までの間に、全部で13人の骨髄等を提供された方に奨励金を交付したことが公表されています。そして、小山市のこのサイトが素晴らしい点は、骨髄等を提供された方にアンケートを実施し、その回答を掲載しているところであり、これらの回答を見ると、提供されたドナーの方の暖かな思いやりの気持ちが伝わり、患者としてありがたい気持ちになるだけでなく、骨髄バンクに登録されている方に対しても非常によいメッセージになっていると思います。それから、佐野市(人口11万4千人)ではドナー助成制度が開始された平成29年に2人の方に助成金が支給されたこと(佐野市事務事業マネジメントシート 骨髄移植ドナー支援事業)も確認できます。
このように、栃木県においては、少なくとも55人の登録者の方の骨髄等の提供にドナー助成制度が貢献したことがわかります。
次に、千葉県の県庁所在地で98万人の人口を擁する千葉市では、平成30年度に11人の方、令和元年度に6人の方、令和2年度に8人の方(+その勤務先事業所1か所)、令和3年度に6人の方(+その勤務先事業所1か所)、令和4年度に10人の方(+その勤務先事業所2か所)、令和5年度に12人の方に助成金が支給されており、6年間の間に53人の骨髄等を提供された方に助成金が支給されています(市政概要(令和元年度版)87頁、市政概要(令和2年度版)89頁、市政概要(令和3年度版)90頁、市政概要(令和4年度版)86頁、市政概要(令和5年度版)85頁、市政概要(令和6年度版)87頁)。次に、人口64万6千人の中核市でもある船橋市では、令和2年度に10人の方(+その勤務先事業所2か所)、令和3年度に3人の方(+その勤務先事業所1か所)、令和4年度に6人の方、令和5年度に5人の方(+その勤務先事業所1か所)に奨励金が支給され、4年間で合計24人の骨髄等を提供された方に奨励金が支給されています(令和5年度版船橋市保健所事業年報27頁、令和6年度船橋市保健所事業年報29頁)。同じく中核市である人口43万4千人の柏市でも、令和2年度に1人の方(+その勤務先事業所1か所)、令和3年度に7人の方、令和4年度に4人の方(+その勤務先事業所1か所)、令和5年度に3人の方(+その勤務先事業所1か所)に助成金が支給されており、4年間で合計15人の骨髄等を提供された方に助成金が支給されています(令和2年度決算における補助金交付の状況 保健福祉、令和3年度決算における補助金交付の状況 保健福祉、令和4年度決算における補助金交付の状況 保健福祉、令和5年度決算における補助金交付の状況 保健福祉)。人口49万7千人の松戸市でも、令和元年度は4人の方、令和2年度は4人の方、令和3年度は5人の方、令和4年度は3人の方、令和5年度は3人の方の合計19人の骨髄等の提供者の方に助成金が支給されています(松戸市決算(令和2年度)負担金、補助金、交付金17頁、松戸市決算(令和4年度)負担金、補助金、交付金17頁、松戸市決算(令和5年度)負担金、補助金、交付金15頁)。一方、人口13万2千人の成田市では、令和元年度に2人の方、令和2年度に3人の方、令和3年度に3人の方、令和4年度に1人の方に助成金が支給され、4年間で合計9人の骨髄等を提供された方に助成が行われています(成田市の保健福祉 令和7年1月 118頁)。また、人口17万5千人の習志野市では、令和元年度に6人の方に、令和2年度に2人の方とその勤務先事業所1か所に、令和3年度に4人の方とその勤務先事業所1か所に、令和4年度に3人の方とその勤務先事業所2か所に、令和5年度に2人の方に、それぞれ助成金が支給されており、5年間に合計17人の骨髄等を提供された方に助成が行われています(習志野市令和元年度歳入歳出決算報告書192頁、習志野市令和2年度歳入歳出決算報告書187頁、習志野市令和3年度歳入歳出決算報告書184頁、習志野市令和4年度歳入歳出決算報告書183頁、習志野市令和5年度歳入歳出決算報告書185頁)。このほか、人口11万1千人の印西市では、平成30年度に1人の方、令和2年度と3年度にそれぞれ1人の方の合計3人の方に助成金が交付されていること(印西市 令和4年度保健事業実績報告)、人口9万6千人の四街道市では、令和4年度に2人の方に助成金が交付されていること(四街道市 主要施策の成果報告書122頁)、人口20万5千人の八千代市では、令和2年度に2人の方に助成金が交付されていること(八千代市 主要施策に関する成果の報告書110頁)、人口13万1千人の我孫子市で令和3年度に2人の方、令和4年度に1人の方に助成金が支給されていること(我孫子市 令和5年度事務事業評価表 事業コード205(6頁))がわかります。
