通販プロデューサー

通販プロデューサー

売れない商品を売れるヒット商品に変身させる
通信販売に魔法をかける専門家

広告費が、上がり続けています。

その重力で、定期購入の設計が静かにゆがみはじめています。

 

 

化粧品の定期購入トラブルが、社会問題として語られるようになりました。

規制が強化されても、強引な販売をやめられない事業者が残っています。

なぜでしょうか。

 

「悪質だから」では、答えは見えてきません。

業界紙の一次情報が、構造を丁寧に解いていました。

 

▍化粧品はリピート型の事業として発展し、品質と使用実感で信頼を築き、

長期継続でLTVを高めるのが基本モデルでした。

 

▍しかし競争激化で顧客獲得コストが上がり、

広告費の回収そのものが経営課題になっています。

 

── 出典:週刊粧業オンライン/「化粧品通販の定期購入問題はなぜ起きるのか~

広告費高騰で変わるLTVの意味とブランド経営の課題」(加藤英俊)

回収が課題になると、「最初に縛って回収する」発想に傾きます。

 

その結果が、定期購入問題です。

同記事は、こうも言っていました。

 

▍定期購入は「仕組み」ではなく「思想」で崩れる。

出典:週刊粧業オンライン/同上

ここで、見えない敵が現れます。

 

敵はお客様でも広告費でもなく、回収を急ぐ私たちの焦りです。

焦りは、設計に必ず出ます。

 

解約フォームを少し探しにくくする。

特典を「今だけ」と急がせる。

 

どれも、回収を急ぐ焦りの表れです。

そして、その焦りはお客様にちゃんと伝わってしまいます。

 

伝わった瞬間、信頼はそっと離れていきます。

ここで、LTVの読み方を変えてみます。

 

LTVを「いくら搾り取れるか」と読むと、設計は縛りに向かいます。

LTVを「どれだけ長く信頼してもらえるか」と読むと、設計は関係づくりに向かいます。

 

この読み替えが、LTVの再定義です。

化粧品は、使ってみた実感が物を言う商材です。

 

だからこそ、最初の体験をていねいに支える設計が効きます。

縛りで引き止めるより、実感でつなぐほうが、結局は長く続きます。

 

拙著『億超えのルール』の第4章でも、法則11「定期購入の支持」の法則として整理しています。

支持される定期とは、縛る定期ではなく、自分から続けたくなる定期のことです。

 

その出発点として大切にしているのが、初回から2回目までの「間隔」という指標です。

最初の一歩がつながるかどうかで、その後の関係の温度が決まります。

 

解約のしやすさは、もはや前提条件です。

やめやすくしたうえで、それでも続けたくなる理由を用意する。

 

この順番でしか、定期購入問題からは抜け出せません。

 

今日の一手は、たった1つ。

初回購入から2回目購入までの「間」に、声かけの1通を足してください。

 

「届きましたか」「使い方はこうですよ」で十分です。

 

解約導線をいじるより先に、この1通です。

縛るのをやめて、支持される定期へ。

 

今日も一段、階段を昇っていきましょう。

新しい商品を出すとき、いちばん怖いのは「売れ残り」ではないでしょうか。

在庫を抱えてから売り先を探すと、資金も気持ちもすり減っていきます。

 

 

今日は、その順番を入れ替える発想をお届けします。

つまり、売る前にファンを集める。

 

集めて、確かめて、それから作って届ける。

これが「ミニマム通販」の考え方です。

 

先日、本業が通販ではない会社が、D2Cブランドを立ち上げた事例がありました。

▍Reqree株式会社の新規事業部として、新D2Cブランド『Hibié』が始動。

▍第一弾は、紙袋をファッションアイテムへと再定義した新しいバッグ。

▍2026年4月1日より、CAMPFIREで先行予約販売を開始。

 

出典:PR TIMES/Reqree『Hibié(ヒビエ)』始動リリース(2026年4月1日)

注目したいのは「先行予約販売」という順番です。

 

