通販プロデューサー

通販プロデューサー

売れない商品を売れるヒット商品に変身させる
通信販売に魔法をかける専門家

ビールを売る会社が、ビールを飲みすぎないための道具を発売しました。

価格は、1万3750円です。まず、事実から確認いたします。

 

 

▍ビールだけを飲むとバランスが崩れて倒れてしまうU字型のビアグラス

 

▍ビールだけ飲むとグラスがふらつき倒れるため

ビールと同程度の水を飲まないといけない仕組み

 

出典:株式会社ヤッホーブルーイング プレスリリース(2026/8/5)

 

商品名は「ふらつくビアグラス by よなよなエール」です。

 

▍価格:13,750円(税込・送料別)

予約販売開始:2026年8月5日(水)9時/発送予定:2026年9月中旬

出典:同プレスリリース

 

高い、と感じられたでしょうか。

ところがこの商品は、グラスとして比べられていません。

 

背景に、自社調査があります。

 

▍調査対象:636人の飲酒習慣者/調査時期:2026年5月20〜21日

アルコール脱水認知:75.6%/水分補給不十分:75.0%

出典:同プレスリリース

 

知っているのに、できていない。

この落差が、商品の存在理由になっています。

 

売っているのは、ガラスの器ではありません。

「知っているのにできない」を、道具の力で解決する体験です。

 

さらに、設計が見事でした。

 

▍50店舗にグラス2個をお送り/応募期間:2026年8月5日〜9月30日

出典:同プレスリリース

 

飲食店に、無償で配るのです。

売る前に、体験できる場所を増やしています。

 

自社のレストランでも、試せる形をつくりました。

 

▍「ふらつくビアグラス&よなよなエール(350ml缶)セット」を880円(税込)で提供

出典:同プレスリリース

 

1万3750円と、880円。

 

この2つが、同じ体験への入り口として並んでいます。

 

880円で体験した人が、語り、撮り、そして選びます。

小さな会社が真似すべきなのは、価格の高さではありません。

 

入り口を高低2つ用意した、この設計のほうです。

そしてもう1つ、数字があります。

 

▍7回の試作を経て現在のグラスの形が実現

出典:同プレスリリース

 

ふらつくが、倒れきらない。

その加減のために、7回つくり直しています。

 

理由も、明記されていました。

 

▍適正飲酒はクラフトビールメーカーとして継続して取り組んでいくべき課題

出典:同プレスリリース

 

先に立場を決める。

それから、触れる形に翻訳する。

 

私が支援してきた松尾農園グループは、10年で3,000通を送り続けました。

 

いまは売上の90%が、既存のお客様から生まれています。

送り続けられたのは、伝えたい立場が先にあったからです。

 

やっていることは、値引きの反対です。

立場を決め、形にし、体験できる場所を増やす。

 

1人の熱中が、100人の推し活を生む。

 

その最初の1人は、すでにあなたのお客様の中にいます。

 

お盆商戦の準備、進んでいますか。

商品の在庫と広告の準備は万全でも、意外な場所に落とし穴があります。

 

決済の画面です。

今月、気になる分析データが公表されました。

 

 

▍決済最適化SaaSを提供するYTGATEが、

加盟店の約1,000万件の実取引データを分析した。

 

▍7月の決済エラー率6.76%に対し、

お盆期間(8月13〜21日)は13.62%に達し、7月比で約2倍となった。

 

出典:Commerce Innovation/EC決済エラーがお盆期間に急増?