このように、千葉県では最近7年間で少なくとも147人の骨髄等を提供された登録者の方に助成が行われています。この事実は、千葉県骨髄バンク推進連絡会が長年にわたってドナー助成制度の制定を求めて実現できた、県内全市町村におけるドナー助成制度の導入と上記各市による広報活動が、登録者の方の骨髄等の提供に寄与したことを示しています。
埼玉県の県庁所在地であり、人口134万4千人と人口が多いさいたま市では、平成27年度に21件、平成29年度に13件、平成30年度に8件、令和元年度に7件、令和2年度に10件、令和3年度に8件、令和4年度に13件の助成費の交付が行われ、6年間に合計80人の提供者の方にドナー助成費が交付されています(平成27年度さいたま市行政報告書152頁、平成29年度さいたま市行政報告書149頁、平成30年度さいたま市行政報告書149頁、令和元年度さいたま市行政報告書147頁、令和2年度さいたま市行政報告書145頁、令和3年度さいたま市行政報告書144頁、令和4年度さいたま市行政報告書144頁)。また、川口市でも、平成28年度に4件、平成29年度に3件、平成30年度に1件、令和元年度に8件、令和2年度に2件、令和3年度に3件、令和4年度に3件、令和5年度に4件の助成が行われ、8年間に合計28人の提供者の方に助成金が交付されています(川口市内部評価結果(令和2年度) 健康を育むまちづくり3頁、川口市内部評価結果(令和3年度) 健康を育むまちづくり3頁、川口市内部評価結果(令和6年度) 健康を育むまちづくり38頁)。次に、人口36万2千人の川越市では、平成29年に2件、平成30年に5件、令和元年に1件、令和2年に3件、令和3年に3件、令和4年に5件、令和5年に5件の助成が行われ、7年間に合計22人の提供者の方に助成費が交付されていることがわかります(川越市 保健・医療・福祉のしおり158頁、川越市 保健・医療・福祉のしおり(令和6年)130頁)。人口34万3千人の所沢市では、平成27年度と平成28年度のデータのみが公表されていますが、それによると、平成27年度に2件、平成28年度に3件の助成が行われ、2年間に合計5人の提供者の方に助成金が交付されています(平成28年度事務事業評価表 骨髄移植ドナー助成金交付事業)。人口14万9千人の狭山市では、平成28年度に1件、平成30年度に1件、令和2年度に1件の助成が行われ、3人の提供者の方に助成金が交付されています(狭山市 平成28年度衛生費139頁、狭山市 平成30年度衛生費139頁、狭山市 令和2年度衛生費140頁)。人口14万2千人の戸田市(骨髄移植ドナー助成金)では、令和2年度に1件、令和3年度に5件の助成が行われ、計6人の提供者の方に助成金が交付されています(令和2年度補助金等の交付実績額一覧8頁、令和3年度補助金等交付実績の一覧7頁)。 他にも、人口7万2千人の吉川市では、平成29年度に2件、平成30年度に1件、令和3年度に1件の助成が行われ、計4人の提供者の方に助成金が交付されています(吉川市 平成30年度事務事業評価(健康長寿部)137頁、吉川市 令和4年度事務事業評価(健康長寿部)129頁)。また、人口8万5千人の和光市では、令和3年度に2件、令和4年度に1件の助成が行われ、計3人の提供者の方に助成金が交付されているほか(和光市令和4年度事務事業評価結果16頁)、人口11万4千人のふじみ野市では、平成30年度に1件、令和3年度に1件のと計2人の提供者の方に助成金が交付され(平成30年度施策評価シート4頁、令和3年度施策評価シート4頁)。人口14万2千人の三郷市では、令和4年度に2人の提供者の方に助成金が交付され(三郷市令和4年度評価結果の公表 骨髄移植ドナー助成費交付事業)、人口6万5千人の北本市では、令和2年度に1人の提供者の方に助成金が交付されています(北本市 令和3年度事務事業評価シート 献血・骨髄ドナー)。
以上から、早くからドナー助成制度を全市町村で実施する埼玉県では、上記の市だけで少なくとも153人の方に助成が行われており、埼玉県内全市町村のドナー助成制度が登録者の方の骨髄等の提供に寄与したことが確認できます。
