ツアーで来ているランナーたちはどのくらいツアー会社から情報を得てエントリーしたのか分かりませんが、私だったら応募しません。という前にこのレースではツアーを組まないだろうと思いました。まさか…ゴールデンウィーク中に開催されるからという安易な発想でツアー会社はこのマラソンツアーを組んでいたりして…日本だったらあり得るなぁ~
私がレースを選ぶ基準はフラットなコースかどうかです。なぜなら、心拍数を一定レベルで維持でき、マフェトン理論の走りを最大限発揮出来るからです。ですので、どこで走るか以前の問題として、はじめにチェックするのが高低差です。私は通常、高低差100フィート以内のコースを選んでます。もちろん、サンフランシスコの坂でさんざん鍛えているので、坂が怖いわけではなく、記録狙いという観点から100フィート以上の差のレースは対象外ということです。今回、バンクーバーはそのつもりでした…が、走り終わってデータをチェックした後、重大なミスに気がつきました。ウェブサイトで表示されている高低差はフィートでなくメートルだったこと…1メートルは3.28フィート、つまり仮に100メートルの高低差の場合、328フィートの高低差があることになり、自分の選ぶレース基準から大きく外れていたのです。100はフィートではなくメートル…しまった…ちなみに328フィートがどのくらい高いか比較すると、ゴールデンゲートブリッジ…海面近い道からブリッジ上の歩道の高さは約220フィートです。約1.5倍の高低差がバンクーバーマラソンではあることになります。最大の長い坂がバンクーバーマラソンでは前半コースにあるんです。案の上、今までコンスタントに私より速く走っていた日本人を含むランナーたちが次々とこの坂で脱落…スタミナ切れで歩いているランナーやら、途中で止まってストレッチをやっているランナーやらたくさん観ました。私?私は先ほど言いました通り、サンフランシスコの坂でさんざん鍛えているので、途中で止まることもなく、あれ?100フィートってこんなに長かったっけ⁇と思いつつ登り切りました。でも、精神的にはそうでも身体は正直で、心拍数が通常のフラットコースより上がってたんですね。ということは乳酸値のコントロールが出来ない状態に陥ってしまったんです。
この乳酸値というのは厄介な代物で、うまく使えばエネルギーになるし、使えなければ身体の機能を止めてしまうんです。では、どうすればうまく使えるのか? 有酸素運動です。マフェトン理論の心拍数ランがそれを支えてくれます。運動すれば乳酸値が発生しますが、有酸素運動内の心拍数に保つことができれば、乳酸値はエネルギー源として還元することが可能となり、ここに不変のエネルギーサイクルが生じることとなりランニングの上での重要なスタミナになります。ところが、有酸素運動以上の心拍数で走った場合、乳酸値生産が消費を上回って余った乳酸値を処理しきれなくなり、身体が全く動かなくなります。走りたくても走れない。歩きたくても歩けないということですね。俗に言うマラソン中の壁にぶち当たるということです。1度この状態に陥ったら最後、どうにもならなくなります。
で、未然にその状態に陥る前にわかるのか…分かります。症状が出始めると足が鉛のように重くなり始めます。心拍数ももちろん高いです。その状態が重傷になる前にどういうレース構成にするか瞬時に決断しなければなりません。
その決断は人それぞれなのでどの決断がいいとか悪いとか言いませんが、私の決断は前回言いました通り、ペースを落としてもコンスタントに距離が稼げるラン・ウォーク法に切り替えました。これってよくインターバルトレーニングでやりますよね。私はそのイメージでやりました。結果としては区間ごとでランナーを次々と抜いていたみたいで最終的には400人抜きしました。
結論を言うとバンクーバーマラソンは景色は確かにいいですが、記録狙いのレースとしては不向きです。私はもう1度ここを走るかと言われたら、NO!と迷わず言います。