ボクの大先輩が以前、こういうことを言っています。
「花は観手に咲く」
これは室町時代の猿楽師、世阿弥っていう人が言った言葉です。
世阿弥は父の観阿弥とともに、今に受け継がれる観世流の能を大成させました。
その世阿弥がそう言っているのです。
どういう意味なのでしょう。
この「花」の意味。
世阿弥は能を観て美しいと思ったり、すばらしいと感じたりする感動を、「花」と表現したんです。
そして、その「花」は能を舞っている演者にあるのではなく、観ている観客に咲く。
そう言ったのです。
実際の花で考えてみましょう。
ボクは黄花コスモスが好きです。
オレンジ色の花です。
だから人に家や道端に咲いていると、きれいだなって思う。
でも、花に関心のない人はその美しさにも関心がない。
ということは黄花コスモスが美しいのではなく、その花を美しいと思う人の中にあるということ。
この含蓄のある言葉は、現代のビジネスにすばらしい示唆を与えてくれます。
日々ビジネスに携わっているボクたちは、この言葉を、しっかりと胸に刻まなければならない。
花は観手に咲くということ。
ビジネスでの「花」。
それは、あなたの会社の価値、お店の価値、商品の価値そういうことです。
そして、その「価値」は、あなたにあるのではなく、お客さまに咲くってことです。
モノであれ、サービスであれ、あなたはきっと素晴らしい商品を売っているはずです。
でもね、その素晴らしい価値はあなたの商品にあるわけではない。
あなたの商品には価値はないのです。
あなたの商品の価値を認めてくれる人がいて、初めて存在するのです。
だからあなたの商品の価値は、あなたが決めることではないってこと。
お客さまが決めるんです。
だからあなたの商品の価値を、お客様に咲かせなければならないんです。
これはどういうことかというと、お客さまにあなたの商品の価値を正確に伝えなければならないってことです。
あなたがどんなに素晴らしい商品を売っていても、あなたの会社がどんなに優れたサービスを提供していても、お客様にその良さを伝えなければ、それは存在しないと同じことなんです。
そう伝わらないってことは、存在しないんです。
だから伝えましょう。
伝える時には、商品からスタートしないこと。
商品の質の良さや、こだわりだけだと、モノを売っている発想になって、最終的には価格競争になっていく。
安くしなければ売れなくなっていってしまいます。
すべてにおいて、商品とかサービスから発想することをやめることです。
スペックなんて誰も求めていない。
どんなにこだわった商品をつくっても、ほかの店もこだわっています。
他とはちがうという個性を訴求することが大事なんです。
伝えるためには言葉を使います。
「言葉」がとっても大切です。
言葉はコストがかからない。
でも言葉の選びかたひとつで、売上が変わるんです。
言葉を変えたからって、チラシの印刷代が変わるわけではない
言葉を変えたからって、インターネットのホームページがよけいにお金がかかるわけじゃない。
でも、言葉ひとつ変えただけで、販促物の反応があがり、売上が劇的に変わることもあるんです。
あなたの商品の価値を伝えましょう。
言葉に注意をはらわなければならないのです。