日本の高速道路網は1966年に総延長7600kmと計画してはじまり

1987年の第4次全国総合開発計画において

高規格道路を含め全国に14000kmにまで拡張した

計画では21世紀初頭(2010~2015年)に完成予定であったが

実際それから10年経った現在なお70%程の進捗率にとどまる

それでも実際に地方部や山間部に走りに行くと

つまらないトンネルと高架橋ばかりの果てしない直線路に出くわし

道路インフラとオートバイ趣味は相反するものだと落胆することが増えている

けれどもちろん道路は国家の基盤だ

災害大国の日本において安全で確実な交通の確保は

最優先の課題と云える

川の流れに沿って崖を切り開いてできた旧来の幹線国道は

大雨の度に土砂が流れ路盤を流失させるし

金網で覆われた高い崖の下の道路を息を止めて走りすぎるなんて経験は

先進国のあるべき姿でないことは理解できる

理解できるが「つまらない」のは趣味の問題だ

羽生弓弦がどんなにアスリートとして優れていると認めてはいても

あんな色白の狐目がカッコいいとは思えないのはボクの趣味の問題でしかない

これと同じだ(同じか?)



なかなか来ない秋にしびれを切らしているうちに

10月も半ばを過ぎてしまった

この秋一番の冷え込みの朝

天気予報のおねーさんたちは「寒暖差に気を付けてね」と優しく教えてくれる

しかも今日行こうとしているのは標高2000mに迫る高原なのだ

サブくて死んでしまうよりは暑くて汗かいてる方がマシなので(脱げばいいし)

ユニクロの暖パンを穿いて薄いフリースを中に着た

アウターは化繊のスイングトップで防風を期待

それと念とためウルトラライトダウンのベストをカバンに仕舞った

まさかな、とほくそ笑んでいたのになんとこれが大正解

このベストがなかったら佐久間に行き付く前に帰ってきていたかもしれない

それくらいサブかったね

風も少し強くてそれが余計にサブさを増していたのかな

とにかく走り出した瞬間に

「え、暖パン正解じゃん」と感じた

岡崎東ICから高速に乗った時にはもう全身が凍えていた

けれどアホだからもう少し日が昇れば

ほら、おねーさんたちが気を付けろと云うほどの寒暖差なんでしょ?

暖かくなってくるに違いないと歯を喰いしばった(なぜ?)

結局、そのあと三遠南信道へ入って鳳来峡ICで降りたところで

すぐにダウンを着込んだ

ちぃーっとも暖かくなんてなっていかないのだよ



東栄町まで北上して継ぎ接ぎ高速にまたのって佐久間へ到達(無料区間)

高速がツマラナイだとか味気ないだとか云いながらも

目的地が決まっている時はちょっと高速で「ワープ」したくなる

以前ならここ佐久間に来るには2時間半くらいかかったもんだが

自宅周辺が通勤時間帯だったにもかかわらず1時間半でここまで来られた

この1時間の余裕が目的地でののんびりに回せる

まあ高速道路のメリットは確かにある

最初にも書いたけど

災害にも比較的強いので安全性は確かに高い

つまり復旧や修復にかかる費用や

通行止めの不利益を考慮すれば高速道路の延伸は正統性のある事業なのだ



久しぶりに国道152号線へ出た

まだまだ細く曲がりくねった個所が多く残る

むかしはあんな国道が普通でその上観光バスも大型トラックも当たり前に走っていた

クルマで信州へ向かうためには離合が困難な山間路を延々と行く

試練とも呼べる行程が待ち受けていたのだ

それでもその頃のクルマも小さかったこともあるが

みな遠出するようなドライバーは運転が上手かった

狭路の走り方はみなが共有し案外円滑だったのだ

今みたいに広い山道しか走ったことがなく

クルマも安全性最優先で巨大なものばかりになってしまうと

1.5車線路でさえ離合に手間取る運転者ばかりだ

安全第一と云えば聞こえはいいが

要は不慣れで自信がないだけ

スムーズさも交通には必要な要素だ

対向車が来るたびにブレーキをかけ止まったりしていてはちっとも進んでいかない

なのにブラインドカーブでも逆にスピードを落とさず

簡単にセンターラインを割ってしまうなんてちぐはぐな運転もよく見かける

上手な運転とはスムーズで安全なこと

道路を整備することは良い事なのに

それによって何も考えずに峠を越えてばかりいるうちに

ドライバーの質が低下していくのは止むを得ない事か

山道くらい狭くて曲がりくねってても良いのかもしれない

山の人たちはそもそも運転が上手だし

災害などの安全さえ確保できれば、という事かな



知ってます?

水窪の街には公衆トイレがある

多分ずいぶん前からある

もう1本西側を走る国道151号線にも数か所あるけど

下道でこれがあるのは本当に助かるね

もうここまで来るとコンビニもないし道の駅も少ない

用を足して真っ青な空の下さらに先へ進む



水窪の街を出ると

青崩峠まで細く狭い谷筋を進む

この先の峠を貫くトンネルに目途がついた今、急ピッチで接続道路の工事が進んでいた

残念ながら兵越林道までのこの長閑さはもうすぐ失われてしまうのだろう

「捨てられたルート」として有名な「草木トンネル」の手前

左へ逸れた道路の先に「青崩トンネル」が口を開けていた

先日貫通が報じられていたので供用が開始されるのは時間の問題だろう

草木トンネル開通から30年

出来た当初は125cc以下はそこを走れず兵越林道まで水窪ダムを経由していたな

ボクも歳を取ったもんだ

トンネルを抜けるといよいよ道も細くなり峠へ向けて勾配も強まる

以前に比べて路面の状況が良いように感じたが気のせいか

ここは事実上大型車が入れないので道路を覆う木々が低く立ち込め

独特の雰囲気がある

シカも多いしカモシカにも会う

峠へ近づいて霧(雲の中に入ったようだ)