岐阜県のうち、県庁所在地として人口40万6千人を擁する岐阜市では、平成30年度に4人の方、令和元年度に2人の方、令和2年度に2人の方、令和3年度に3人の方、令和4年度に3人の方に助成金が支給されており、5年間に計14人の提供者の方に助成が行われていることがわかります(岐阜市地域保健課事業評価シート10頁、令和4年度岐阜市地域保健課事業評価シート2頁)。岐阜県では、他に各務原市で平成30年度に1人の方、令和元年度に1人の方、令和3年度に1人の方の合計3人の提供者の方に助成金が支給され(平成30年度各務原市決算認定資料48頁、令和元年度各務原市決算認定資料50頁、令和3年度各務原市決算認定資料53頁)、多治見市で令和3年度に1人の提供者の方に助成金が支給され(多治見市 補助金等見直しに関する意見書5頁)、関市で令和2年度に2人の提供者の方に助成金が支給され(関市 令和2年度補助金負担金調書9頁)、高山市で令和4年度に1人の提供者の方に助成金が支給されています(高山市事業シート(令和6年度) 健康推進課3頁)。
岐阜県では、少なくとも21人の提供者の方に助成金が支給されています。
京都府では、平成28年度からドナー助成制度を実施する宇治市で、平成28年度は提供者の方1人に、平成29年度は提供者の方3人に、平成30年度は提供者3人に助成金が支給されており、この3年間に計7人の提供者の方に助成がなされています(宇治市健康生きがい課96頁)。また、舞鶴市では、令和元年度に計3人の提供者の方に、令和2年度に計5人の提供者の方に、令和3年度に計9人の提供者の方に、令和4年度には計6人の提供者の方にそれぞれ助成金が支給されており(舞鶴市令和元年度事業実績報告書91頁、舞鶴市令和2年度事業実績報告書97頁、舞鶴市令和3年度事業実績報告書101頁、舞鶴市令和4年度事業実績報告書116頁)、4年間で計23人もの提供者の方に助成がなされています。木津川市では、令和2年度及び令和3年度にそれぞれ1人の提供者の方に助成金が支給されており(木津川市令和2年度事務事業評価結果11頁、木津川市令和3年度事務事業評価結果11頁)、2年間に計2人の提供者の方に助成がなされています。
このように、京都府では、県庁所在地で最も人口の多い京都市のデータは明らかでありませんが、上記3市で32人の提供者の方に助成金が支給されています。
山形県の県庁所在地であり、人口24万2千人の山形市では、令和3年度に1件、令和4年度に1件の助成金が支給され、2年間に合計2人の提供者の方に助成金が支給されています(市政概要(令和3年度) 健康医療93頁、市政概要(令和4年度) 健康医療95頁)。また、米沢市では、平成28年度から令和2年度までの5年間に5人の提供者の方に助成金が支給されていることが報告されています(米沢市議会会議録令和3年9月3日 33頁)。
愛媛県の県庁所在地であり、人口50万1千人の松山市において、令和2年度に10件、令和3年度に2件、令和4年度に3件の助成金が支給され、3年間に合計15人の提供者の方に助成金が支給されています(令和2年事務事業評価一覧表32頁、令和4年度事務事業表一覧3頁)。
東京都では、墨田区において、平成29年度に2件、令和元年度に3件、令和2年度に2件、令和3年度に3件、令和4年度に1件助成金の交付がされており、合計11人の提供者の方に助成金が支給されていることがわかります(墨田区 令和5年度施策評価シート20頁)。文京区においては、比較的新しいデータですが、令和4年に4人(+勤務先事業所2か所)の提供者の方に助成金が支給され、令和5年に1人の提供者の方に奨励金が支給され、全部で5人の方に助成金が支給されています(「文の京」総合戦略 進行管理 令和6年度 戦略点検シート91頁)。
愛知県の県庁所在地である名古屋市では、平成29年度にドナー助成制度が実施された後、令和3年10月までに77件の助成金の申請があったとされており(中日新聞2021年11月23日「日本骨髄バンク設立30年 ドナー支援の自治体増」)、そのほとんどで助成金の交付がなされたと推測されます。また、豊田市においては、令和4年度に提供者の方5人と、その勤務先事業所1か所に助成金を交付していることがわかります(豊田市 令和4年度予算執行実績報告書174頁)。
三重県では、平成26年度からドナー助成制度を実施する四日市市において、平成26年度は提供者の方1人に、平成27年度は提供者の方3人に、平成29年度は提供者の方3人に、平成30年度は提供者の方1人に、令和元年度は提供者の方1人に、令和3年度は提供者の方2人に、令和4年度は提供者の方2人に奨励金が支給されており(事業の概要(平成26年度) 健康福祉部60頁、事業の概要(平成27年度) 健康福祉部64頁、健康福祉事業の概要(平成29年度)59頁、健康福祉事業の概要(平成30年度)57頁)、健康福祉事業の概要(令和元年度) 60頁、保健衛生事業の概要(令和4年度版)39頁、保健衛生事業の概要(令和5年度版)41頁)、9年間に計13人の提供者の方に助成が行われています。
