遠藤雅伸公式blog「ゲームの神様」 -65ページ目

DVD分析98「ボンボン」

 ジルが伝説の塔に挑戦しているところにニーバパーティーもやってくる。ニーバの対ドルアーガ戦術は「虚無の矢」なので、カイを封印している石板は要らない。と言うことは、同時にカイを開放してやる必要もないことになる。もちろんニーバは幻の塔を目指しているのだから、そこへ上がる手段も分かっているはずだ。

 ということは、カイの存在がなくてもニーバは幻の塔に上がることができる。つまりサキュバス単体の力だけでも幻の塔へは上がれると考えるべきだ。逆にカイ単体でも幻の塔に上がれるとすると、カーヤが特にサキュバスの存在を重視していないことにも説明がつく。


ラムネの飲み方を知らないニーバ


 この駄菓子屋をニーバが訪れたのは、他のメンバーが面白がっているのに付き合ってるだけで、特に意味はなさそうだ。おかげでラムネを飲むことになるのだが、その飲み方を知らないことからボンボンであるとバレてしまう。

 ラムネの瓶は内部にガラス玉が入っていて、それがガス圧で内側から口を塞ぐために密封されるようになっている。このガラス玉を強引に外から内側に落すことで開封できる。このガラス玉は「ビー玉」だと思ってる人も多いけど、遠藤が子供のころは「ラムネ玉」としてビー玉とは区別されていた。ラムネ玉の不合格品がB級のビー玉とは、その頃は知らなかったんだけどね。

 普通に飲むと、ガラス玉が飲み口を塞ぐので飲めなくなる。このガラス玉の入っているチャンバーには方向があり、上のカットは上下が逆になっているので玉が口を塞ぐ。瓶の上側に2つのへこみがある。このへこみは内側ではでっぱりとなり、2つのでっぱりで玉が口に来ないようにして飲むのがラムネの正式な飲み方。何でわざわざこんな面倒な瓶にしているのかは不明だが、初めて親父に飲み方を教わった時は感心したのを覚えている。


ボンボンではない方々


 メソポタミアにラムネなどあるわけもないが、この駄菓子屋は異世界中の異世界なので、昭和のやりとりがボンボンではない方々の間でなされる。「ボンボン」とは「裕福な家庭に育ったお坊ちゃん」を揶揄した言葉。


ゲームのうまいウトゥ


 鎧を着たまま器用にプレイするウトゥ。声優陣の中では櫻井・安元の両君がオリジナルをプレイしていたようだが、中の人とキャラクターの腕前はリンクしていない。


格好いいカリー


 カリーは人間的な描写が少なかったが、第8回では普段と違い、腕利きとしてのカリー以外の面が描かれている。後になってみれば、これは最大の死亡フラグだったのかもね。


知っている同士の探り合い


 去り際にニーバがカーヤに問う

「この辺りには例の封印された石が・・・」というのは、ニーバがカイの封印を知っていることを示している。このやりとりでカーヤとニーバはお互いが幻の塔の存在を知っていて、なおかつそれを目標にしていることに気付いたのだろう。最終回でカーヤが裏切る伏線なのだが、そんな大事なことを、このふざけた回でやられてもなぁ(^_^;)

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KENN出演【マグダラなマリア】超おもしろかった

 アニメ「ドルアーガの塔」で主人公の一人ジル役をやっているKENNが出演している芝居、「マグダラなマリア 」を見てきました。まぁ、KENNが出ているというのがキッカケなんですが、この12月になくなってしまうシアターアプルに行くのもこれが最後になるだろうという、劇場への想いも含めて。


マグダラなマリア


 当日券で見たのですが、客の99%以上が女性で、当日券の列に並んでいたら「お間違えではありませんか?」言われました(笑)


 内容はミュージカル風コメディで、客席まで役者が大暴れしにくる、ライブならではの大人向けで大爆笑の作品でした。KENNもイケメンなんだけど、女性陣?がとにかく魅力的。5800円という値段に見合ったお勧めなので、週末に行くチャンスのある人は是非!