空気も一層ひんやりとしてきた



お約束の兵越峠で写真を一枚

このあと遠山へ降りるまで霧の中だった



遠山からは三遠南信道が既存ルートの改良で計画されているため

ものすごい山奥にもかかわらず信じられないような道路が続く

もちろん以前は災害による通行止めも多く

まったくあてに出来なかったような状況なので

この改良はうれしいが、実際ちょっとやりすぎにも見える

おかげでペースが上がってしまって景色に目がいかない

ここまで来るともうすでにすれ違うクルマの数もまばら

この先の蛇洞林道が長期通行止めで地蔵峠を越えられないのだ

矢筈トンネルをくぐって飯田に迂回するしかない状況

けれどしらびそ高原までは行けるらしいので

国道の下をくぐって林道へ入り

クネクネと上り詰めていく



ここまで来てもまだ紅葉はあまり進んでいない

カラマツもまだ黄緑色だし

広葉樹の雑木も少しずつ色づきを始めたばかりだ

何度かくるりと進行方向を変えて

谷筋を右から左、左から右と変えながらグイグイ上る

SRの軽い車体をひらひらと寝かし

大きくスロットルを開けて山々にダッダッダッと鼓動を響かせる



しらびそ峠

快晴の空の下、南アルプスの峰々が左右にずらりと整列して見せる

ここのスペースってなんでいつまでも砂利なんでしょうか

あ、どうでもいい?

その先のしらびそ高原で昼にする

シカのフンだらけの広場の端にシートを広げて靴を脱ぐ



小さな雲のかたまりが視界の下を流れていく

そんな南アルプスの山並みを眺めながらおにぎりを食べた

コーヒーを淹れ

ネットで大谷君の試合を見ながら寝転がる



真っ青な空を行き過ぎるジェット

うつらうつらしていると

ふいにディーゼルのうなりとガタンガタンと響くジョイント音

酒井製作所(SKW)のDLが大きな材木をボギー台車で引く

そんな楽しい夢を見たよ


 



自分が浮気性であるとの認識は正直ない

好き嫌いも割とはっきりしているので

意識してはいないが自分の気持ちにブレはない方だと思う

けれどもそれと同時にボクには執着心というものがほぼない

欲しいと云われるとそれが何であれ、とにかくあげたくなるし

逆にひとのモノを羨ましく思うこともない

そうだ、勝ち負けに対する執着心なんて皆無だ

あるとすれば「こうあるべき」という思いが強いくらいか

だから頑固と云われるのだ



だのにこと「オートバイ」に関してだけは

浮気性なのか、免許を取って以来

大小合わせて32台ものオートバイをとっかえひっかえしてきた

社会人になってからは複数台所有が当たり前で

クルマも必要だったので一度に多くのローンを抱えていたこともあった

馬鹿なのか、と自分でもあきれる程なので

周囲の人はきっと気味が悪かっただろう

最初に「サブ(sub)」になったのは

ホンダ CD125だった



短い一文字ハンドルにバーエンドミラーを付け、シングルシートに改造していた

1キャブのツインエンジンはマフラーも両サイドに出ていて

だいぶ違うけど雰囲気はBMWのR50のようなイメージだった

「メイン(main)」はファイヤークラッカーレッドのカワサキZ400GP

いやちがうな

カウルの付いたGPz400が出てすぐに乗り換えていたっけ

とにかく刺激的なマルチと小さい割にトルクのあるツインエンジン

このキャラクターの違いの両方に魅力を感じていた

「どっちも好き」なのだ

これは完全なる浮気性である、ことオートバイに関してはね



ホンダ CB750F(B)とカワサキ GPz900R(A7)

この組み合わせも記憶に強い

水冷4発のニンジャは逆輸入車

逆輸入車って今ではあまり聞かないけど

メーカーが国内販売は750ccを上限と自主規制していたそのころ

リッタークラスのオートバイは一度輸出されたものを

再度輸入して購入することが公然と行われていた

しかもせっかく逆輸入するのだからフルパワー仕様が好まれ

南アフリカ仕様、マレーシア仕様が店頭に並んだ

そうだ

あの当時は店頭在庫として逆輸入車が並んでいたよなー

GPzは国内ではGPz750Rがリリースされたが

排気量が小さくなりパワーも900ccの108psに対して77psと抑えられ

価格は少し安いけど

当時のスペック至上主義のライダーにこれが受け入れられる訳もなく

皆こぞってニンジャと云えば900ccの逆車に乗っていた

結果国内の750市場は消滅

その後、アメリカ合衆国の圧力もあり排気量の自主規制はなくなり

二輪大型免許も取得のハードルが下げられた



ボクはカワサキのオートバイがマイナーで「通好み」と云われていたそのころ

そのへそ曲がりな性格もあって

オートバイならカワサキでしょ、思っていた

カワサキのオートバイは地味で雑誌などでもトップで扱われることはなかったけれど

「MFP“グース”」のZ1000がオーストラリアの荒野を

200km/hで疾走するシーンが頭から離れず

いつかカワサキの1000ccで200km/hを目指す

そんな田舎のガキだった

だからGPZ900Rに跨った時

ボクはもう興奮の頂点だった(当時はね)

