自壊する帝国 | 読書雑記

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自壊する帝国/佐藤 優
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 本書は佐藤氏が外交官としてモスクワに勤務していた時期をつづった個人史的側面と佐藤氏が赴任していた時期に起こったソ連の崩壊過程を記録した現代史的側面を持っている。


 個人史的側面については、外務省に入省後モスクワ勤務時代を通じて、佐藤氏の外交官としてのプロ魂には感心させられる。外交官といえば、日本の国益に関わる情報をいち早く収集し分析して本国へ伝えることが重要な仕事であろうが、そのための佐藤氏の人脈づくり、情報収集への並々ならぬ熱意、努力にはここまでやるかとさえ思ってしまう。以前に読んだテリー伊藤の『お笑い外務省機密情報』(飛鳥新社)で叩かれている外交官のイメージとは全然異なる。


 ソ連の崩壊過程の現代史的側面といえば、理論的な解明は、『国家の崩壊』(にんげん出版)に詳しいということであるが、佐藤氏が作り上げた人脈を通じての人間ドラマとして国家が自壊していく過程を本書で垣間見ることができる。また、外国で人脈をつくり、情報を収集するためには、まず前提としてその国の国民の気質や生活、文化などを肌で感じ吸収していくことが基礎になるのだろう。その意味で佐藤氏が感じ取ったロシア人の気質や生活、文化が随所に紹介されていておもしろい。いろんな楽しみ方ができる本である。