ソーシャルゲームはおもしろいのか?
NHK教育の「ITホワイトボックス」に出演して、モバイルソーシャルゲームに関する解説をしたのだが、それ以後、タイトルの質問を多くの人にされたので、まとめて意見を書いておく。あくまでも私見なのであしからず。
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本来「game」は「競技」という意味で使われていたように(五輪はolympic games)、対人が基本になっている。ゲームとは、決められたルールの上で競い合う物ということだね。
それに対してデジタルゲームは、AI(人工知能)を使って自動代替プレイヤーを作ったり、架空の世界で架空のルールを設定したりして、1人でもプレイできるゲームを目指していた。コンピュータの普及によって、今ではすっかりゲームは1人で遊ぶ物の印象が強いけど、本来相手と競うものなのに変わりはない。
現在一般的な相手と競うゲーム、例えば「将棋」とかは良い例なんだけど、これはルールだけが設定されていて、双方の練度の差によって難易度が決まっている。ゲームの難易度は面白さと密接に関係していて、プレイヤーに適正なものでない限り、ルールがどれだけ優れていても面白いものにはならない。つまり「将棋」はゲームとして定評があるわけだが、駒の動かし方を覚えたばかりの小学生が名人とガチで対戦した場合、どちらも面白いからは程遠いゲームとなる。
同様のことは対戦格闘ゲームでも言えるので、そちらの方が分かりやすい人もいるかな。同程度の相手と戦うのが一番面白く、格上に挑戦するのもいいけど、格下にしつこく挑戦される相手は決して面白いとは思っていないだろう。
対戦という言葉をマルチプレイに置き換えてみよう。
実は日本人は本質的にマルチプレイ環境では、相手と戦って優位であることを示すより、協力してより困難な課題を解決する方へ向かう。モンハンの「一狩り行こうぜ」とかはいい例だね。
この場合でも、一緒にプレイする同士のリアルな新密度が低ければ、プレイヤーのレベルが同じでないと不公平が生じたりする。新密度が高ければ、不公平を越えて一緒に遊ぶことが楽しいという論理になるのでね。
ここで将棋に戻って考えてみる。
とある将棋大好きな人が将棋のルールを知らない、かつ言葉が通じない人と将棋をするとしたら、どんなに好きでも面白さや楽しさにはたどり着けないと思われる。では「将棋」はつまらないのか?そうではない。ここでは「将棋」は単なるルールを持ったシステムで、ゲームとしての価値は優れた対戦相手にあるということ。人がコンテンツなわけだね。
同様にソーシャルゲームを考えてみる。
よく「ソーシャルゲームはゲームとして低次元」とか言われるが、これは意図的に「ルールを低次元」にしているのが原因。システムだけで論じると、ソーシャルは「ハイリスクハイリターン」とか「ゼロサム」とかの概念が薄く、ゲーム性が低い。しかし、ルールが低次元であれば、言葉の通じない人から将棋のルールを教わるより、遥かに低い敷居でゲームに参加できる。しかも始めたばかりの人でも、十分に一緒にプレイした時に有用だったりする。人コンテンツが練度低くても機能するからだね。
結局、「ソーシャル」ゲームの面白さは、それをプレイする人に依存する。「ソーシャルゲームにも面白いつまらないがあるぞ!」という意見は、ソーシャル要素とは別の次元でのゲームルールとしての面白さであり、相手の居ない将棋がつまらないのと同様、1人しかいないソーシャルなど何の魅力もない、というか相手が居ない将棋が成立しないと同様、1人のソーシャルも成立しない。
「ソーシャルゲームはおもしろいのか?」と問われたら「将棋と同じくらいには」と答えても乱暴には当たるまい。将棋がどんなに面白くても、無人島に将棋盤と駒だけを持って行っても悲しいだけ。逆にソーシャルゲームのルールがどんなにクソだったとしても、一緒にやる人とのコミュニケーションが加速されるなら「面白い」と言い切れるのではないだろうか?
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これは好き嫌いとは別の問題。遠藤はどちらかというとソーシャルは鬱陶しく感じるので苦手(笑)。
「2015年の電子書籍」野村総合研究所
教え子の1人でもある、野村総研の石田樹生君が共著ながら本を書いたということで、報告に来てくれた。
学生時代「コンテンツを作りたい」という気持ちを持っていて、なおかつそれを十分にできるだけの資質も持っていたのだが、「新しいコンテンツが伸びていく環境を作る」という、一段高い視野から活動を選び、学部で卒業して3年かな。仕事もバリバリとこなして結果も出し、先日娘さんも誕生したということでリア充の典型なんだけど、若い世代にもちゃんと人物は居るということで、自信を持って「日本のコンテンツ」を作り続ける気になる。
本は野村総研の2015年シリーズなのだが、その内容は、
第 I 部 電子書籍市場の現状
・電子書籍に関する取組みの歴史
・国内外の消費者向け電子書籍サービス動向
・教育分野における電子化
・法人内での電子書籍の利用
・電子書籍に関わる技術動向
第 II 部 日米間またはコンテンツ間の比較による電子書籍の特徴
・日米比較
・映像・音楽の電子配信との比較
第 III 部 電子書籍市場の今後と関連業界への影響
・電子書籍市場規模予測
・関連業界への影響
となっている。興味のある方はどうぞ!