名神高速の木曽川橋梁で並走する新幹線をぶち抜てやるぜ、と

本気で考えたりしてたな(新幹線にはかなわんがね)

そんなころ、同時に駆け出しの社会人であったボクは

その当時の記憶が曖昧になってしまうほど

仕事が忙しくまた自らそれに没頭していた

20代後半の記憶が本当に無いと云ってもいい

大袈裟でなく朝から晩まで仕事していた

「24時間戦えますか」のコピーが流行った時代だ

みんな今でいうパワハラの何十倍も厳しいハラスメントに抗い

そいつをぶち破っていく日々だった

そんな自慢話ではなく

だから「当時の稼ぎはすごかった」という自慢だ

基本給とほぼ同額の残業代をもらっていて給料は毎月倍額あった

知らない間に貯金はどんどんたまっていく

キャッシュでクルマ買ったりオートバイ買ったり

勢いで家も建てたりした(さすがにそれは住宅ローン組んだけど)

だからたまたま見に行ったレッドバロンでコマグンの赤いCB750FBを見て

その場で契約してしまうぐらいアホだった

そんなアホなことが出来るくらい稼いだ

そのせいでその後もオートバイの衝動買い癖がついたのか

カネもないのにオートバイ買い換える単なるアホに成り下がったのだけどね



CB750Fはそんな日本の最後の750だったかもしれない

バリバリ伝説の巨摩郡の愛車

大型二輪免許は試験場でしか取れなかったので

まだまだ750(ナナハン)は憧れだった

だから店頭でこのCBに出会ったとき電気が走ったのを覚えている

ボクが買ったのはFBだったのですでに8年落ち

外装のプラ部分の塗装が劣化していたが

エンジンは快調だった

フロントから出ていた振動もフォークオイルとタイヤを交換したらすっかりなくなった

このCB750Fには正直驚かされた

何をかと云うと

カワサキとホンダの技術力、工作精度の差だ

CBのシフトペダルを操作するたびにそれがひしひしと伝わってくるのだ

ホンダのトランスミッションは短いストロークで正確に作動し少しも緩みを感じさせない

カワサキに乗ったことがある人ならわかると思うけど

ニュートラルから1速へ入れるとなぜあんなに「ガコンッ!」と騒がしいのだろう

シフトアップもどんなにタイミングをとっても頼りなくニュルっと入り

走っていてもシフトダウンがし辛い

当時はそれを技術力、工作精度の差と感じていた

750ccとは思えないような滑らかな吹き上がり

クランクに感じるトルクはあくまでもシルキー

もちろんGPzのザラザラしたパワー感はどう猛さを含み刺激的だが

ホンダのエンジンには次元の違いを感じるのだ

だからこのGPz900RとCB750Fの2台持ちは

ガサツだけど世界のアタマを狙うモノと

すでに世界に認められたトップ企業が作り出したモノというコントラストが

乗るたびにそれぞれの良さが感じられてとても面白かった

「オトコ」カワサキもいいけど、よくできたホンダも魅力的だった



TZR250とエリミネーター400

ZX12RとTL125バイアルス

R1150RTとR100RSツインショック

いろんな組み合わせの2台持ちがあったな

3台なんて時もあった



そして今はR100とSR400

この組み合わせも相当おもしろい

SR400はついこの前まで販売が継続していたから最新機種でもあるわけだけど

どっちも設計が古い点では共通している

BMWの工作精度はホンダと種類は異なるが同じく非常に高い

材質の良さも相まって実用車的な外観ながらハイブランドの説得力が強い

ヤマハにはコスト的なハンデがあるが

モノづくりへの取り組みは職人気質を感じさせ

「ハンドリングのヤマハ」と古くから云われるとおり

人間の感性に寄り添ったオートバイが魅力だ

BMWのフラットツインもヤマハのシングルも

本当に熟成されていて

70年代にすでにここへ到達していたことに改めて驚かされる

国内外のメーカーは口にはしないが

公道を走るオートバイに必要なものは過剰なパワーでなく

扱いやすいトルクフルなエンジンと

軽量で反応がわかりやすい車体

そして操ることの面白さ

これらの方が重要だと気付いていたように思うのだ

なぜならSR400はリリースに当たって「ヤマハスポーツ新時代」と打ち出し

日常域でのスポーツ性を提案していたし

BMWモノサスフラットツインたちは排気量800ccを基本し

1000ccのエンジンも最大パワーを捨ててトルクの出方を低速寄りへと変えた

それはパワー競争のメインストリームが水冷直4のKバイクへ移ったことで

フラットツインは本来のツーリングバイクとしての実用性に重きを置いたからだ



この日常域、実用域でのスポーツ性と云うのは

現在日本で進むライダーの高齢化にもマッチしていると感じる

大型オートバイの走りは非常に官能的ではある

あのパワー感は大型オートバイにしかないものなのだ

しかし公道での過剰なパワーは非常に危険である

その危険をわかったうえで大型オートバイを扱うわけだが

年齢が上がると、経験があるが故に、自分の衰えに気付いてしまうものだ

だから多くの人がダウンサイジングを考える

カブに乗ってトコトコ走ろうか

スクーターに乗り換えようか

危ないなと思ってはいても決して降りたい訳ではないのだ

