今回も2016年3月のスペインはバルセロナからです。
カタルーニャ音楽堂は、世界遺産にも登録されている素晴らしいホールです。こんなところで演奏出来たら一生の思い出になりそうですね。1905年から1908年にリュイス・ドゥメナク・イ・ムンタネーの設計で建設され、多くの著名な演奏家たちがこのステージに立って演奏をしてきました。スペイン出身のカザルス、ファリャなどにとどまらず、ラヴェル、ストラビンスキー、カラヤンなどもこのステージに上がっています。
コンサートが始まる前に、ホワイエでくつろぐ時間は、また格別です。
ホールに入ってみます。
素晴らしい造形で彩られたホールですが、なんと窓ガラスが配置されていて、太陽の光が差し込んできます。こんなホールあまり見かけませんよね。それでいて音もしっかり良いという奇跡のようなホールです。
そしてなんとも目を引くのが天井のステンドグラス。太陽をイメージしたデザインなのだそうです。
ステージの後ろにはミューズ達が音楽を奏でています。
今日のコンサートは、リカルド・ヴィネス国際ピアノコンクールの優勝記念コンサートでもあり、ピアノを演奏するのはハンブルク演劇音楽大学に通う重野友歌さんです。
オーケストラは、地元バルセロナのOrquestra Simfònica del Vallès。1987年に設立されたオーケストラです。今日の指揮はRubén Gimeno。スペイン出身の指揮者です。
演奏された曲は、
セルゲイ・ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
ラフマニノフは、ロシア革命の混乱の中、母国を離れアメリカに渡ります。アメリカではピアニストとして成功を収めていきますが、アメリカの商業主義の中で疲れ果て、また、母国を離れたことで作曲への意欲を失っていきます。そんな中、休暇を過ごしたスイスはルツェルン湖のほとりで、母国に似た雰囲気の中作曲の意欲を取り戻し作曲されたのが、この曲です。
天才ヴァイオリニストパガニーニの「24の奇想曲」から主題を取り、24の変奏からなるこの曲を作り上げました。1934年の夏の3カ月で作曲され、11月にボルチモアでフィラデルフィア管弦楽楽団演奏、ストコフスキー指揮で初演が行われています。その時の独奏ピアノはラフマニノフ自身でした。
今日の演奏、すごく楽しい曲でワクワクします。そしてピアノもすごくかっこいい演奏でした。
2曲目は、
フェリックス・メンデルスゾーン:交響曲4番 イ長調
この曲は1831年から1833年にかけて作曲された交響曲です。メンデルスゾーンは、1830年10月から1831年4月にかけて、初めてのイタリア旅行に出ます。そこでのインスピレーションを曲にしようと旅行中に作曲を始めますが曲は完成しませんでした。帰国後、ロンドンのフィルハーモニック協会からの依頼を受け完成されたのが「イタリア」の愛称で知られるこの曲です。明るく躍動感あるイタリアの太陽、憂鬱さ、イタリアの舞曲サンタレロなど、この曲を聴いてイタリアを思い浮かべない人はいないと思えるほどのイタリアぶりです。
オーケストラは、みんな立って演奏してました。
素晴らしいホールで、素晴らしい演奏。とっても幸せな気持ちになれるコンサートでした。