DRESSED TO KILL
"Dressed To Kill"
1941年 アメリカ映画
監督: ユージン・フォード
出演: ロイド・ノーラン、メアリ・ベス・ヒューズほか
フィルムノワールかと思った1941年の映画"Dressed To Kill"でしたが、これは違いますね。
コメディとミステリーの混ざった作品です。
主演のロイド・ノーランは、この後に多数のフィルムノワールに出演することもあってわかりにくいんですが、この作品はフィルムノワールには入りません。
フィルムノワールとコメディは食い合わせが非常に悪いですからね。
画面のムードも、ノワールのそれとは違って終始落ち着いています。
ノーランが演ずる主人公マイケル・シェーンは私立探偵。
作家ブレット・ハリディが生み出した人物です。
小説の方は読んだことがありませんけれど、多分、小説よりかなり軽薄なキャラクターになってるんじゃないかなあ。
さて、まもなく結婚するシェーンがスーツを新調し、これからフィアンセとともに式を行うために出かけようというところで事件が発生します。
こんな感じで遺体が見つかるのですけれども、
その向かい側には犬のかぶりもの。
この画面が出た時点でノワールではあり得ないでしょう。
このかぶりものの中の人も死んでいるのですが、ノワールだったらこの人は突っ伏しているはず。
そもそも、オープニングの仕立屋のシーンからフィアンセに合うまでの間、シェーンの会う人すべてが結婚について警告するという古典的なギャグから始まっていますから、ピンとくるのですけどね。
どちらかというと、ドイルやクリスティなどに通ずる古典的なミステリのムードがあります。
しかし、殺人現場の部屋に施錠されていない出入り口が多数あって、現場検証中に次々と部外者が勝手に入ってきたりするあたりはパロディの色が濃いといえるでしょう。
しかし、こうして画面を眺めるだけで一目瞭然、ノワールじゃありません。
コメディ調のミステリとしてはなかなか楽しめる佳作でした。
劇場周辺を舞台とした昔の舞台劇の出演者たちによる殺人事件ということで、華やかなムードもほんのりあります。いろいろ見せ場も盛り込めそうな設定ながら低予算ゆえに派手なシーンが無いのが残念です。
調べてみると、ロイド・ノーランがマイケル・シェーンを演じた映画は、1940年~1942年の間に7本制作されています。これは3作目。この他に4作がDVD化されています。
1941年 アメリカ映画
監督: ユージン・フォード
出演: ロイド・ノーラン、メアリ・ベス・ヒューズほか
フィルムノワールかと思った1941年の映画"Dressed To Kill"でしたが、これは違いますね。
コメディとミステリーの混ざった作品です。
主演のロイド・ノーランは、この後に多数のフィルムノワールに出演することもあってわかりにくいんですが、この作品はフィルムノワールには入りません。
フィルムノワールとコメディは食い合わせが非常に悪いですからね。
画面のムードも、ノワールのそれとは違って終始落ち着いています。
ノーランが演ずる主人公マイケル・シェーンは私立探偵。
作家ブレット・ハリディが生み出した人物です。
小説の方は読んだことがありませんけれど、多分、小説よりかなり軽薄なキャラクターになってるんじゃないかなあ。
さて、まもなく結婚するシェーンがスーツを新調し、これからフィアンセとともに式を行うために出かけようというところで事件が発生します。
こんな感じで遺体が見つかるのですけれども、
その向かい側には犬のかぶりもの。
この画面が出た時点でノワールではあり得ないでしょう。
このかぶりものの中の人も死んでいるのですが、ノワールだったらこの人は突っ伏しているはず。
そもそも、オープニングの仕立屋のシーンからフィアンセに合うまでの間、シェーンの会う人すべてが結婚について警告するという古典的なギャグから始まっていますから、ピンとくるのですけどね。
どちらかというと、ドイルやクリスティなどに通ずる古典的なミステリのムードがあります。
しかし、殺人現場の部屋に施錠されていない出入り口が多数あって、現場検証中に次々と部外者が勝手に入ってきたりするあたりはパロディの色が濃いといえるでしょう。
しかし、こうして画面を眺めるだけで一目瞭然、ノワールじゃありません。