ボクも一時期そう考えてカブとかエストレヤなんかに乗ったりしてたけど

排気量落としてパワー落として

軽くして足付き良くして

みたいな事すると絶対に単につまらなくなるだけだ

諦めだからね、それは

そうじゃなくてオートバイを感じる選択をしなくちゃいけない

ボクの場合はそれは「操る楽しみ」だった

だからしっかりとした車体と最低限のトルク感

そして感性に合うハンドリングが必要だった

それは実はSR400に乗って気付いたことだった

アタマではなくカラダの方が良く分かっていた

SR400は官能的なのだ

そしてもう一方のR100

このフラットツインのトルクに包まれてワインディングを流す時

SRとは質は異なるが実に官能的だ

R100はコンチネンタルツーリングで評価されたモデルなので

長い距離を一定のスピードで駆け抜ける性能に特化している

だから日本の狭くて勾配のキツイ屈曲路はあまり得意ではない

けれどペースを守り無理に攻めたりしなければ淡々と走り抜ける

これはこれでなかなかどうして魅力的なハンドリングなのだ

縦置きのクランクはヨー方向の動きが機敏で

バンキングへの移行がまるで無重力

コーナリングは(いわゆる)アンダー傾向なので

増し切りやリーンインが必要な時もあるが

決してコーナーを攻めてはいけない

R100のペースを守ることが何より大切なのだ

そういう意味でR100はとても面白いオートバイなのだ

もちろん長距離ではこれ以上頼りになる相棒はいない

全く性格の異なる2台だが

ひとつのスタイルを完成させた奥行きと深みを味合わせてくれる

どっちもいいんだよなー

浮気性というより単なる「阿呆」という方がしっくりきそうな気もする



「暑さ寒さも彼岸まで」

むかしから言い慣わされたたくさんの言葉の中でも

群を抜く納得感がある

彼岸花の開花の正確さ精密さも手伝って

彼岸に暑さがスーッと引くと

毎年のことながら変に感動してしまうほど腑に落ちてくる

現にこれを書いている彼岸明けの今日は

日差しこそ少し強いが

湿度が低く丁度良い気温の過ごしやすさだし

夜になれば寝室の空気もひんやりとして

布団をしっかりとかぶって寝られる幸せな日々が戻った



夏の終わりに

富山県の有峰湖へ行ってみようと考えていたが

行き場を失って西日本を彷徨う「来る来る詐欺」台風にタイミングを失くし

まあ、まだまだ暑さも真夏並みの日々が続いていたので

もう少し涼しくなったら行えばいいだけのことかと

何となくこの彼岸すぎくらいかな、と感じていた

けれどその後の秋雨前線の南下と崩れた台風の残骸が重なり

信じがたい災害が能登の震災被災地を中心に発生した

ニュースを見るのも苦しいような現場の様子に

とても呑気に有峰湖に出掛けていく気にもならないのが今の気持ちだ



そうしたところへ追い打ちをかけるように

自分の身体にも異常が生じた

ここ数年なかなか治らない中耳炎

先週風呂で耳の裏側を指先で洗っている時左耳に激痛が走った

思わず声が出てそのあと悶絶するほどの痛みで

同時に耳の中で泡が弾けるときのような音が続いた

しばらくして痛みは少し落ち着いたけど

なんだか耳の中の炎症がまた出たのかなと少し不安を感じた

そうしたらこの週末の夜からひどい耳垂れがあって

耳が詰まったような閉塞感とすごい音量の耳鳴りが始まった

「また再発したなー」

週末で医者は休診だったので都合様子を見ることにしたが

耳垂れはひどくなる一方だし

夜になると(アホだからこんな状態でも晩酌するせいだと思うが)熱が出て

顔の左側全体がぼんやりとしていた

今回はまだあまりひどくないのだろうけど

完治するまでに早くても2週間はかかるだろう

ということで「有峰湖」行はまた来年ということになりそうだ

来年生きている保証もない年齢なのにね



丁度いいので夏の間に疎かになっていた

オートバイたちのメンテナンスに精を出すことにした

クロ介のオイルとフィルターを交換してやり

洗剤を使って下回りを丁寧に洗ってやった

レバーやペダルに注油してやったり

スロットルの作動部のグリスを塗り替えてやったり

エアクリーナーのフィルターを交換したり

まあクロ介はそんなところだ

おかめ(エンジンフロントカバー)の下側のオイル漏れは相変わらず

まだしばらく問題なさそうだ

(オイル漏れてるのに問題なくはないのだけれどね)



SR400のほうはメッキが多くてすべてが剥き出しなので

濡れた路面を走るととても汚くなったように感じるが

メッキも塗装もしっかりとしていて

案外サビには強いなと感じている

とはいえ泥まみれの埃だらけはこの娘には似合わない

出来るだけいつもきれいな姿にしておいてやりたいと

自然にそう思わせるオートバイで

いつも掃除に力が入るおっさんなのだ

それと丁寧に各部を掃除すると

何となくおかしな箇所や怪しい箇所が見つかる

特に中古車はオリジナルの姿を知らないから

何が正しいのかが正直わからなかったりする

そんな中古車のSR

右のコーナリング中にどこかを接地させてしまうことが多々あって

ステップのセンサーよりも先に

車体が起き上がるくらいガツッどこかが当たっている

そうしたら今回の掃除中にマフラーのジョイントの取り付け金具に違和感を感じた

 

