十年選手を三ヶ月で追い抜く?!(笑)エヴァンス・使いこなし講座、第六講。 | EVANCE-DG 開発日誌

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ライノセラス用プラグイン・モジュール「エヴァンス」開発者のワタシが、日々の感想やライノのTips、開発状況を綴っていきます。

「ポリサーフェスをサーフェス化」コマンドが入ることにより、ライノ6バージョンになってからさらに進化に加速度がついてきた感のあるエヴァンスだが、「ポリサーフェスをサーフェス化」コマンドには実は、ルーツともいえるコマンドが存在する。

 

それは、ワタシが病を得て人生初の長期入院を余儀なくされた2010年に、入院中のヒマを持て余したときに設計した「曲線のキンクをデリート」("DeleteCurveKinks")というコマンドである。

 

「ポリサーフェスをサーフェス化」コマンドは、いきなりポリサーフェスのエッジ部分を形を維持したまま取り去ってしまうというコマンドなわけだが、"DeleteCurveKinks"は、その前段階として断面線など曲線の段階で掃引などで起ち上げた時にポリサーフェスのエッジになる曲線のキンクを取り去ってしまえば、その曲線を使って作られたオブジェクトは当然、ポリサーフェスではなく、サーフェスになるだろうと考えたわけである。

 

2010年なので、まだライノのバージョンが4.0だった時代である。(笑)

 

キンクを取り去ってしまうわけなので、当然角っているところは丸くなる。

 

一辺当たりのコントロールポイントの数を加減することによって、その丸みを調節することになるのだが、ある程度シャープな角っぽさを表現しようとすると、一辺当たりのコントロールポイントがとても多くなってしまう。

 

この欠点(フィレットがかかったような形状を作る場合は逆に利点になるわけなのだが。…)を克服したのが、ライノ5時代の中身を作り直した、「曲線のキンクをデリート」"DeleteCurveKinks_Rebuild"コマンドである。

 

これは、一辺当たりのコントロールポイントの数を増やすことなく角を表現できるようになった。

 

どちらのコマンドで作った曲線でも、コントロールポイントを出してよく観察してみると通常のオペレーションでは、こういう曲線は作れないことに気がつくだろう。

 

エヴァンスではこれを、特殊なプログラム処理によって可能にしているのである。

 

使いこなしとしては、角がフィレットされた形状をつくるなら、断面線に「曲線のキンクをデリート RRAP対応」("DeleteCurveKinksForRRAP")コマンドを使うと便利である。

 

 

角が出たままで単一サーフェスにしたいなら、

「曲線のキンクをデリート」("DeleteCurveKinks_Rebuild"コマンドを使うということになるのだが、エヴァンスの、「クローズドリングを製作」("EVANCE JS2"))コマンドや「オープンリングを製作」("EVANCE JS3")コマンドと組み合わせて使う場合、ちょっと注意点がある。

 

 

「クローズドリングを製作」("EVANCE JS2")コマンドおよび、「オープンリングを製作」("EVANCE JS3")コマンドは、リングの内側部分の真ん中にシームをもってくるように設計されているので、「曲線のキンクをデリート RRAP対応」("DeleteCurveKinksForRRAP")コマンドでは問題ないのだが、

「曲線のキンクをデリート」"DeleteCurveKinks_Rebuild"コマンドでは、上の図のように二枚のポリサーフェスに分割されてしまうのである。

 

これを回避するには、「曲線のキンクをデリート」"DeleteCurveKinks_Rebuild"コマンドを使うときに、オプションの中の、「JSの断面として最適化=はい」とすれば、ふつうに単一サーフェスとして出来上がるのである。