キャリア警察官僚・竜崎伸也を主人公とした隠蔽捜査シリーズ7作目(他にスピンオフ作品も2冊ある)。
サイバー犯罪と非行少年の殺害事件の解決に向け奮闘し、竜崎が大森署長として関わる最後の事件となる。
今回も印象に残るフレーズがいくつか。
「日本の社会において、挨拶だの礼儀だのというのが、仕事の上でも潤滑剤になっていることは、心得ている。だが、警察の仕事は一刻を争うことが多い。竜崎としては、一秒も無駄にしたくないのだ。」(32頁)
「どうして管轄にこだわるのだろう。気がついたものが端緒に触れる。それでいいじゃないか。」(34頁)
「理不尽な命令には従ってはならない」(35頁)
「原理原則はすべての物事の中心軸だ。人体で言えば背骨で、最も大切なものだ。それを無視したら物事がまったく見えなくなる。問題に直面して右往左往している人は、原理原則を忘れているのだ。逆にそれをしっかりと押さえている人はどんな問題にも対処できる。」(48頁)
「未来に夢を持てないというのは、他人をあてにしているからだろう。漠然と、誰かが面倒をみてくれるかもしれないと思っているんだ。自分で自分の人生に責任を負おうとすれば、不満を世の中のせいにしたり、やりたいことがない、なんて言っている暇はないはずだ」(294頁)
以上は合理主義者である竜崎伸也ならではの発言だが、本書では大森署を去るにあたり、人間らしい感傷的な側面も見せている。