締めこみ部が外に向いているのだ

よく見ると角が削られている

「な訳ねーじゃん」ということで

クルッと内側へ回しておいた

多分正解、デフォルト状態

だから入念な掃除はメンテナンスの基本と云われるのだ

 

SRは古い設計のオートバイなので

レバーの接合部にはしっかりとゴムのカバーが付いていて

こいつのおかげでワイヤーの痛みがかなり抑えられている

スーパーカブのチェーンカバーもカッコ悪くて外したりしちゃうけど

あれを付けておくと本当にチェーンがいつまでもキレイなままだ

雨を走ってもオイルが切れることもなく

砂や泥もつかなくて摩耗もしにくい

いい材料の質のいい部品が使われ

車体のメッキや塗装もしっかりしていて

さらにこういった機能パーツが備わっているのは以前では普通のことだった気がする

クロ介の塗装もしっかりしていて

古いBMWって本当に錆びない

タンクやボディ外装の塗装もレベルが違うと感じる

同じ時代のプラ外装を持つ国産車はどれも色褪せや塗装剥がれが当たり前だが

クロ介は雨が降ると(湿度が上がると)表面のクリア塗装が曇る程度で

乾けばそれもキレイに戻ってしまう

製造者も自分たちのプロダクトが

何十年も長く使われていくことを願ってはいるのだろうが

実際自分が作ったオートバイが50年後に走っているとは

あまり想像してはいないんじゃあないだろうか

けれどコストをかけてもしっかりとした材料を使い

確かな信念に基づいてモノづくりをすれば

おのずと出来上がった製品には魂が宿るのだ

洗車の時ウエスでタンクのラインをなぞったり

エンジンフィンのひとつひとつを磨いたりしていると

なぜだかうっとりとしてしまうような幸福感に包まれる

良いモノとはそういうモノなんだろう



前回の記事で

次世代にオートバイが正しく伝わっていない等々書いてみたが

変速操作の仕方すらわかっていない(伝えられていない)ように改めて感じた

「インプレッションを」とか云いながらシフトアップもきちんとできないモトブロガー

大袈裟に云うと

「バーーーーッ、ガッ、クーーーーーーン」

クラッチを切っちゃってることと

変速タイミングがデタラメ

タイミングがデタラメだからギクシャクするのを誤魔化しているのか

いやクラッチを切ってタイミング合わせようとしているのか

クランクが回って、それが加速して行く時

トランスミッションがどんな力を受けているか感じていれば

シフトアップするタイミングは自ずと決まってくる

クランクが回転を上げていく勢いを少し抜くだけ

(スロットルをわずかに戻す、本当に僅かでいい)でギアは容易に動く

クラッチはそれを少し補助するだけで足りるので

指の第1関節がクイッと瞬間的に動くだけ

動くというか、「ピクッ」みたいな一瞬の腱の収縮

ライテク記事では常に語られることなのにこれが伝わっていない

それはエンジンを感じていないからなのか

エンジンの回転をコントロールする意識に欠けているのか

いずれにしろゲームのコントローラーでスイッチを押すような感覚にみえる

クイックシフターもいいだろう

ホンダのE-CLUTCH、ヤマハのY-AMTもどうぞどうぞ

でも人間にもできるよ、シフト操作くらい

仕組みを理解してオートバイから伝わる挙動を感覚で受け止め

指と爪先を精密に動かすのだ

オートバイとはそういう乗り物なのだ

何度も云うけど便利なモビリティなんかじゃない

乗ることを操縦することを楽しみ味わう趣味の対象だ



ちなみにこのクラッチ操作シフト操作を身に付けるには

クラッチレバーの角度とあそび、そしてシフトペダルの高さを

自分の身体と操作方法にマッチングさせる必要がある

特にレバーの角度は重要で乗りながら少しずつ微調整する必要がある



レバーの調整、してますか?

してない?

そいつぁ信用できねぇな―



日本自動車工業会がまとめた2023年二輪車市場動向調査によると

新車購入者の実に89.5パーセントが40代以上だった

50代から上に絞ってもなんと73.2パーセントをも占め

オートバイはもはや老人の趣味と云ってもよいと思われる状況だ

実際に乗っている人はどうなんだろう

たぶん同じような傾向なんだろう

ヘルメット脱ぐと禿アタマなんてのによく出くわすし

事故の記事でもライダーが50代というのをよく目にする

オートバイはむかしは若者の乗り物なんて云われていたし

速くてスポーティーなモデルの人気があった

馬力がいくつだとか

気筒数がとかDOHCエンジンだとか

0-400なんて気にする人も多かった

ずばりスペックがそのまま性能を表していた時代だった



それから何十年も経った今

工業製品の進化は行きつくところまで行ってしまって

スペックだけでは他社との差別化が出来なくなっている

どの製品が優れているのか分からないとも云えるし

どれも優れているから各自の嗜好によって選択できるようにもなったわけだ

しかしその結果

単に売れるということが性能になってしまったようにも見える

モーターサイクルショーに行くと各ブースの混み具合で人気がわかるが

近頃のホンダブースの人気はすさまじくて

天邪鬼なジジイは「そんなにいいか?」と近寄りもせずに帰ってくるくらいだ

ライダーのニーズはホンダにあるのだろう

けどね

オートバイは趣味の乗り物ですよ

マジョリティって必要なんですかね

それはメーカーは営利企業なので売れることはトッププライオリティでしょう

だからといってホンダのオートバイが良いとはならないのが趣味の世界のはず



モーターサイクルショー

いろんなモデルに跨ってみたけどポジションも楽なものが多かったように感じる

その辺りは流行りもあるのだろうが

購入者の年齢的なことも理由にあるのだろう

でも外見だけは派手な方が好まれるようで(というかカネが獲れる)