【風来のシレンDS2】またまた睡眠時間が・・・


風来のシレンDS2

 チュンソフトさんから「風来のシレンDS2」をもらいました。

 ゲーム関連会社のご多分にもれず、MGSにもシレンジャーの方々がいらっしゃるわけなんですが、彼らに比べるとひよっこの遠藤でも、結構時間を掛けてしまうのです。


 シレンって何となく遠藤が忙しい頃を見計らって発売しているように思っていたのですが、今回はそんなに忙しくないのでゆっくりと遊べそう・・・ハッ(^_^; ) 某Wiiゲームの納期があったんだ・・・まぁ睡眠時間を削れば・・・って毎度のことにやはりなる(笑)

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デスペナルティ軽減決定!

 またまた岩穴でコウモリにたかられて、量産型にやられる弐号機みたいに全滅した遠藤は、「経験値によるデスペナルティ撤廃!」主義なわけだが、そんな意見が取り入れられてか他にやることがなかったのか、今行われているビンゴ ではデスペナルティの軽減が褒賞になっている。

 ところが、これがまた「ムリだろ!」と思えるようなことが課題になっているので、結構萎える。でも3ラインは達成したいよな・・・というわけで、「遠藤がブルーナイトに転ばされる」を実践すべく塔に挑戦して、まぁ普段通りにすぐHP0になっていたわけだが、実はこの課題「遠藤が60回やられる」ってことで、期せずして何とかなってしまった。

 一番難しいのはエニグマの全クリアで、これは無理として3つくらいなら何とかなるかも・・・と原作でも多分遠藤が新宿で初成功している「717(プログラマの自宅の局番)」ネタの22階を一所懸命考えた。もちろん開発スタッフさんに聞けば答は教えてもらえるんだろうけど、それじゃ負け。何となく漏れてくる情報から類推して、キーワード物で間違いはなさそうなのだが・・・。

 前回ログインした時に、チャットで「7」「1」「7」って入力してもらうのは検証してもらったんだけど、違うらしい。でも22階は3つのエニグマがあって、メッセージ系であることは確実で、「717」が関係していて。ということから、1つめは3人でできること(717が3文字だから)、2つめは4人、3つめは5人かなぁと思っていたんだよね。

 で昨日ログインしたら、22階のエニグマがちょうど解明されて祭りになっていた。


塔の入口付近で感想会


 塔の入口付近で、22階解明とビンゴ攻略の話をしているところ。混沌の~は時間の問題らしいけど、トシちゃんは買い物というシステム的に無理というのが結論。トシちゃんの店でレアな高額商品を限定販売しろ!というのがユーザーにもメリットがあっていい案だと思った。


勇者アィーダ


 で、集まっている中に見つけたベルセルクのアィーダ。この装備は・・・ISHTARのSIKILシリーズ・エッスアーマーではありませんか!

 遠藤はボッタクル商店の店主とかになっていますが、実物は初めて見ました。


超レアなツーショット


 ノートでやってるからグラフィックがショボいわけですが、やっぱりイシター装備は上品で知的ですね。実際に買う人がいることは全く想定しないでデザイン作業とかしていましたが、壮大なネタに乗っていただいて、とてもありがたいと思いました。

 でも、よいこは絶対マネしないようにね!

DVD分析97「クーパの入浴」

 怪しげな店主が経営する最小規模の銭湯。第8話の入浴担当は大人気のクーパだったわけですが・・・


風呂屋の看板?


 この看板はどう見てもメソポタミアからの引用ではない。象形文字の中に曲線が含まれるのはよくあることなので、ヒエログリフとかを参照しようと考えてはみたが、伊藤さんの脚本にそこまでの深さを求めても仕方ないだろうと考え直した。まぁその話は後日ってことで。


駄菓子屋の風呂


 コメンタリーでも言っているが、これがこの銭湯の風呂桶。お粥が煮えている鍋に見えないか?いやむしろ、具を入れる前の椀に盛られた中華粥。

 ドル塔アニメのメンバーで、たまに飲みに行く新宿二丁目のスナックのママが、

「飲み物何にいたします?ビール、焼酎・・・、後、私の入った風呂の残り湯?」というネタを持っている。

「じゃ、残り湯で」と頼むと

「はぃ、豚骨スープ一丁!」と落とす。


放送版


 クーパの入った残り湯はろくなダシが出そうはないのだが、さすがに子供だけあって楽しそうに入っている。


クーパの入浴シーン

 こちらは放送バージョンの同じカットあたり。コメンタリーで賀東さんも言ってるけどDVD版ではちょっと湯気が少なくなってたりする?まぁ色気も何もないんですけどね。遠藤的には「たれ乳」と揶揄されているカーヤの方が相対的には上。絶対的にはどちらも二次元で興味なし(笑)