7月比2倍の見通し YTGuard分析

 

この数字はYTGATEの自社データ分析としての発表です。

それでも、お盆はおよそ7〜8件に1件の決済が通らない計算になります。

 

広告費をかけて集めたお客様が、最後の1画面でこぼれ落ちているのです。

エラーの内訳も示されています。

 

要因がわかったもののうち、約47%は3Dセキュア認証の失敗でした。

次いで約40%がカード会社による非承認です。

 

カード番号の打ち間違いより、本人認証の「つなぎ目」で落ちています。

繁忙期は、普段ECをあまり使わない方の流入が増えます。

 

その不慣れなお客様ほど、認証や入力でつまずきやすいと分析されています。

でも、考えてみてください。

 

繁忙期に初めて来てくれたお客様は、未来のリピーター候補です。

最初の買い物でつまずかせたら、2回目はありません。

 

救いもあります。

入力誤り系のエラーは、再挑戦で復帰する可能性が高いそうです。

 

エラーを出したお客様は、買う気を失ったわけではないのです。

だから今週末、1つだけやってみてください。

 

自分のお店で、実際に1件テスト購入をすることです。

スマホで3Dセキュアの認証画面まで、最後まで通ってみる。

 

エラーが出たときの文言が、次の行動を案内できているかを見る。

 

エラー後にカートの中身が消えないかを確かめる。

この3つだけで、お盆前の点検としては十分な第一歩です。

 

あわせて、ヤマト運輸が8月8〜16日に

荷物の遅れの可能性を公表しています。

 

「お盆期間はお届けが遅れる場合があります」

という一言も、サイトに載せておきましょう。

 

先回りの案内は、クレームを防ぐだけでなく、

誠実なお店という印象を残してくれます。

 

ちなみに、この分析では10月末にも

決済エラーの第2のピークが確認されています。

 

お盆前の点検は、そのまま秋商戦と年末への備えにもなるのです。

お盆のピークは8月13日から始まります。

 

広告を増やす前に、レジを直す。

 

順番を間違えないことが、繁忙期の売上とリピートを守ります。

今日は「AI接客」の話をします。

楽天市場に導入された会話型の「AIコンシェルジュ」が

はっきりした成果を出し始めました。

 

 

▍AIコンシェルジュの利用により、楽天市場では購入決定までの時間が約41%短縮、

平均注文金額が約17%増加した事例が出ている。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/

楽天、会話型の「AIコンシェルジュ」で注文額17%増。買い物体験をどう変えた?

 

この数字は楽天の発表によるもので、2026年5月1〜25日の通常検索経由との比較です。

会話で買い物を手伝うと、決断が速くなり、客単価も上がる。

 

実店舗の接客で起きてきたことが、ついにECの数字で証明され始めたわけです。

面白いのは、AI接客がよく使われる場面です。

 

記事によると、ギフトのように「欲しいものがまだ曖昧な」買い物で多く使われているそうです。

迷っているお客様ほど、接客で単価が上がる。

 

これは店頭に立ったことのある方なら、深くうなずける話ではないでしょうか。

では、小さな通販はこの流れにどう備えるべきでしょうか。

 

楽天は、AIに選ばれる条件として「商品情報を豊富に載せること」をあげています。

色やサイズだけではありません。

 

ターゲット、利用シーン、顧客の声、わかりやすいメリットまで含めた情報です。

 

▍AIコンシェルジュに選ばれやすくするために、

商品情報を豊富に掲載することです。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/同記事

 

つまりAIは、ページに書かれていない魅力を代弁できないのです。

これは広告費の勝負ではなく、接客ノウハウの言語化の勝負です。

 

お客様の顔が見えている小さなお店ほど、有利に戦える領域だと私は考えています。

今日からできる一手は、とてもシンプルです。

 

主力商品を1つ選び、商品ページに「接客台本」を書き足すこと。

誰のための商品か。

 

 

いつ、どんな場面で使うのか。

買った方は何と言っているか。

何がどう変わるのか。

店頭で聞かれたら答えるはずのことを、そのまま文字にするだけです。

書き終えたら、その台本はメルマガやLINEの文面にもそのまま使えます。

1つの言語化が、新規のお客様の背中押しから、リピートの育成まで何度も働いてくれるのです。

AI接客の時代は、接客上手な店の追い風です。

あなたの売り場に、言葉の店員さんを立たせてあげてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今日は「公式アプリやLINEを作ったまま放置していませんか」というお話です。

あの三陽商会の公式アプリは、かつてストア評価2.5という厳しい状態でした。

 

 

▍以前のアプリは主な用途が店頭での会員証提示に限られ、

ECへの導線がほとんど存在しなかった。

 

▍リニューアル前のアプリストア評価は2.5と低迷していた。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/「ストア評価2.5→3.8へ!