押し出しの強いデザインが主流だ

タイヤも太すぎる

カッコいいけどね

あと、ケツがシャチホコみたいになってるとか

逆にケツをごっそり取っ払ったボバースタイルとか

デザインバランス崩れる程長いスイングアームとか

妙なものが流行る

でもね

いちばん気味が悪いのは「ヘリテージモデル」かな

購入者の大多数を老人に占められてる以上当然の帰結なのだろう

「売れそう」なのだ



ハーレーダビッドソンには古くからヘリテイジと名付けられたモデルがあったが

復刻というより継続に近い本来の意味を持っていた

ヤマハのSRなんかに近い

時代が変わっても絶対に変わらない魅力はある

まあ最近は老い先短いユーザーにおもねていると

売り上げが先細りするのは必至なので(なんせ売り上げ至上主義だから)

ハーレーダビットソンなんかはユーザーの若返りに必死だ

はっきりいって伝統ってだけではもう生き残れないと思っているのだろう

ヘリテイジの潮流はハーレーダビットソンから生まれて

BMWモトラッドのRnineTで完全に1ジャンルとなった

ピアッジオのグループではモトグッチが

インドではロイヤルエンフィールドが

そしてイギリスの栄光はトライアンフが

それぞれ昔の名前で出ています、まるで場末のクラブホステスのように

ヘリテイジとかネオレトロとかで括られるモデルの何たる不気味さ

それもこれも購入者のニーズの反映だということらしい

ニーズは性能か



資本主義経済とは大河の流れに似ている

低い方へより低い方へ

穿ちやすく浸食しやすい方へ

より多くの水源を集め巨大な流れを作る

その姿が果たして本当に求めていた姿なのか

当の本人にも分からないしそんなことはどうでも良いらしい

存続だけが目的なんだろう

ニーズの反映は資本主義では当たり前だが

それだけでは確実に魂を失くしていくように見える

アグスタの最新3気筒エンジンを載せたスーパーヴェローチェに目を奪われても

XSR900「GP」には失笑しか出ない

プライスタグはまあ半額以下なんだけどね



ボクのオートバイたちを面倒見てもらっているテックMCは不思議な空間で

店の前にスズキのGT750があったりピカピカのZ1300がいたりする

クラウザーのR100とかちょっと古いモトグッツィのカリフォルニア

愛知県の限定解除ジジィには馴染みのスズキGSX750Eもいる

こんな奴らが当たり前のように並んでいる

オートバイの本質と魅力は「機能」にあるべきとボクは思うが

スペック至上主義のこの時代のオートバイたちも

実は相当に個性的な魅力を持っていたことに改めて気づかされる



自分のSR400で走っているとよく感じるが

いろいろな場面でSRが話しかけてくるのだ

もちろん言葉を発するわけじゃなく

ボクの五感をとおしてSRが伝わってくる

キツイ勾配でクランクに負荷がかかった時

ハイスピードでコーナリングする時

低い回転からスパッとスロットルを開いた時

様々な場面で様々な反応を返してくる

スロットルからシートからステップから

そんなオートバイが発する声に耳を澄まして

一体となって自在に操ることに没頭できるよろこび

オートバイは単なる移動の道具ではない

モビリティ?まさか

「キリン」

ポイントオブノーリターンのキリンがなぜ「カタナ」で空冷ポルシェに挑んだのか

それは恐怖と自信のアンビバレントの平衡に自身を置きたかったからだ

90年代の空冷デスモたちがクリッピングポイントへ切れ込みながらライダーを試す

それで操っているつもりなのか、と



XSR900は面白そうだけど

XSR900GPを見た時ほんとうに笑ってしまった

「そこまでして売り上げが欲しいのか」

感想はそれだけだ

エンジンが、とか操安が、とか何をどう云われても後付けにしか聞こえない

そしてそうやって稼ぎ出した利益は何を生み出すのだろうか

タイやインドのストリームを日本へ持ち込むストーリー作りにメーカーは一生懸命だ

所得水準がまだまだ低い国で安く作ったものしか日本で売れないのだ

日本人はあんなにカネを持っていながら給料が足らないとうそぶく

贅沢で自堕落な生活をしながら上ばかり見上げて足元を見ない

セレブたちのカネに寄生しているだけのプロダクトが羨ましくて仕方がない

幸せになれないのはカネがないからだと本気で思っているみたいだ

はっきりいってこんな連中が作り出すニーズなんてクソだ

燃料計、要らないね

ギアポジションインジケーター(長!)、カッコ悪い

ライディングモニター、クソが

インカムで楽しくおしゃべり、反吐が出る

スマホホルダー

ドライブレコーダー

USB端子

おえっ(吐きました)

楽しむなと云いたいのではない、むしろその逆で

オートバイはもっと楽しいんだよと伝えたい

豊田章男もかつて云っていた

「僕はね、ガソリン臭くてね、燃費が悪くてね、音がいっぱいでる、

野性味あふれるクルマが好きなんです」

クルマもオートバイも原点はそこに在るべきだと思う

メーカーはレガシィーとかヘリテイジとかアイコンとか持ち出す前に

オートバイを主張するべきではないのか

それでは売れる前に会社が潰れてしまう?