牛乳一気飲みのクーパ


 銭湯から上がると、なぜだか番台のところか、出たところにある駄菓子屋とかで瓶入り飲料を飲む。この店に並んでいる瓶は肩がイカっている200cc瓶。こいつは昭和40年くらいに出回り始めたのだが、それまでの瓶は180ccで、後に「なで肩」とか呼んでいた。

 クーパは牛乳を飲んでいるみたいだが、子供の風呂上がりの定番は琥珀色に透き通ったリンゴジュース。多分賀東さんとかの世代だと、銀色のキャップがついたハイグレードの牛乳が出たころなんじゃないかと思う。ちょっと高かったけど、メッチャうまかったので、特別な時だけのお楽しみだったり(笑)


バスタオル一枚で歩き回るクーパ

 バスタオル1枚で表をうろうろ歩くクーパ。おばちゃん的だという解説があるが、おませなクーパは恥ずかしがる歳は越えたものの、女性としての魅力はまだまだというところなんだろうね。

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DVD分析96「駄菓子屋」

 80年代では、町の駄菓子屋の店先にテレビゲームが置いてあって、ちょっと遅れたゲームを50円で営業しているところは多かった。遠藤はバニーガールが居るような、新宿のゲームセンターに入り浸っていたのだが、このアニメを作っているような世代の人だと、原作ゲームの原体験は、まさにこの駄菓子屋のような場所なのであろう。


80年代風駄菓子屋


 ただし、この駄菓子屋には、映画の「ALWAYS」みたいに、80年代に残っていた古い何かが集約されている。右側のクーパが入っていた風呂と牛乳のセクションは、生き残っていた銭湯がモチーフ。


攻略ノート


 カーヤに言われて、店からアーメイが借りたノート。ドルアーガの塔は謎の多いゲームで、ゲームセンターにはみんなで書き込むノートが設けられて情報交換がされ、今のネットと同じようなゲーム攻略がドメスティックに行われていた。駄菓子屋とかのノートには、町中のゲーセンで得た情報を転記して自分の手柄にするような子もいたと思う。

 今稼働しているMMOのドルアーガの謎は、ネットで情報交換ができる前提で作られているのだが、当時のノートなみに謎解きにユーザーの一体感があるのが不思議だ。


紫色の舌


 駄菓子屋では当たり前の風景なのだが、飲み物も食べ物も人口着色料がふんだんに使われていたので、すぐに舌に色が移る。変な色になった舌を見せ合うのは、きっと今の子もやっているのではないかな。

 ウー・ルーが飲んだのは、多分チェリオのグレープ。チェリオは値段が安くて量が多いので、清涼飲料の中でも子供に人気あった。逆に7upとかは量が少ないので「ボンボン」向けだった(笑)


うまい棒の開け方

 こちらはウトゥとカリーが「うまい棒」を食べるところ、遠藤が子供の頃にはうまい棒はなかったから、うまい棒の格好いい開け方などこれを見るまで知らなかった。うまい棒を食べるようになったのは、2ちゃんねるの管理人ひろゆきがうまい棒が好きだからサーバーの名前をそこから付けていると知って。

 コメンタリーでコカコーラのホームサイズの瓶を10円で買い取ってくれる話をしているが、当時はホームサイズを一人で飲むのは結構勇者の部類だった。今ではPETボトルが500mlなので普通に飲んでるけどね。

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DVD分析95「バビリムの過去」

 このアニメと原作のゲームを結ぶ大切な絆が、このふざけた第8話で語られる。というか、コメンタリーでも触れているが、第8話にはたくさんの大切な話が入っていて考えさせられる。


バビリムの街


 バビリム。メソポタミアでは大きな建造物は珍しくない。この繁栄ぶりから、スーマール帝国を開放してバビリムと共にウルク王国を起こした後の様子だと思われる。


阿片窟


 都市単位の国家から、広い地域に支配が及ぶようになって、それまでバビリムにはなかった文化が入ってくる。このシーンは気になっていたのだが、阿片窟とのことで、政情や経済などが安定していないことを窺わせる。


陰謀と内乱


 その最たるものが内乱なのだが、ギルとカイの王子を殺害するために、誰かをやとっている。マーフがこの頃からギル王を狙っていたのだとすると、最終話でマーフを手に掛けるギルガメス王は、マーフが裏切っていることを理解した上でわざと泳がせていたことになる。


ギルとカイの息子の死


 赴いた戦地にて息子が戦士したことを知るギルとカイ(なんだろうね)。年を重ねてパッとしなくなったギルに比べると、カイは大人の女性になっていてうれしい。


もう1人のギルに抱かれたカイ?

