- 読む力・聴く力/河合 隼雄
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「絵本・児童文学研究センター」主催の第10回文化セミナー「読む 聞く」(2005年11月20日・小樽市民会館)において、河合隼雄氏・立花隆氏・谷川俊太郎氏の3人が、「読むこと」、「聴くこと」の現代的意義を語った内容を収録してまとめたものである。
カウンセラーの河合氏、ノンフィクション作家の立花氏、詩人の谷川氏は、それぞれが活躍する仕事の分野の違いから異なった読み方、聴き方をしている。
とくに河合氏と立花氏の聴き方が対照的でおもしろい。
立花氏がサイエンスの世界を書くために取材をする際には、河合氏のカウンセリングにおける聴き方と対比して、自ら次のように言っている。 「河合氏はひたすら向こうが話すのを待っている。僕の場合は徹底的にとことん聴きます。根掘り葉掘り聴く。『その次はどうなっているのか』、『そこはどうなっているのか』というのを・・・・聴きます。」
それに対して、河合氏は相談に来た人の話をどのように聴いているかというと、 「『死にます』と言われても『はー』とぼーっと聴いているのです。」 来た人の発言をとらえて掘り下げて聴くのではなく、「・・・・来た人の考えていること、来た人が感じていることよりもっと大事にしているのは何かといったら、来た人の可能性の方に注目している。・・・・その人が「いま死にたい」と言われても死なないというのがあるかもしれない。」
「読む 聴く」は人間が「生きる」ということに深く関わっていると河合氏は言う。「ところが、科学技術の急激な発展により、便利で快適な生活ができるようになったが、どうしても効率的なことへの追求が強くなりすぎて、短時間で多くの情報をわかりやすく得る方法が進歩しすぎて、じっくり『読む』とか他人の話を『聴く』とかのことがおろそかになる傾向が生じてきた。」
「読むこと」、「聴くこと」は人間性の基本であり、多様な多彩な読み方、聴き方が人生をより豊かにするものであることを強く感じさせてくれた。