私はブラームスが好きである。
昔の映画で、「ブラームスはお好き?暗いのね。」というセリフがあったらしい。ブラームスは暗いと思っている人が居るかもしれないが、私は「暗い」のではなく「渋い」のだと思う。日本人は渋いのものが好きである。緑茶は「渋い」の代表格だし、日本の伝統文化である焼き物や漆器も渋くて良い物が多い。
私は典型的な日本人なので、渋いのが好きなのかもしれない。物心付いた頃から緑茶をすすり、大人たちから驚かれた。親戚の家に行くと、子どもたちはジュースを貰うが、私だけは大人と一緒に緑茶を飲んでいた。
さて、ブラームスはどこが渋いのか、言葉で説明するのは難しい。しかし、音楽を聴いてみると、わかる方にはわかっていただけるのではないかと思う。モーツアルトのように、滑らかに滑るように音楽が進んでいかない。どこか、引っかかるような渋さを持ちながら、重厚な音色で音楽が進んでいく。この渋さが心地良い。渋くて動きが遅くなった次の瞬間、するっと滑って音楽が流れる。これは、ストレスと発散を繰り返すような、絶妙なもったいぶり方である。音楽は、時として不安定な部分があり、次の瞬間安定した部分に達するから、人は病みつきになるのだという。モーツアルトの曲も、ベートーベンの曲も、基本的にこの方針に変わりは無い。
でも、ブラームスの渋さはこれとは違う。どう表現したらいいのか、凡人の私には説明できない。やはり聞いてもらうしかない。
是非ブラームスの交響曲をお聴きください。