 そのカイを奪っていくのは、何とギル王と瓜二つの男。コメンタリーで触れていたギルが第2のドルアーガになってしまうという、ブルークリスタルロッドのエピソードの1つを引用しているのだとすると、このもう一人のギル王こそがドルアーガということになるのだが・・・。


 このカイが伝説の塔に封印されていたカイと同一人物とは思えない。見た目からして年齢が違い過ぎる。ということは、

・この女性はカイとは別人

・この女性と封印されたカイは二人いるギル王と同じような関係

 もし後者だとするならば、幻の塔にはこの大人の魅力満載のカイがいるってことにはならないだろうか?猛然と2期で成人カイの登場希望!(笑)

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DVD分析94「伝説の塔」


 伝説の塔が60階建てとすると、池袋サンシャイン程度の大きさがあるわけで、それが内部空間にそのまま収容されているこの塔の大きさは計り知れない。もっとも、内部空間が外形に比べて大きくないか?という疑問はあるので、ひょっとすると空間的に次元が圧縮されている可能性も・・・まぁ、ファンタジーだからね。


入口のコントローラー


 それにしても、いきなり通路にコントローラーがあって、ファミコンのゼビウスの隠しコマンド「9229」を入れると、いかにもな大きいゲートが開くとは、伊藤脚本は何でもありだな(笑)

 ちなみに9229はファミコンゼビウスのプログラマが当時乗っていたバイクのナンバー。プロダクションレース仕様のRZ-250Rだった。


伝説の塔へのゲート


 このゲート、誰かが一度開くとそのまま開いている。では何のためにわざわざ暗号めいた操作を必要としたのだろうか?結論として、一度しか機能しない何かだから後のことはどうでも良かった。カイを復活させる資格を持った人間以外を排除するだけだったんだね。


伝説の塔in新しい塔


 第3話でも登場しているギルガメスがドルアーガを倒した塔。あっさりとした入口は、お人よしが疑問を持たずに突入できるように作られた罠なのか(笑)


塔内コントローラー

 で、塔内に入った誰かをコントロールするパネル。遠藤的にはガッカリなんだけど、逆手に捉えてこれでどうやってコントロールするかを考えてみた。多分決め手はギルの剣なのだろうと思いついたところで、これ以上はバカバカしいからヤメる。

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【DiGRA JAPAN 公開講座】10/31「ひぐらしのなく頃に」レポート

 今回は大ヒットとなった同人ゲーム「ひぐらしのなく頃に」を題材とした、「同人ゲームの潮流」シリーズの第2回目。「~「ひぐらし/うみねこのなく頃に」に見るコンテンツとコミュニティー~」と題して、同作の制作者である竜騎士07、BT両氏と、作品を支えたゲームエンジン「NScripter」の作者である高橋直樹氏他を迎え、討論会形式で行われた。


左からBT氏、竜騎士07氏


 以下は主に竜騎士07氏によるコメントを遠藤がまとめたもので、遠藤の意見を後に加えている。


◆「同人」とは


 同人サークルはコンセプトビルダーとなる1人が始め、賛同した人が参加する。今はネットで人を集めることが多くなったが、楽しんで作ることが一義となる。
 商業は売れることが前提となっているが、同人は自分たちが面白いと思うものを好きだから作るわけで、作ること以降は考えていない。コミケのような販売会や同人ショップの存在によって、内輪で作ったものを全国に広められるようになったのが、10~20年前とは大きく異なる環境の変化だ。

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 販路が同人の在り方を変えてきたという印象を持った。個の集合体である同人誌に比べ、分業化されたゲームはサークル単位の動きになるのだが、中には個人で活動している作家もいるところに「同人」という言葉の懐の深さと定義の難しさを感じる。