Reqreeの本業は、実は不動産業です。

 

通販の専業でなくても、1点に絞れば新ブランドは始められる、という示唆があります。

多くの新規事業は、商品を完成させてから販路を探します。

 

でも、できあがってから売り先を探すと、在庫が日に日に重くなります。

ここにひそむ見えない敵が「作ってから集める」という順番そのものです。

 

Hibiéが先に提示したのは、値段ではなく世界観でした。

 

▍ブランド名は、Hibi(日々)にフランス語の語尾é(洗練・美しさ)を添えたもの。

▍「何気ない日々に、彩りを。」という想いが込められている。

 

出典:PR TIMES/Reqree『Hibié』始動リリース(2026年4月1日)

世界観が先に立つと、人は価格ではなく共感で集まります。

 

そして同社は、いきなり大量生産には進みませんでした。

まず先行予約で、需要を先に確かめています。

 

先行予約は、つくる前に「ほしい人」を数えるテストマーケティングになります。

では、あなたの事業では何から始めればよいでしょうか。

 

大きな市場調査は要りません。

まず、あなたが「これは惜しい」と感じた場面を1つ、メモに書いてみてください。

 

その違和感を、商品名ではなく世界観の言葉に翻訳します。

次に、その世界観に共感しそうな10人を思い浮かべます。

 

その10人に、予約という形で声をかけられないかを考える。

これが、ファンを先に集めてから売る、最初の一歩です。

 

見込み客から顧客へ、そしてファンへ。

その階段の一段目は、あなたの違和感メモから始まります。

 

「AIを活かしたD2C」のお話です。

少し前まで、AI経由の流入は「数は増えるが買わない人たち」と見られていました。

 

 

その評価が、2026年に入って逆転しました。

AIで来たお客様のほうが、よく買い、よく回遊し、返品も少ないのです。

 

▍Adobeの分析では、2026年3月時点でAI経由の流入のCVRは非AIより42%高い。

1年前は非AIの約半分でした。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/Digital Commerce 360 翻訳・編集(原典データ:Adobe)

「約半分」から「42%上回る」への逆転です。

 

しかも、この流入は急増しています。

 

▍2026年の最初の3か月で、AI経由の流入は前年同期比393%増でした。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/Digital Commerce 360 翻訳・編集(原典データ:Adobe)

 

なぜ、これほど質が高いのでしょうか。

理由は、お客様が買う前にAIで疑問を解消しているからです。

 

▍AIを利用した消費者の79%が購入に安心感を持て、69%が「返品する可能性が低い」と回答しています。

出典:ネットショップ担当者フォーラム/Digital Commerce 360 翻訳・編集(原典データ:Adobe)

 

買う前に納得しているから、買った後に後悔が少ない。

これが、低い返品率の正体です。

 

では、小さな通販は何から始めればよいのでしょうか。

 

今日の一手は、商品情報を「AIに正しく読まれる形」へ整えることです。

 

まず、「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」を商品ページに書きます。

 

次に、よくある質問と答えを、ページの中に置きます。

最後に、お客様の声を、具体的な利用シーンとともに載せます。

 

この3つが、AIが確信を持って薦める材料になります。

商品が絞られている小さな通販ほど、情報を整理しやすく、AIに読まれやすい強みがあります。

 

入口がAIに変わっても、買った後にファンになっていただく設計は、私たちの仕事です。

AIを入口に、関係づくりを出口に置く。

 

この往復が、これからのD2Cの背骨になります。

 

「AIを入れたのに、売上も働き方も変わらない」。

最近、そんな声をよくお聞きします。

 

 

実はこれ、十数年前の「DX」と同じ景色なのです。

今日は、AX(AIトランスフォーメーション)という考え方を、やさしくお伝えします。

 

題材は、AIによる日本経済の成長戦略をまとめた一冊の主張です。

多くの通販が、カートやCRMという道具を入れてきました。

 

でも、仕事のやり方も意思決定も、変わっていません。

 

