売上至上主義から脱却せよ。
顧客を「個」として愛する「西村式CRM」の全貌
はじめに:なぜあなたのCRMは機能しないのか?

多くの経営者やマーケターがCRM(顧客関係管理)という言葉を口にします。
しかし、その実態は単なる売上管理表の延長線上にあることがほとんどです 。
今月はいくら売れたか?
どの商品が売れているか?
こうした視点は、主語が「商品」や「会社」になっており肝心の「顧客」が不在です。
西村式CRMでは、CRMをツールやシステムではなく
顧客一人ひとりとの関係性を管理し、育むプロセスと定義します 。
1. 成功を測る「2つの絶対基準」
CRMがうまくいっているかどうかを判断するための、
極めてシンプルな指標があります。それが以下の2つです 。
リピート率:60%以上&年間LTV:18,000円以上
この2つの条件を同時に満たすこと(AND条件)が、
通販ビジネスやリピート型ビジネスにおける成功の分岐点です 。
なぜ18,000円なのか? それは、多くの成長企業において、
顧客がそのブランドを生活の一部として取り入れる際に発生する平
均的な年間購入額と一致するからです 。
この基準を下回っている場合、それは顧客との関係が薄いサインであり
早急なシナリオ設計の見直しが必要です 。
2. 顧客を「理解」し「識別」する5つのステージ
CRMを戦略的に進めるためには、顧客が今どの段階にいるのかを把握する
前提のステージと、そこからアクションを起こす実現のステージに分ける必要があります 。
顧客を理解する
全体的な顧客の動向を把握する 。
顧客を識別する
顧客を「集団」ではなく「個」として捉え、動向を把握する 。
顧客を維持する
優良な「個」の離脱を防ぐ 。
顧客を育成する
優良客になりそうな層へアプローチし、ランクアップを促す 。
顧客を獲得する
既存の優良客に似た新規客を狙って獲得する 。
この順番が重要です。
多くの企業は新規獲得にばかり目を向けますが、
まずは既存客の理解から始めるのが西村式の鉄則です 。
3. 2つの分析法を使い分ける
RFM分析とCPM分析
顧客を正しくセグメントするために、2つの分析手法を併用します 。
・RFM分析(売上管理)
Recency(直近購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3軸で評価します 。
今、誰が一番お買い上げいただいているかを把握するのに適しています 。
・CPM分析(在籍管理)
購入回数や累計金額だけでなく、初回購入からの在籍期間や離脱期間を重視します 。
かつて優良だったが、今は離脱しそうな顧客
をいち早く察知し、フォローすることが可能です 。
この分析に基づき、全顧客の上位20%を優良顧客、上位1%を
ファン(VIP)として特別に扱います 。
パレートの法則(2割の顧客が8割の売上を作る)は、
CRMにおいても絶対的な真理です 。
4. 「熱狂」を生むコミュニケーション設計
デジタル化が進む現代だからこそ、西村式ではオフラインの力を重視します 。
超優良顧客には手書きの手紙を送る:これが最強のLTVアップ施策です 。
同梱物をセグメント別に変える
新規客、一般客、優良客で届ける情報を最適化します 。
VIP専用ダイヤルの設置
一番大切なお客様を、一番大切にできる仕組みを作ります 。
単なる割引(価格)での引き止めではなく、
ブランドのビジョンやミッションへの「共感」を通じた
信頼感と特別感を提供することが、ファン化への最短ルートです 。
優良顧客TOP10の名前が言えますか?
あなたの会社の優良顧客TOP10の方々が、
どのような方で、なぜ自社を愛してくれているのか。
そのお名前とストーリーを語れるでしょうか?
CRMとは、冷たいデータ処理のことではありません。
顧客の「満足」を超えた「熱狂」を作り出し、
価格競争に巻き込まれない強い絆を築くための「愛の経営」そのものなのです 。