◆「07th Expansion」というサークル


 竜騎士07氏本人のゲーム体験は、父が持っていたPC-8001にベーマガのソフトを打ったことから始まる。ゲームをカスタマイズする面白さは、「信長の野望」の改造で知った。kunren=10のところをkunren=1000にしてみたら、一気に訓練で兵力が上がって大喜び。しかし敵も同様に上がるので、武力均衡が瞬時に崩れるゲーム性となったオチも。
 07th Expansionはカードゲームのために作られ、「Leaf Fight」のオリジナルカードを当初は作っていた。TRPGサークルに参加して冊子をコミケに出品していたBT氏が、そのカードゲームにはまって竜騎士07氏を訪ねたところから、現在の流れが生まれている。

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 07th Expansionという名前はカードゲームに由来するとの話があったが、MAGIC the Gatheringは6th editionが1999年、7th editionが2001年にリリースされているので、ここからの引用と予想する。editionは基本セットの大きな変革だが、一般的なカードの追加については Expansionと呼ばれるので。


◆サウンドノベルについて


 竜騎士07氏の友人の姉が同人作家だった影響から、ノートの裏側からマンガを描くようになり、そのシナリオを書くうちにサウンドノベルに辿り着いた。サウンドノベルとは、アニメ、ゲーム、マンガの中間に生まれたものという認識がある。
 サウンドノベルは、「key」「leaf」がヒットした時代に大型化が進んだが、「月姫」の出現によってリスタートされている。その「月姫」に影響されて、八咫桜氏がNScripterを勉強したことから、本格的にサウンドノベルを作る方向に進んだ。
 ひぐらし級の作品では、ライトノベル3冊分くらいのデータ容量が必要だが、最近のサウンドノベルでは、「テキスト量が多い」=「素晴らしい」という価値観が支配しつつある。ボリュームそのモノが作品のレベルとなるのは、ゲームとして危惧すべき問題だ。

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 「サウンドノベル」という言葉は、遠藤の盟友でもある中村光一君が代表を務めるチュンソフトの登録商標。92年に「弟切草」が作られた頃、「サウンドノベルという言葉が、このジャンルの代名詞になるまで押す」と中村君が言っていたのを思い出した。「ヴィジュアルノベル」という言葉もあるが、これはサウンドノベルという言葉を使うことによるリスク回避のために用いられたものだろう。主に18禁ゲームの印象がある。

 身近でチュンソフトのサウンドノベル作品を見ていた身としては、また「ブルークリスタルロッド」で同様なソフトを手掛けたクリエイターとしても、この手のゲームの物量については頭が痛い。一番の工数削減策は、選択肢を減らすことなのだが、それによってゲーム性が犠牲になるというリスクを持っている。


 ゲームについて教えていると、サウンドノベルを作りたいという学生が居たりする。遠藤も迷うことなく「NScripter」を勉強して、まず自分で組み立ててみるように指導するので、今回高橋直樹氏に会って直接お礼が言えたのは価値があった。会場には同じように感じている人も多かったらしく、高橋氏登壇の際には大きな拍手が巻き起こったことも素晴らしいと思った。


◆「ひぐらしのなく頃に」という作品


 ひぐらしは「八つ墓村」「ブレアウィッチプロジェクト」の2作品に強く影響を受けている。ゲーム本体のゲーム性は極めて低いが、ネットというインフラを取り込む前提で、コミュニケーションを誘発し、コミュニティにおいて議論をすること自体を楽しもうというのが、それまでのゲームにはないコンセプトとなる。
 これはゲームはコミュニケーションツールであるべき!という考えに基づいている。そこで、小説と同様にゲーム性や選択肢はないが、答の出ない状態で終わるようにして議論の余地を残している。この手法はARG(Alternative Reality Game:代替現実ゲーム)に似ており、ひぐらしはMMOクイズ?とでも言うべき存在だろう。
 当初は5話を想定していたが、自分の執筆スピードを過信していたという誤算があり、第2話「綿流し編」の頃にやっと全体がまとめられた。登場するキャラクターは、実社会で出会った人をモデルにしている。大石蔵人は「良いお年を」が口癖だった先輩がモデル、公吉喜一郎は江戸川区長がモデルといった具合だ。