奈良県では、奈良市において、令和2年度に1人、令和3年度に2人の計3人の提供者の方に助成金が支給されています(奈良市の健康医療 第3章 事業の実績121頁、奈良市の健康医療 第3章 事業の実績125頁)。また、大和郡山市では、提供者として最初に同市の助成を受けた第1号の学生の方が自分で書かれた記事が、全国協議会ニュース2020年1月1日号3頁に出ており、この1件について助成が行われています。なお、この記事は学生であって事業所等に勤務していない方でも、多くの自治体では助成を受けられることを示すものとしても重要であると思います。他に、奈良県では、御所市において、令和3年度に1人の提供者の方に助成金が支給されています(御所市 令和4年度主要施策の成果報告書42頁)。奈良県では、少なくとも5人の提供者の方に助成がなされており、5人の方の骨髄等の提供を支援したことがわかります。
滋賀県では、長浜市が、令和3年度から開始したドナー支援事業の下に、令和3年度に2人、令和4年度に4人、の合計6人の提供者の方に助成金を支給したとしており(長浜市補助金等評価シート 骨髄等移植ドナー支援助成金)、草津市は、令和2年に2人、令和3年度に1人、令和4年度に2人の提供者の方とその勤務先事業所1か所に助成金を支給したとしています(草津市 令和4年度事業報告72頁)。滋賀県では、このように、少なくとも11人の方の骨髄等の提供を支援したことがわかります。
和歌山県では、和歌山市が、令和3年度に3人、令和4年度に5人、令和6年度に3人の合計11人の方にドナー支援の奨励金を交付したことが報告されており(令和6年和歌山市骨髄バンク事業 事業チェックシート)、これまでに少なくとも11人の方の骨髄等の提供を支援したことがわかります。
宮崎県では、九州において最初にドナー助成制度を実施した都城市が作成したケーブルTVの説明によれば、2016年から2023年までの7年間に、合計16人の提供ドナーの方とドナー休暇を与えた事業所7か所に奨励金が交付されています(【都城】ドナーと職場への奨励金で骨髄バンク登録者増へ!)。次に、県庁所在地の宮崎市も、令和3年度に3人の提供者の方とその勤務先の事業所に奨励金を支給しており(宮崎市保健所の概要 令和4年度版44頁)令和4年度には4人の提供者の方とその勤務先の3事業所に奨励金を支給しています(宮崎市保健所の概要 令和5年度版43頁)。このように、宮崎県においては、この人口の多い2つの市だけでドナー助成制度は23人の方の骨髄等の提供を支援したことがわかります。
新潟県では、上越市が、令和元年度に4人の提供者の方に助成金を支給していること(上越市 令和元年度補助金・交付金の交付状況15頁)、令和2年度に4人の提供者の方に助成金を支給していること(上越市 令和2年度補助金・交付金の交付状況12頁)、令和3年度に2人の提供者の方に助成金を支給していること(上越市 令和3年度補助金・交付金の交付状況10頁)が示され、上越市のドナー助成制度は合計10人の方の骨髄等の提供を助けたといえます。
北海道では、令和5年度にドナー助成制度を開始し、広報えにわ2023年10月号に骨髄バンクの特集記事とドナー助成制度について掲載した恵庭市においては、2024年2月15日までに、早くも3人の提供者の方に助成金の交付があったことが市議会における一般質問の中で報告されています(私たちのまちで骨髄ドナー助成制度を考える会 faceblook 2024.3.14)。
福岡県では、県庁所在地である福岡市において、令和5年度に9人の提供者の方に助成金が交付されています(福岡市令和5年度決算説明資料(保健医療局)14頁)。また、筑紫野市においても、令和3年度と令和4年度に各2人ずつ、合計4人の提供者の方に助成金が交付されています(筑紫野市令和5年度事務事業評価表 骨髄等移植ドナー助成事業)。
福井県では、令和2年に県内で唯一ドナー助成制度を設けた福井市において、令和2年に1人の提供者の方とその勤務先事業所に支援金が交付されており、最初にドナー助成制度の適用を受けた提供者の方が、「制度は骨髄の提供を決断する大きな後押しになった」と記者の取材に対して答えています(中日新聞福井版2020年11月3日「骨髄支援制度で初適用 福井市が提供者と会社に助成」)。
以上に挙げたデータが示しているように、一部の県と市における公表資料による限られたものですが、日本の多くの自治体によるドナー助成制度によって助成金が交付された件数は知り得たものだけでもすでに1100件を軽く超えており、骨髄バンクを通じた非血縁者間の造血幹細胞移植の推進に重要な役割を果たしていることが確認できます。