- 新・細胞を読む (ブルーバックス)/山科 正平
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著者は北里大学医学部教授で顕微解剖学を専門としている。本書により顕微鏡を通した多彩な細胞の姿を見ることができる。細胞の主だった構成要素やその働きを改めて勉強してみたいと思っていたところ、帯で福岡伸一が「これは至高の芸術作品である」と大絶賛していたので手に取ってみた。
前半は、多くの細胞に見られる、細胞膜、核、ミトコンドリアといった細胞の基本的な要素の解説があり、後半は、血球、運動器官、神経、消化器官等、生物の様々な器官や組織ごとに、その活動を支えている特徴的な細胞が紹介されている。受精卵という一つの細胞が分裂を繰り返して、各器官の役割を担うために見事に分化を遂げた姿を見てとれる。
基本的に、1つの細胞について、新書の見開きの右側に解説があり、左側に関連写真が掲載されるという体裁をとっている。細胞に対する深い知識を持たず、また、顕微鏡を通じて細胞の微細な構造を撮影することの難しさを知らないので、本書の「芸術性」までは理解できなかったが、途中のコラムには顕微鏡の技術進歩や顕微鏡で観察するための技術を解説する記述も多く、著者の職人的な思い入れが随所に感じられる。
細胞の構成要素の形状やふるまいが豊かな表現力でもって、時にはユーモアを交えて説明されており、中学校の生物の授業どまりだった細胞についての知識が多少は深まったと思う。