 三陽商会の『SANYO公式アプリ』、リニューアル成功の裏側とOMO戦略」

(メグリ株式会社提供記事)

 

会員証を見せるだけのアプリ。

 

開くたびに求められるログイン。

小さなストレスの積み重ねが、2.5という数字になっていたのです。

 

では、何を変えて3.8まで回復したのか。

答えは意外にも「減らすこと」でした。

 

毎回のログインをシングルサインオンで消す。

 

ブランドごとに乱立していたプッシュ通知を整理する。

 

店頭では、商品バーコードを読めばECで詳細を見られる仕組みを作る。

 

▍リニューアル後の1年間でアプリ経由売上は前年比126%を記録し、

目標としていた売上比率30%を突破した。

 

▍ユーザーアンケートでは全体の8割超が「普通」から「満足」と回答した。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/同記事

 

足したのではなく、引いた結果の126%です。

 

これは大手だけの話ではありません。

 

小さな通販にとっての公式LINEやメルマガも、まったく同じ構造です。

 

登録直後にセールスばかり届いていないか。

配信の頻度が、お客様の生活を邪魔していないか。

 

今日、自分のスマホで自社のLINEに登録し直して、顧客として体験してみてください。

直すべき場所は、あなたのポケットの中で見つかります。

 

公式アプリもLINEも、〔新規顧客→優良顧客〕への階段を支える手すりです。

 

手すりの点検、今日からはじめましょう。

 

今日は、通販の「もったいない」を数字で見つめ直すお話です。

カートに商品を入れたお客様の6割以上が、買わずに姿を消しています。

 

 

▍2026年上半期のECサイトの平均カゴ落ち率は63.48%でした。

▍カゴ落ちによる機会損失額は、実際の売り上げの約2.85倍に達しています。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/ECサイトの「カゴ落ち」は63%、

機会損失額は売上の2.8倍、「カゴ落ち」メールの平均開封率42%【2026年上半期】

 

売上の2.85倍が、静かに取りこぼされている計算です。

 

背景には「厳選消費」があると分析されています。

物価高で、お客様は送料を含めた総額を慎重に確かめてから買うようになりました。

 

つまり、商品が悪いから離脱するのではありません。

迷っている背中を、誰も押していないだけなのです。

 

そこで効くのが、カゴ落ちメールによる追客です。

 

▍カゴ落ちメールの平均開封率は42.0%で、一般的なメールマガジンの約3倍でした。

▍食品ではコンバージョン率3.60%と、購入の後押しにつながる傾向がみられました。

 

出典:ネットショップ担当者フォーラム/同上

 

この数値はツール提供元e-365の自社データに基づく発表値です。

それでも、購入意欲が高い瞬間に届くメールの力はよく分かります。

 

小さな通販こそ、今日から動ける一手があります。

 

カート離脱から24時間以内に届くリマインドメールを、1通だけ設計してください。

 

件名は「お買い忘れはありませんか」という確認形で十分です。

本文には送料無料ラインとの差額を書き添えてください。

 

拙著『ミニマム通販バイブル』でも、集めたお客様を追いかける

仕組みを先に用意する設計を大切にしています。

 

カゴ落ちは失注ではなく、未完の注文です。

 

欲しいと思った気持ちが冷める前に、そっと一通を届けましょう。

 

その一通が〔見込み客→新規顧客〕の橋になります。