趣味の世界のファンタジーを提供する会社の云う事じゃない

原付が飛ぶように売れた頃と比べても仕方ないが

主婦層までターゲットにするクルマとは違うのだ

自転車を積みたい、みたいなニーズはないのだよ

それでもマツダにはできたのだからきっと不可能ではない筈だ

着せ替えしてまで利益を獲りに行きたいなんてすでに終わっている



そもそもカネで買えるモノの価値なんて買った瞬間にゼロだ

なぜならそれは消費することですべてが完結するからだ

マスプロダクトのプレミアムって何?

今はまったくつまらないカワサキなんだけど

これまでのカワサキの市場戦略はいつも新鮮だった

ゼファー、ニンジャ250

やりすぎたと思っている時にそんな風を吹かせてきた

そしてそれはいつも「原点回帰」の提案で

オートバイの場合、そんなモノづくりの方が支持されるべきだと思う

懐古趣味ではなく原点

ただボクたちむかしライダーにも少し責任はある

ネットを見ると用語すら出鱈目になりつつある

エンジン始動することを「エンジンをつける」と云ってみたり

単なるアイドリングを「暖気」と云ってみたり

ユーチューブには素人のしかもキャリアも浅い乗り手による

インプレッションや比較動画があふれ

「やっぱりホンダを買うのが無難」という論調が目につく(カネもらってるのか)

そんなクソメディアの影響力は強い

メーカーとがっちり手を組んでいるのか

オートバイが売れないと困るというような表現が多い

そもそもオートバイそのものでなく

移動していった後の楽しみを訴えてばかりだ

そしてその背後には間違いなく利益をむさぼろうとする輩が潜む

つまりボクら年寄りが正しくオートバイを伝えられてこられなかったのだろう

メーカーも減少し続ける販売台数に苦しみ

安易にマーケティングに頼りすぎ

売れるモノが良いモノいう方程式になっていないか

ハンターカブもレブル250も(ついでに女子も)見かけないテックMCの店頭

(いやもちろん店の大将はそこにこだわってるわけじゃないとは思うけどね)

なんだかボクには居心地がいいと感じる

ガラガラと引き戸を開けて店に入ると

ガソリン臭が鼻をくすぐり

「こんちわ」と人懐こい笑顔で大将が迎えてくれる

これを時代遅れの懐古趣味と一蹴するのは簡単だろうが

工業製品が進化し続けるなどという

もはや神話のような考え方もどうかと思う

あのころも実はスペックが性能ではなかったのだ

オートバイの持つ魅力を正しく残していってもらいたと

老いぼれは禿げたアタマを掻いているのだ




田んぼではすでに稲穂が重たく垂れさがり

セミたちの声もすこし大人しくなったかな

いつもならアブラゼミからツクツクボウシにスイッチしている頃だが

なんだかツクツクボウシの忙しない声が今年はまだ聞こえない

台風が接近してきている

夕べは床に就く頃土砂降りの雨になって

激しい雷鳴にハッと目覚めてしまうほどだった



クロ介のオカメ(エンジンフロントカバー)の下からオイルが滲んでいた

おそらくジェネレーターのシャフトのシールが劣化したのだろうが

先日、ジェネレーターの修理の時に一緒にやってもらおうか否か迷っていたのだ

テックMCへ寄って見てもらったら

予想どおり経過観察にしましょうという事だった

確かにまだオイルが滴り落ちるようなレベルではない

オカメから漏れたオイルがじんわりと広がってオイルパンまで汚し

そのオイル染みに砂ぼこりが付いてとても汚くなるってだけだ

家に戻ってとりあえずフクピカで拭き拭きしておいた

それにしても今年の夏はさすがに暑かったようで

テックの大将もみんな乗ってないと云っていた

店の前が国道1号線なのだけど休みでもオートバイが少なかったようだ

最近では会うひと会うひと皆「暑すぎて乗れない」があいさつ代わりだ

夏はオフシーズン

熱帯の日本の常識となりつつある





先日北海道を走った時

十数年前に走った時と比べて明らかに平均スピードが上がっていると感じた

ボクの平均スピードではなく北海道の人たちのスピードだ

とてつもなく速い

80km/hを中心として70~90km/hくらいだった

その横スレスレを120km/hで追い越していくキチガイもいる

北海道の道路はほとんどの場所が制限速度の設定がないので

法定速度の60km/hが決まりだが

老若男女関わらず軽自動車でもワンボックスでもとてつもなく速い

トラックやダンプも結構速くて

信号待ちで道路幅の広さよろしく「ちょっと失礼」とスルスルと前へ出ようものなら

そのあと高確率で3桁(スピード)で煽られる羽目に陥る

いい悪いでなくあの広さならまあそうなんだろうと納得はできる

因みに北海道民の運転は事故の多さから受ける印象よりはマナーがいい

流れの速さをみんながわかっているので

とにかく無理に横から出てくる輩とか横切ろうとするじいちゃんはいない

100mくらい手前でも決して入ってはこない

逆に、信号が変わって動き出す時の加速がとても遅い

そのあとの怒涛の巡行とは対照的だが

多分、冬の凍結や積雪に合わせたアクセルの踏み方が身に染みているのだろう

出足が遅いからといって追い越すと絶対に後で3桁で煽られる

まあとにかく巡行スピードが速い

今回SR400で北海道に行ったわけだが

もちろん非力とはいえSR400でも流れには十分乗れる

けれど正直スロットル開度が大きくてそれを維持するのが結構苦痛だったり

その苦痛から逃れるために握り直す面倒臭さがある

SRって本当は3000rpmくらいで流すのがいちばん気持ちがいい

でも3000rpmでは5速でも70km/hしか出てない

あと上りのワインディングなんかでは意識していないとどんどん車速が落ちる

積極的にガソリンを送り込んでいないとマッタリしたがるのんびり屋さんなのだ

もちろん意識的にスロットルを捻っていれば良いだけなんだけど

そこでみんなが良く取り付けているハイスロプーリーを付けてみることにした



アントライオンのフルパワープーリー

この5型のSRは規制クリアのためにスロットルが全開にならない仕様だけど

これを付けると全開になるらしい(それはどうでもいいけど)