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 選択肢の排除をゲーム性の消失としない、質的転換を狙った素晴らしいコンセプトだと思う。

 最近のカジュアルゲームの傾向として、ゲーム性を排除してコミュニケーションを促進させるというものがあるが、ひぐらしも1つの解答としていいのではないだろうか。ただし、コミュニティへの参加というのは段階的でなければ成功しないという統計も出ているので、今後この手法を応用する場合には、コミュニティの作り方にも工夫が必要となるだろう。


◆ひぐらしのヒット


 ひぐらしのヒットは、インターネットの普及タイミングが天の時となった。もし公開が10年早かったり10年遅かったりしたら、この成功はなかったであろう。
 販売会などでも、見本誌で中身を確認できる同人誌と違い、ソフトは中身を事前に現地で見ることは難しい。そういう意味でWeb上で頒布できる体験版は効果があり、04年の5月に04夏コミの「暇潰し編」の体験版を出して盛り上がり、ヒットを実感した。
 メディア展開は04夏に声を掛けてもらったドラマCDが異例に早く、04冬~05春が本格的スタートとなっている。

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 ヒット商品は何でもタイミングが大きな要素となる。企画に携わる人間は、誰でもいずれは同じ解に辿り着くのは必然なので、早過ぎないタイミングで一番早く仕掛けた物がヒットするわけだ。

 遠藤で言うなら、ゼビウス以前にもスクロールシューティングは存在したが、まるでゼビウスが最初の縦シューみたいに思っている人も多いし、逆にスト2より2年前に発売したケルナグールは対戦格闘ゲームだったが、これが対戦格闘の歴史に入れられることはない。みたいな感じだね。


◆コミケとの関わり


 ひぐらしはコミケ毎の連載のイメージがある。実際に販売された数字は以下の通りになる。
02夏コミ62 鬼隠し編100部
02冬コミ63 綿流し編100部
03夏コミ64 祟殺し編200部
03冬コミ65 再販500部
04夏コミ66 暇潰し編1400部
 コミケ66では生産本数の決定が難しく、1000と2000の2つの意見の中間を取って1500、そこからちょっと弱気になって1400に決定した。
 03冬コミ65で新作を発表できなかったことは、自分でも後悔しており、これがゲーム制作の専業化に繋がった。そういった意味で、06夏コミ70で祭囃し編を出して解答編が一段落した後、06冬コミ71で「ひぐらしのなく頃に礼」を、続く07夏コミ72で「うみねこのなく頃に」を連続して出せたのは誇りに思っている。
 ひぐらしで人気が出たのはうれしいが、コミケで「これを買うために並んだ」「すぐに帰ってプレイする」というのは、同人本来の姿を考えるとある意味悲しい。折角会場を訪れてくれたのなら、他の作品も見てほしい。

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 実数は実態をよく表すわけだが、専業化に踏み切る数字は若干リスキーに思える。もちろん、好きなことだけをやっていて食うに困らない生活は、多少レベルが低くても充分に幸せなのだが(笑)。この辺は、自分で会社を始めた頃の遠藤も同じだったのではないかと考える。

 コンテンツ制作の世界では、コンセプチュアルな作品が製作費を掛けて作られた大作を超えるセールスとなることはよくある。逆に技術だったり組織だったりのバックボーンがないと、一発屋で終わることもあるわけでだ。その上、どんな技術もコンサバティブだと陳腐化していく業を背負っているので、常に新しい何かにトライする気持ちが、クリエイターの一番の資産ということになる。

 実はセールスに結びつく普通のユーザーは結構保守的で、コミケで新しい何かを探そうという人は、むしろマイナー指向だったりする。この情報差を埋めてしまっているのがネットなのだが・・・