▍日本のDXは『IT導入』止まりで、意思決定や事業構造を変えられなかった。

道具を入れただけで業務を変えなかったことが敗因

 

出典:日本経済AI成長戦略 主張まとめ Web版「序章」

道具を入れることと、仕事を変えることは別物です。

 

AXは、意思決定の「OS」そのものを書き換えます。

 

▍情報収集と階層的合意の価値が消え、決断と責任だけが残る

出典:日本経済AI成長戦略 主張まとめ Web版「第2章」

 

通販に置き換えると、はっきりします。

 

「情報を集めて会議で間違えない」価値が薄れる。

経営者に残るのは、決めて責任を取る仕事です。

 

ここで、見えない敵を名指しします。

 

それは「指示待ちのまま、AIに使われる自分」です。

 

サイトは、人が二極化すると言います。

 

▍『指示待ちデスクワーカー』と『AIを部下にする人』に二極化。

後者に必要なのが4つのボス力

出典:日本経済AI成長戦略 主張まとめ Web版「第3章」

 

通販経営者に必要なのは、AIを部下にする「AIのボス」になることです。

 

問いを立て、指示し、決め、責任を取る。

この4つが、規模を問わない判断軸になります。

 

ここで、もう1つの合言葉をお伝えします。

 

それは「業務改善」ではなく「業務廃止」です。

 

手作業の集計や転記は、良くするより、無くす方が速い。

サイトは、使えるAIは使い倒し、価値を生む所へ人を集めよ、と説きます。

 

価値を生む所とは、お客様がお金を払う工程のことです。

通販でいえば、2回目購入や定期継続の関係づくりにあたります。

 

まずは今週、自社の作業を1つ、AIへ任せてみてください。

受注処理でも、問い合わせ対応でも構いません。

 

そこで空いた時間を、お客様との関係づくりへ振り向ける。

 

小さな通販こそ、身軽に飛び越えられます。

 

「AIで通販を自動化したい。でも、何から手をつければいいのか」。

そんなご相談が、この1年で一気に増えてまいりました。

ツールは増えましたが、入れただけで売上が伸びるわけではありません。

 

 

今日は、シナブルが2026年5月に発表した「EC Intelligence」を題材にお話しします。

このツールは、通販の詰まりを3つに整理しています。

 

▍EC事業者が抱える「分析の属人化」「検索離脱」

「一斉配信による反応率低下」という3つの課題を、生成AIで解消する。

出典:株式会社シナブル プレスリリース(PR TIMES)(2026年5月25日)

分析が一部の人にしかできない。

 

検索でほしい商品にたどり着けない。

配信が一律で、お客様に届かない。

 

CRM自動化とは、この詰まりをAIで通すことです。

なかでも検索のつまずきは、売上を大きく削ります。

 

▍約6割のユーザーが、検索結果が0件になるなど

検索体験の悪さを理由に、購入を諦めた経験がある。

出典:株式会社シナブル プレスリリース(PR TIMES)(2026年5月25日/同社独自調査・1,030人)

広告で集めたお客様を、入口で取りこぼしている状態です。

 

EC Intelligenceは、ここにAIを当てています。

商品情報から関連ワードや表記揺れを自動でタグ付けし、検索の取りこぼしを減らします。

 

さらに、お客様ごとに反応しやすい時間帯を分析し、配信を自動で最適化します。

分析を助けるAIアシスタント「Mate」も搭載されています。

 

大事なのは、これらが同じデータベースでつながっている点です。

分析→施策→配信が止まらず、顧客育成がなめらかに進みます。

 

では、今日から何ができるでしょうか。

まずは「離脱の地図」を1枚描いてみてください。

 

集客→検索→カート→購入→継続を横に並べる。

各段で「何人が、なぜ落ちているか」を書き込みます。

 

そして、損失が最も大きい段からAIを当てる。

拙著『伝説の通販バイブル』でも整理しているように、

通販はお客様と長く続く関係を育てる仕事です。

 

AIはその関係づくりを速める道具であって、

目的そのものではないと、私は考えています。