- 2015年の電子書籍/野村総合研究所
- ¥1,785
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CEDECで「震災復興新技術特別セッション」を募集
CEDEC2011では、東日本震災を受けて「震災復興支援技術特別セッション」を設けて、講演者の募集を始めた。募集する内容はゲームに限らず、震災の復興、防災、救助、医療などに関わる、システムやアプリケーションなどの技術やアイディアで、数件はCEDEC2011の特別セッションとして講演する他、CEDECのサイトなどで広く紹介する予定。
詳しくはCEDEC2011の募集ページ
を見てね。
電力供給が不安定なおり、電力消費を少なくする技術とか、放射線の影響もある中、自律災害救助ロボットのデモなど、そんな直球なものから、被災地におけるエンターテインメントの提案まで何でも。これらが震災被害の復興や、被災地域の人たちに取って少しでも助けになればと思います。
また、公募期間を延長したCEDEC 2011セッション公募の締め切りも、いよいよ次週4月7日(木)なので、奮ってご応募ください。
CEDiL公開中
大震災を考慮して、CEDEC2011のセッション公募の締め切りは、3月末から1週間延期されて4/7になったが、応募を躊躇している開発者の中には、自分の発表の価値がどのくらいなのかの基準がなくて、困っている人も居るのではないだろうか?
そんな人たちに朗報、というか、ゲーム開発者、研究者なら誰にでも価値ある資料だと思うが、過去にCEDECで行われた講演の資料を閲覧できるアーカイブ「CEDEC Digital Library」通称「CEDiL」が正式公開されている。
膨大な数の講演なので、全てに目を通すとはいかないだろうが、興味のあるところだけでもつまんで見るといいかな。閲覧は現在無料だが、メアドとパスワードの登録が必要になっている。
ちなみに遠藤の講演資料もいくつかあるので紹介しておこう。
モバイルゲームのゲームデザイン'06
10年前のモバイルゲーム、10年後のモバイルゲーム(仮)
ライトゲームなう
特に「ライトゲームなう」は思いっきりアウェイな雰囲気で始まり、セッション途中から説明する内容や構成を変更したため、後半は改めて資料を見てもらえば納得できる部分も多いだろう。
エンド オブ クロスナイト
昔からの遠藤ファンなら、遠藤・黒須・内藤だって?ひでぇネーミング(笑)ってバレバレだね。で、内容は80年代的でオーソドックスなタイプのRPG。
マップ画面は4方向に歩く。人や立札に突き当たると、自動的に会話になる。ストーリーは単純なフラグ立てで進行するので、適当にやってると進む感じ。
戦闘は多対多のコマンド形式。戦闘中にHPが0を割ってしまうと、そこで「倒れた」ことになり、戦闘終了まで戦闘に復帰することはできない。ただし倒れていても戦闘に勝利すると経験値が入るゆとり仕様(笑)
重要なキャラクターとの会話はイベント形式になっていて、それっぽいキャラのバストアップグラフィックが出る。序盤はおっさんが女の子と一緒に旅をして、そこにアレなイケメンが加わるという、大丈夫か?な展開。
戦ったモンスターは図鑑に登録される、みたいなありがちな機能は大体入っている。上の画像見ると、モンスターは全46種類っぽいね。
ドコモのFOMA端末なら、上のQRコードから直接ダウンロードページに行ける。体験版もあるんだけど、残念ながら体験版で遊び込んでも、製品版に切り替えた時にそのデータは転送できないので、\315払う気になったらお早めに製品版に切り替えた方がいいよ。
とびだす!パズルボブル3D
アリカさんから、3DSソフト「とびだせ!パズルボブル3D」をいただいた。
三原さんもいろいろやってるな、と思うんだけど、パズルボブルは得意じゃないんだよな・・・と思ったら、ウマい人がやって見せてくれた。
別にゲーム性の部分に3Dが取り込まれているわけではないんだけど、何となく新鮮に見える。
- とびだす! パズルボブル3D
- ¥4,980
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