原発ホワイトアウト | 読書雑記

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原発ホワイトアウト/講談社

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☆☆☆☆★

 本書は「現役キャリア官僚によるリアル告発ノベル」と銘打たれている。プロフィールには「東京大学法学部卒業。国家公務員Ⅰ種試験合格。現在、霞が関の省庁に勤務。」と紹介されているのみ。

 2013年の9月に出版されているので、7月21日の参院選の自民党大勝の事実を踏まえて書かれている。参院選後、衆参のねじれが解消し、原発が息を吹き返すための政治状況が整ってから、全国の原発が次々と再稼働するまでの、いわば原子力ムラの復活劇だ。

 この小説に書かれていることはどこまでが事実なのか。
 実在の人物あるいは実在の人物を想起させる人物を随所に登場させながら、保守党(=自民党)、経済産業省、日本電力連盟(=電気事業連合会)を中心とした政官財癒着の構造がリアルに描かれている。
 これらが事実と大差ないということであれば、慄然とする思いだ。

 参院選当日、保守党(=自民党)の単独過半数が見えてくると、日本電力連盟(=電気事業連合会)の常務理事が今後の課題を3つ書き留める。
 ①再稼働(追加工事の猶予期間、新崎県知事(=新潟県知事)対策)
 ②電力システム改革の阻止(発送電一貫体制、原発の堅持)
 ③世論対策(電気料金値上げの容認)

 3つの課題を課題を解決するため、電力会社の超過利潤の一部をプールして得た工作資金を武器に、あるときは検察、警察、マスコミなど、ありとあらゆる手段を使って、原子力ムラを復活させていく。
 内部告発した官僚や再稼働に反対する地元知事の逮捕などの国策捜査、原発に反対するデモの取り崩しといった場面は本当にえげつない。

 原子力規制庁の若手官僚が嘆く。
 『・・・規制当局の意識は急速にフクシマ以前に戻ってますよ・・・』
 『・・・このままなら、原発はまた、爆発します・・・』

 小説の若手官僚の告発、本書の筆者の告発のようなことが、現実に起こっていること、あるいは今後起こりうるものとして、重く受け止めなければならない。