だからプーリーが少し小振りで結果ハイスロになっているようだ

取り付けには何のひねりもなくて

取って付け替えるだけだ

10分くらいでワイヤーの遊び調整までできた

径が小さくなっているので

リターンスプリングが重く感じるらしいが(弱スプリングセットもある)

ボクは全然平気で云われなかったら感じなかったと思う

付けてからもう300kmくらい走らせている

正直ものすごく改善した感はないけど

実際スナッチ(握り)を変えなくても高速で巡行は可能になっている

高速道路やそれこそ北海道のツーリングにはあっても良いかもの部品だった



「あんまり走らないと無駄にいろいろなモノを買いがち」という

オフシーズンあるあるをもうひとつ

「etc」といえば以前は「エトセトラ」と読んで

「その他いろいろ、様々」という意味の言葉だった

ラテン語だったと思うが明治以降こういった言い回しが知的でモダンだったのだろう

けれど21世紀の日本では「etc」とは大文字の「ETC」のことで

高速道路の料金自動徴収システムをあらわす

NEXCOはいろんな理由をつけてこのETCを普及させてきたようにみえるが

もちろんユーザー側の利便性も高いので今では9割以上のクルマが

ETCレーンを利用しているようだ

けれどクルマ全体で見ると装着率は5割以下

オートバイを複数所有するボクたちのような人は

なかなか全部にETCを付けるのはコスト負担が大きい

だからSR400にはまだ車載器を取り付けていなくて

そんなに高速を利用することもないので積極的には考えていなかった

それに北海道へ行ったとき久しぶりに一般レーンを使ったけど

それほどメンドクサク感じなかったね

以前はそれが当たり前だったし料金所の係の人としゃべるのも好きだ

けれど最近増えてきたスマートICみたいに

2025年には全国のインターチェンジの8割ほどがETC専用になるようなのだ

そして2030年にはそれがほぼ100パーセントに達し

事実上ETCの付いていない車は高速道路を利用できなくなるという

つまり高速道路を使いたいならETCがマスト!

それでも利用頻度と車載器の購入費用を天秤にかけると

複数台所有するユーザーには負担が大きいのは事実だ

それでNEXCOが一方的なETC専用化の批判をそらすためか

毎年のようにETC車載器購入助成金キャンペーンを打ち出してくれている

ボクの地域では8月9日から今年のキャンペーンが始まった

「ETC車載器購入助成キャンペーン2024 東海エリア」



少し条件はあるけど基本1万円が出る

このETC

実はセキュリティ規格の変更が予定されていて

おおよそ2030年には規格変更が実施される

しかも予期せぬセキュリティの脅威が生じればその時期が前倒しされる可能性もあるので

余裕があるうちに新セキュリティ規格対応の車載器に換えておいた方がいい

車載器管理番号の頭が「0」から始まるものは新規格に対応していない

おそらく2輪車用の車載器は現行機種でなければ駄目だと思う

2輪車用の車載器は種類も少なく価格も高いので

キャンペーンは有効に利用したほうがいいね

SR400は40年以上の使い回しなので

様々な追加装置で見えないところはギチギチに詰まっている

ETCなんて収まる訳ないんだけど

シート裏のプラスチックの突起(多分書類入れを留める)を切り落とせば

フェンダーの後ろの方にピッタリ入る



メーカーは左ステップにステーをかませて取り付けるよう推奨している風だが

ここでも問題ないだろう

フェンダーの振動が思いほか大きいことと

ETCカードの出し入れのたびにシートの取り外しの手間がかかることは

自己責任の上折り込み済みだ

それにしてもETCの取り付けって

自分ではやらせてくれないよね

付けてもらって後から手直ししなかったことないんだけどね

ケーブルの取り回しとかステーの位置とか瞬時には決められないでしょ

だから今回もケーブル固定せずに剥き出しで返してもらったよ

どうせ後からやり直すならその方が楽だからね



ハンドルのところに丸見えなのがちょっと気になるけど

スッキリ収まってはいる

新東名でテストしてきたら大丈夫だったよ



激しい雷雨の一夜が明けて

それでもなんとか日中は天候が回復した

台風が南の海上をウロウロしているから

いつ雨が降るか予想がしづらい

今朝の上空はすっきりと青空が広がっていてまだまだ真夏ような暑さ

バックにカッパを放り込んで走り出した

やはり空気はもう真夏のそれとは違っていて

日陰に入れば秋を感じる程だった

いつもの川沿いの木陰は少し寒いぐらいだ

気付けばツクツクボウシが盛んに鳴いていた

すっかり大きくなったツバメの子たちも旅立ちの準備に忙しくとびまわり

すっかり実った田んぼでは稲刈りが始まっている

秋がもうすぐそこまで来ているね