一体彼女に何が起きたのか | くうねるあそぶ。ニュージーランド

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南半球の果てで見つけたわたしの楽園

ふだん至極平和で、なーんにも変わったことが起きない私の生活圏ですが、先週は実に奇怪なことがあり、大変めまぐるしい1週間でした。


とある一個人の事情について書いていますが、私の住む集落には日本人は私以外にひとりもおらずこの弱小ブログを読んでくださる方がこの個人を特定することは不可能だと思うので、仮名を使って起こったことを書いていきます。



まずことの始まりは月曜日。私の仕事場に、キャプテンのいとこで地元で不動産屋を営むKがやってきました。Kは消防隊の一員でもあり地域が認める人格者です。


その彼が、私たちの共通の知り合いの様子がおかしいから一緒に見に行ってくれないか、というのです。


スマホを見せられると、そこには前の晩から今朝にかけて、「助けて」から始まり、なにやら意味不明なメールが並んでいました。言ってることが支離滅裂すぎてよく分からない。なにごとだろう。


このメールをKに送ってきたのは、この集落に4年前からひとりで住んでる某アメリカ圏の島(日本人が大好きなあの島)から来た30代のサーファーの女性、ローラ(仮)。

腰まであるブロンドのロングヘアーに長い手足、スリムなのに胸も大きくて、まるでベイウォッチやバービーの世界から出てきたみたいな容姿が、ニュージーランドの芋くさい人達の中でひときわ目立ち輝いている彼女。


でも1人が好きなのか、私たちは彼女が人と一緒にいるところを一度も見たことがありません。いつも1人で犬といて、会えば立ち止まって挨拶したりお喋りしたりするけれど、誰とも深い付き合いは避けているような、一匹狼的な不思議な感じの子なのです。


そもそもKは、ローラとは顔見知りではあったけど、名前すら知らなかったそうで、今回まず知らない番号から不可解なメールが届き驚いて、やりとりをするうちに、あーサーフィンでよく会うあの子か、とわかったそう。なぜ自分にこんなメールが来たのかまったく不明だそうで、私とキャプテンがローラと知り合いなのを知っていたので私たちに相談してきたのです。


キャプテンと私もローラとは友達と言えるほど親しくはないものの、犬の散歩やサーフィンなど通じて割と仲の良い方の知り合いだとは思います。 親しくなりたいと思って過去に何度かワインでも飲もうよと家に誘いましたが、何かと理由をつけて一度も来たことはありません。


友達とは言えないくらいの関係ですが、この狭いコミュニティに住む数少ない同世代(?)のサーフィン仲間として、キャプテンと私は普段から彼女の様子を気にしていました。

慢性的に不眠症でほとんど眠れないと言っていたし、会う度に態度というか様子が違ったりするので、もしかして精神的にアップダウンがあるのかもしれないな、という印象を持っていました。


その彼女がKに送ってきたメッセージは明らかにおかしい。

職場のボスに事情を話し少し抜けさせてもらって、同じ集落内の車で数分の彼女の家へKと向かいました。


彼女が賃貸している小さな平屋に着いたら、家も庭もとっ散らかってて、物や破いた本や紙切れや色々な物があちこちに散らばっているし、殴り書きした F*ck とかKill you だとかのメモがテーブルに釘で刺してあったり、なにやら物騒な様子。


彼女はボロボロのスエットを着て、焦点の合わない目をしていました。


私が「ちょっと!どうしたの大丈夫!?」と近づくと、ポロポロと涙をこぼしはじめたので、しばらく抱きしめて落ち着くのを待った。


話を聞き始めるも、ひどい錯乱状態で話も意味不明だ。


毒を盛られた

誰に?

わからない。

昨日誰かに会ったの?