コメディ調のミステリとしてはなかなか楽しめる佳作でした。
劇場周辺を舞台とした昔の舞台劇の出演者たちによる殺人事件ということで、華やかなムードもほんのりあります。いろいろ見せ場も盛り込めそうな設定ながら低予算ゆえに派手なシーンが無いのが残念です。
調べてみると、ロイド・ノーランがマイケル・シェーンを演じた映画は、1940年~1942年の間に7本制作されています。これは3作目。この他に4作がDVD化されています。
LAノワールに求めるもの
フィルムノワールから「LAノワール」に目を転じてみると、何が足りないか見えてきます。
・暗闇
・情念
・悪い女
この3つですね。
<暗闇>
フィルムノワールは、光と陰のコントラストの強い画面が大きな特徴です。
あの暗さがLAノワールにはない。
LAノワールの暗闇は、視界を遮り手がかりを隠す闇です。
それに対し、フィルムノワールの闇は、もっと根源的な不安に包まれた気分を象徴しています。
<情念>
フィルムノワールの主要な登場人物は、ほとんどの場合、何か強い動機に動かされています。
恋愛だったり、金だったり、憎悪だったりとまちまちではあるけれど、中途半端じゃない。
例えば、「ローラ殺人事件」だと、ダナ・アンドリューズは、肖像画のローラに強く惹かれてこだわってしまう。
ダナ・アンドリューズは、「歩道の終わる所」では、今度はマフィアの幹部をつけ狙い、強引な捜査をするあまりに男を死なせてしまう。その上、その男の元妻に惚れてしまうという具合です。
ややもすると無茶すぎないか?と疑問を感じるほどの強い動機にとらわれて、破滅ギリギリのところに自らを追い込んでゆくのがフィルムノワールの登場人物です。
クールな画面や台詞の中で激熱な情念が描かれている。
LAノワールは、その点で淡々とし過ぎています。
<悪い女>
フィルムノワールの彩として、性格の悪い女は必須です。
いや、性格が悪いことは必須条件じゃないんだけれど、主人公の運命を変えてしまう存在として、強い女、悪い女そして美しい女が必要なんですよ。
LAノワールの主人公は平和な家庭をもっているようで、その点がどうもいけません。
ゲーマーが操る人形でしかないんですよね。
上記の要素は、ジェームズ・エルロイの作品にも共通しているんじゃないでしょうか。
また、エルロイの場合、フィルムノワールが制作された1940~50年代とは異なり、プロダクション・コードの影響下にはないため、ずっと血なまぐさいリアリティが付与されています。その部分において、LAノワールはエルロイっぽさを感じさせます。
タイトルからみてもエルロイの世界観に近いものを表現しようとしたゲームなんでしょうけれど、物語が骨抜きになっているのが残念です。
ちなみに、昔のフィルムノワールでは、銃で撃たれて死んでも血だまりひとつできません。また、無実の男が濡れ衣を着たままになったり、殺人犯や強盗犯がうまく逃げ延びたりすることはありません。
ごくまれに真犯人が捕まらないままに終わるものもありますし、直接手を下さないながらも自力救済的に悪人を死なせてしまうというパターンもありますが、例外的です。
不法行為や背徳的な行為が奨励されるような表現は当時の検閲を通らないという問題があって、大抵は主題をなす事件そのものは解決するようになっています。勧善懲悪的な空気の強いものもあります。
その辺りは現在の目で見ると古臭いですね。
・暗闇
・情念
・悪い女
この3つですね。
<暗闇>
フィルムノワールは、光と陰のコントラストの強い画面が大きな特徴です。
あの暗さがLAノワールにはない。
LAノワールの暗闇は、視界を遮り手がかりを隠す闇です。
それに対し、フィルムノワールの闇は、もっと根源的な不安に包まれた気分を象徴しています。
<情念>
フィルムノワールの主要な登場人物は、ほとんどの場合、何か強い動機に動かされています。
恋愛だったり、金だったり、憎悪だったりとまちまちではあるけれど、中途半端じゃない。
例えば、「ローラ殺人事件」だと、ダナ・アンドリューズは、肖像画のローラに強く惹かれてこだわってしまう。
ダナ・アンドリューズは、「歩道の終わる所」では、今度はマフィアの幹部をつけ狙い、強引な捜査をするあまりに男を死なせてしまう。その上、その男の元妻に惚れてしまうという具合です。