◆ネットとの関わり


 Webのアクセス解析はしていないが、ネットによる口コミは影響が大きい。制作者としてはユーザーの声を聞きたいので、以前は全てのメッセージにレスしていたが、最近はとても無理。
 ひぐらしの場合、ネットのコミュニティはファンが主催するイベントなどを通じて、徐々に大きくなっていった。このようなゲーム本体をクリアした人の、「お疲れ様会」「お茶会」などでゲーム改考することこそが、ひぐらし本来のゲーム性なのかも知れない。
 また、同人作品は事前告知によるプロモーションはなく、公開されてから告知などが始まることが多い。ネットなどによる口コミでは、マイナーな良い作品がソースとして良質なものと思われている。逆に、自分が応援していたマイナー作品の知名度が上がると、ガッカリすることもある。
 一方、インターネットには負の部分もある。ひぐらしや東方などの作品に知名度が集中しているが、それより面白い作品は山ほどある。にも関わらずそれらの知名度が上がらないのは、インターネットによって既に知名度のある作品のみが面白いような、価値観の統一が行われてしまうから。ネットの情報は広く伝わるが、ソフトを1本も買わずに、遊ばずに、その情報だけを見て論ずることが日常的になされ、評価などは収束されやすい傾向にある。

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 プロモーションについては、同人ゲームのほとんどが特に力を入れていない部分だろう。となると、ほぼ唯一の出口となるのがネットということになる。ネットにおける情報伝達はここのところ急激に変化している。特にモバイルへの移行には、PCユーザーには理解できない勢いがあるので、次にネット連動で大ヒットするものは、モバイルを利用したものなのではないかとも思う。

 ここにコンセプチャルな新作を投入する同人さんはいないのか?原点に戻ると、別にそこに価値を求めてはいないのだろうね(笑)


◆プロフェッショナル


 同人と商業の分岐点は数字ではないのだが、ある一定の量を超えて売れるようになると、ショップから予約を受ける形になる。こうなると責任が生まれ、同人という枠の中で、趣味として完結させることができなくなる。ひぐらしでも04冬の目明し編からは未完成の段階から予約を取るようになったので、プレッシャーだった。
 現在は専業化しているので、クォリティと納期は守りたい。これは社会人として当然のことだが、コミケに未完成ゲームが並ぶなど同人では軽視されがちだ。黄昏フロンディアさんも、社会人なみの感覚を持っているが、これは制作者としての情熱で測ることができるかも知れない。情熱なくしていい仕事をした人はいないのだ。

 最後に一言「愛のある二流は、愛のない一流に勝る」
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 07th Expansionは、その価値観の基準が80年代ゲーム的であるだけで、やっていることは00年代以降のプロフェッショナルなゲーム制作者そのものである。「クォリティと納期を守りたい」などは、20世紀を引きずってるダメな作家連中に一番必要なものだし(笑)。

 今回の話を聞いて、「同人ゲーム」の定義は精神と実態では異なることが実感できた。彼らの同人に対する定義を照らし合わせると、遠藤とかはもろに同人作家になってしまう(笑)。「同人」であることは本人のプライドの問題なのであって、むしろ海外と同様に日本でもインディーズゲームの市場が育っていると感じた。

 「同人」の定義に関しては、高橋直樹氏の言葉「税務署の世話になってる人は商業!」というのが一般的だと思う。遠藤的には、「同人ショップ」で委託販売しているのは「インディーズ」。一般流通で販売されるパッケージは「メジャー」。常設的に購入する仕組みを持たないのは「同人」と、販路で分けるのが一番すっきりした。


 竜騎士07氏のプロ意識に接してみて、改めて「商業」だの「同人」だのという分類が、現在では全く無意味なものなのではないかと思った。むしろ、自分が同人作家だと思っている諸君に、ひょっとしたら愛のない二流に分類されているだろう遠藤から、「愛のある一流になれ!」と言いたい。

公開講座でいろいろ貰った

 先日のDiGRA JAPANの公開講座後の懇親会で、何だかいろいろと貰ったので紹介!


うみねこのなく頃に 第三話


 まずはメインゲストだった竜騎士07さんからいただいた、「うみねこのなく頃に」の08夏に発売された第3話。やるしか(^_^; )


大東京トイボックス vol.3


 次は最近育児がメインになっている、うめ夫妻の新作「大東京トイボックス vol.3」


玻璃の空


 ゲストで登壇された、有馬啓太郎さんから「玻璃の空」。残念ながら遠藤は幼女趣味ではなかったのだった(笑)


ディドラエンプティ


 ふろーずんおーぶさんからいただいた「ディアドラエンプティ」。弾幕シューティングではないですと言われたのだが、画面のイメージを重視するあまり、敵も弾も見えない(笑)。これもゲーム性よりテイスト重視という今風アレンジですな。

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