誰にも会ってない。

昨日、白ワインを二本買ったはずなのに気づいたら赤ワインに変わってて財布も無くなっていた、それを飲んだら体が動かなくなった、誰かが私を狙っている。

家も監視・盗聴されている

もう2週間、寝てないし食べてないし何も飲んでない。死ぬのを待ってるがなかなか死なない。

近所の男が私の犬に何が機器を挿入して操っている。

ほら見て!足と手のひらにガラスが刺さってるでしょ(ささってない)。誰かが私が寝てる間にガラスの破片を刷り込んだの!取れなくてガラスがだんだん溶けていくの。


叫んだりどなったりしながら上記のようなことをまくし立て、その合間に、ドナルド・トランプがどーだとか、テイラースイフトがどーだとか、なんかそんな事も言ってました。


この集落は住んでる人は300人くらいで、通常の治安考えたら、毒を盛られることも家を盗聴されることも、まず考えられません。

車の窓を全開にして家や店の前に停めておいて財布を見えるところに出しっぱなしだったら、盗られることは考えられます。

財布は盗まれたかもしれないけど、後のことは本当に起こったことじゃないと思いますね。なにかが彼女の頭の中でおこっているようです。


ここは安全じゃない、と怯えるので

「私たちの家に来れば?」と聞くと、OK...と言うので、仕事が終わったら迎えに来るからね、とひとまず落ち着いた様子の彼女を置いて我々は退散しました。


仕事後再び訪ねると、お風呂に入っていました。今朝はずいぶん小汚い姿だったので、ちゃんと衛生観念はあるようでほっとした。お風呂につかりながらちょっとおしゃべりをするも、やはりちゃんと話にはならない。訳の分からない事ばかり言っているし、質問をしてもちゃんと答えが帰ってこなくて全然違う話を始めちゃう。


うちに行こうか、と言うと今度はNo、ここで大丈夫だという。自分の家がいいと。でもずっと食べてないと言い張るので、食事を作って持ってきたら食べる?と聞くとYesという。


その夜うちは親子丼にしようと考えていたのだけど、「👱🏼‍♀️ラム・ローガンジョッシュ(インドカレー)が食べたい」とおっしゃるww 


ラムは家にないから無理だけど、チキンなら、と家に帰ってスパイスでいちからローガンジョッシュを作って(超美味しくできた)持って行った。


カレーをリクエストしたことはさっぱり忘れていて、

「いま吐き続けてるし(たぶん妄想)、胃が食べものを受け付けない」といい結局このカレーは置いてきたが翌日も食べていませんでした。


この夜は心配ながらも、自分の家がいいと言うし、支離滅裂な話は相変わらずだが朝方よりずっと落ち着いていて、叫んだり怒鳴ったりはしなくなったので、私もそこを後にしました。


朝になり、スマホを見たら0時半に彼女から着信があったようです。

犬の散歩のついでに様子を見に行きました。彼女の犬が心配でもあったので一緒に散歩に連れていこうかと。


彼女は今日もやはり被害妄想を繰り返していました。

家が怖いんだったら、うちにおいで?しばらく泊まっていいよ。泊まるのが嫌でも、とりあえず話しでもしにおいで。

と言い置いて帰りました。


午後にメールが来て「あとで行く」と言うが夕方になっても来ないので、もう来ないものと思っていたら


夜の9時に現れた。

布団やらなにやら一式持って来たので、泊まるつもりで来たんだろう。

錯乱していたわりにはちゃんとお泊まりの準備してきたようです(歯ブラシは持ってきてなかったけど)。


正直ちょっと面倒くさいことになったな、と思ったけれど、乗りかかった船だ仕方ない。

状態が普通じゃないので1人で放っておけない、とキャプテンと2人で暖かく迎え入れました。

暖炉を燃やしていて家の中は暖かいし、寒がりで万年不眠症の彼女のためにゲストルームに冬用の布団で、できる限り心地のいいベッドを作った。


幸いエアビーのゲストが今週いっぱい入ってなかったので、彼女専用のバスルームもあるゲストウィングで自由に過ごしてくれればいい。安心できるところで人と接して、ご飯もちゃんと食べて、ゆっくり眠ることが出来れば、きっと良くなるだろうと、私たちは思っていました。


この夜も、やっぱり毒を盛られた、家を監視されてる、財布を盗まれた、犬を操作された、いろいろ言っていた。



もしかして統合失調症を発症しているのかな。。。


以前、留学の仕事をしてる時に、こういうありもしない被害妄想に苛まれてしまった学生がいて、看護師の友人がおそらく統合失調症だと言っていたのを思い出した。思春期から40代に発症することの多い精神病だそうで、年齢的にもあてはまる。


はたまた何がしかの薬物の影響か。専門家の診断なしにはこれが一体なんなのか分かりませんがともかく普通じゃない状態の彼女、友達も家族もいない若くて綺麗な彼女を1人で置いておくのは心配で気の毒で、私たち夫婦でとにかくかくまってあげようということになりました。


しばらく話していたけど、どんどん言葉が溢れてくるわりにはちゃんと会話にならないし、もう私たちは寝る時間なので、お休みといって寝室に案内しました。


ローラもここなら安心出来る、と言っていたので今夜はゆっくり休んで欲しい。


長くなるので次回に続きます。