ややもすると無茶すぎないか?と疑問を感じるほどの強い動機にとらわれて、破滅ギリギリのところに自らを追い込んでゆくのがフィルムノワールの登場人物です。
クールな画面や台詞の中で激熱な情念が描かれている。
LAノワールは、その点で淡々とし過ぎています。
<悪い女>
フィルムノワールの彩として、性格の悪い女は必須です。
いや、性格が悪いことは必須条件じゃないんだけれど、主人公の運命を変えてしまう存在として、強い女、悪い女そして美しい女が必要なんですよ。
LAノワールの主人公は平和な家庭をもっているようで、その点がどうもいけません。
ゲーマーが操る人形でしかないんですよね。
上記の要素は、ジェームズ・エルロイの作品にも共通しているんじゃないでしょうか。
また、エルロイの場合、フィルムノワールが制作された1940~50年代とは異なり、プロダクション・コードの影響下にはないため、ずっと血なまぐさいリアリティが付与されています。その部分において、LAノワールはエルロイっぽさを感じさせます。
タイトルからみてもエルロイの世界観に近いものを表現しようとしたゲームなんでしょうけれど、物語が骨抜きになっているのが残念です。
ちなみに、昔のフィルムノワールでは、銃で撃たれて死んでも血だまりひとつできません。また、無実の男が濡れ衣を着たままになったり、殺人犯や強盗犯がうまく逃げ延びたりすることはありません。
ごくまれに真犯人が捕まらないままに終わるものもありますし、直接手を下さないながらも自力救済的に悪人を死なせてしまうというパターンもありますが、例外的です。
不法行為や背徳的な行為が奨励されるような表現は当時の検閲を通らないという問題があって、大抵は主題をなす事件そのものは解決するようになっています。勧善懲悪的な空気の強いものもあります。
その辺りは現在の目で見ると古臭いですね。
24本そろった
Fox Film NoirシリーズのDVDが揃いました。
20世紀フォックスが配給したフィルムノワールのシリーズです。
"Laura"から"Dangerous Crossing"までの24本。
いずれも特に入手困難というわけではないけれど、タイトルによって値段が高かったり、一時的に品薄だったりして様子見をしているうちに時間が経ってしまいました。
"Boomerang!"は入手がやや困難でしたが、今ではアマゾンでも売っています(高いけど)。
これが一時的に買えなくなっていたのは欠陥によるリコールがあったためのようです。
せっかくなので番号順に全部書き出してみましょう。
邦題があるものはカッコ書きしました。
1. Laura (ローラ殺人事件)
2. Call Northside 777 (出獄)
3. Panic in The Streets (暗黒の恐怖)
4. House of Bamboo (東京暗黒街 竹の家)
5. The Street with No Name (情無用の街)
6. Nightmare Alley
7. The House on 92nd Street (Gメン対間諜)
8. Somewhere in The Night (記憶の代償)
9. Whirlpool (疑惑の渦巻)
10. The Dark Corner (闇の曲り角)
11. Kiss of Death (死の接吻)
12. Where The Sidewalk Ends (歩道の終わる所)
13. No Way Out (復讐鬼)
14. Fallen Angel
15. House on Telegraph Hill
16. Boomerang! (影なき殺人)
17. House of Strangers (他人の家)
18. I Wake up Screaming
19. Vicki
20. Shock
21. Fourteen Hours
22. Black Widow (意外な犯行)
23. Daisy Kenyon (哀しみの恋)
24. Dangerous Crossing
実は、DVD化されたフォックスのフィルムノワールとしては、この他にもあります。
Road House (深夜の歌声)
Moontide (夜霧の港)
Dressed to Kill
Thieves Highway (深夜復讐便)
"Road House"と"Moontide"はFox Film Noirと表示されているけれどシリーズの通し番号がありません。
"Dressed to Kill"はノワールとも書かれておらず、"Thieves' Highway"はなぜか米国ではフォックスからは発売されていません。(追記:"Dressed To Kill"はノワールじゃなく、私立探偵マイケル・シェーンものの1本でした)
まだ観ていないのもたくさんありますが、どれか1本だけ選ぶというなら"Laura"でしょうか。
実は最後まで買わなかったのがこの作品です。
国内盤で観たから買う必要は無かったのですが、シリーズの1番だけが抜けているというのは収まりが悪いので締めくくりとして調達してきました。
Fourteen HoursやMoontideについては、内容的にフィルムノワールと呼ぶべきか異論もありそうなところだけれど、ムードはありますからね。特に後者はアイダ・ルピーノが出演しているという点で外せないかな。
20世紀フォックスが配給したフィルムノワールのシリーズです。
"Laura"から"Dangerous Crossing"までの24本。
いずれも特に入手困難というわけではないけれど、タイトルによって値段が高かったり、一時的に品薄だったりして様子見をしているうちに時間が経ってしまいました。
"Boomerang!"は入手がやや困難でしたが、今ではアマゾンでも売っています(高いけど)。
これが一時的に買えなくなっていたのは欠陥によるリコールがあったためのようです。
せっかくなので番号順に全部書き出してみましょう。
邦題があるものはカッコ書きしました。
1. Laura (ローラ殺人事件)
2. Call Northside 777 (出獄)
3. Panic in The Streets (暗黒の恐怖)
4. House of Bamboo (東京暗黒街 竹の家)
5. The Street with No Name (情無用の街)
6. Nightmare Alley
7. The House on 92nd Street (Gメン対間諜)
8. Somewhere in The Night (記憶の代償)
9. Whirlpool (疑惑の渦巻)
10. The Dark Corner (闇の曲り角)
11. Kiss of Death (死の接吻)
12. Where The Sidewalk Ends (歩道の終わる所)
13. No Way Out (復讐鬼)
14. Fallen Angel
15. House on Telegraph Hill
16. Boomerang! (影なき殺人)
17. House of Strangers (他人の家)
18. I Wake up Screaming
19. Vicki
20. Shock
21. Fourteen Hours
22. Black Widow (意外な犯行)
23. Daisy Kenyon (哀しみの恋)
24. Dangerous Crossing
実は、DVD化されたフォックスのフィルムノワールとしては、この他にもあります。
Road House (深夜の歌声)
Moontide (夜霧の港)
Dressed to Kill
Thieves Highway (深夜復讐便)
"Road House"と"Moontide"はFox Film Noirと表示されているけれどシリーズの通し番号がありません。
"Dressed to Kill"はノワールとも書かれておらず、"Thieves' Highway"はなぜか米国ではフォックスからは発売されていません。(追記:"Dressed To Kill"はノワールじゃなく、私立探偵マイケル・シェーンものの1本でした)
まだ観ていないのもたくさんありますが、どれか1本だけ選ぶというなら"Laura"でしょうか。
実は最後まで買わなかったのがこの作品です。
国内盤で観たから買う必要は無かったのですが、シリーズの1番だけが抜けているというのは収まりが悪いので締めくくりとして調達してきました。
Fourteen HoursやMoontideについては、内容的にフィルムノワールと呼ぶべきか異論もありそうなところだけれど、ムードはありますからね。特に後者はアイダ・ルピーノが出演しているという点で外せないかな。