珈琲と虹と鯨の棲む場所 -48ページ目

珈琲と虹と鯨の棲む場所

東京都三宅島をフィールドに直感を綴る


抹香鯨(マッコウクジラ)の骨を使ってネックレスを彫っている。
師匠のハンセンさんから教わったことをずっと繰り返し反復練習している。

それは映画「ベストキッド」のミヤギさんが
「ダニエルさん、ワックスオン、ワックスオフ」と何度も繰り返させるように
何度も何度も繰り返し練習する。

本来ならネットでオープンにしたいところだけど、
なにしろ自分の作品に自信がない。
ハンセンさんが20年以上かけて作り上げた世界で
すでに4000本くらいの作品を彫っている。
そんな師匠の足元にも及ばないし、本物を欲しい人は
ぜひハンセンさんの作品に触れて欲しい。
※リンクから飛んで購入もできます。

自分が唯一できている事と言えば、
作品のメインは三宅島にストランディングしたクジラの骨を使って
一度亡くなった生き物の骨に再度魂を吹きこむ作業はできていると思っている。
彫る技術とかデザインとか、完成度的には果てしなく遠い状態だけど
三宅島の海岸に辿り着いた地球上で歯を持つ一番大きい動物の骨、
それを「これを身につける者に幸あれ」と念じて彫っているという事

今回アップした写真はマーメイド(人魚)というデザインにしようかと思っている。

お店に来てくれたフリーダイバーで100m以上潜るHANAKOちゃんのイメージ
100mも潜るとブラッドシフトという現象が起こるそうで、
水圧の関係から全身の血液が限りなく生きることに必要な場所、
脳と心臓に集中してくるらしい。
ブラッドシフトが起こると人間は限りなくクジラやイルカに近づいている感覚らしい。

ボンベとかなしでフリーで潜る、いわゆる昔の「素潜り」ってやつで果てしなく海を泳ぐ
そんな自由なイメージを抹香鯨(マッコウクジラ)の骨で彫りました。
※フックの形がスマホで「人魚」で出てくるイラストに似てる。

この形にはもう一つのストーリーがあって、
去年だったか、OWSをやっている女性がドルフィンスイムで島に来て
たまたまお店にコーヒーを飲みに来てくれて、
その時に買ってくれたのがこのデザインだった。
(このデザインはそれ一本しか彫ってなかった↓たぶんこれ)

ある日、彼女がプールのロッカーにしまっておいたら、
帰りになくなってしまったそうで、それがすごく気になっていたらしく
ネットで購入できないかとメッセージをもらっていましたが、
ネット販売はしていないという事を伝えていました。
そしたら時間を作って突然島に来てくれて、お店でいろいろと試着して、
新しい一本を購入、そしてなんと島内観光でザトウクジラも何頭か見れて、
すごく充実した感じで帰っていったんです。不思議ですよね。
フックが無くなってしまった事も不思議ですけど、
島に来ていきなりザトウクジラも見れてしまうなんて。
11月から3月くらいまでここ数年は見れるようになっていますが、
突然来ても野生のクジラに出会える保証はないので、
クジラ見れますか?と聞かれても、「クジラ次第なので」と答えるしかない。
でも確率が高いとか、昨日はここで見れたという情報は共有できるので
そこに賭けてみるのはかなり大事で、人生と一緒、チャレンジなきものに成果はない。

まあ、長く書いてしまったけど、ネット販売はもう少し悩みます。
そしてコロナウイルスで時間が増えたので、できるだけ作品を彫ろうと思います。

 

パタゴニアの無料公開ムービー
だいぶ前にこの予告を観た直後に Kimi Werner のインスタグラムをフォローしました。
彼女は赤ちゃんが生まれて、めちゃめちゃ可愛いいストーリーが毎日アップされています。
自分で採った魚や料理も上手でシンプルな暮らしが鮮やかに切り取られています。
タヒチのチョープーの波やカメラマンの切り取る波、子供たちをサーフィンデビューシーンなど
パタゴニアらしい映像が凝縮されています。ディレクターはKeith Malloy 

 

 

 


秋元康プロデュース
深夜のラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」で、
幻冬舎の社長 見城徹さんと林真理子さんが話していた小説
見城さんが言う林真理子さんの最高傑作
この作品があったから後々の作品が直木賞を取るきっかけとなったと語る。
※林真理子さんの高校時代の同級生ラガーマン(藤原 優 さん)登場の小説

 


本当に個人的な感想で申し訳ないけど、最後まで読み終わって、
直木賞の議論にもなっていたと見城さんが語る
最終章はなければ良かったのでは?と思ってしまうけど、
最後の一行「よかったね。よかったね。あんたも私も、本当に良かったね」に、
じんわりと涙がこみあげてくる感動はあるので、やっぱりこれで作品は完成されている。

この本を読みながら、同時に新宿高校時代の自分の「闇の時代」を思い浮かべる。
そもそも雙葉高校に通っていた従姉の「新宿高校ってカッコいい男の子が多い」っていう
ひと言が忘れられなくて、新宿高校を選んで受けることにした自分が
成績もギリギリというところで、中3の夏に受験を真剣に決めて、
ラスト半年くらいでワイルドスピードの車がニトロでギア上げるみたいな受験で奇跡的に入学
ところが最初の全校テストでは360人中358位、3年間そのまま低空飛行だった。

体育と美術だけはずっと10だったんだけど、それ以外は赤点ギリギリ、
高校2年の時に噴火があり、三宅島の実家が溶岩に埋没、全国ニュースになる。
全校生徒に「噴火で家が埋まった人」と知れ渡り、募金までしてもらった。
直後の体育祭では体育委員長だったので、開会宣言するのに壇上に上がると
父兄の中から「あの人が三宅島の噴火の人よ」という声がはっきり聞こえた。
三年になると理系と文系にクラス分けされ、女子が4人しかいない理系クラスで
スラっとした背の高い女子に好意を持ち、卒業前に手紙を渡すも自分だけ浪人
※その子は頭が良くて普段の成績も良かったので推薦で有名私立へ進学

卒業式に文武両道の生徒に贈られる「体育優良賞」などをもらったが、

全く嬉しくなかった。浪人中に彼女と何度か手紙のやりとりをしたものの、
同じ大学に進学した男子から「あいつ大学の先輩と付き合ってるぜ」と聞いて激しく落ち込む。
翌年奇跡的に1つだけ受かった大学が決まると、人が変わったように学生生活を謳歌した。
※同級生には漫画家の井上三太がいた。

浪人中にフラれた彼女とは大学在学中になぜか再会し、三宅島まで遊びに来た。
それをきっかけに何度か会ったけど、その後は続かなかった。
卒業30周年の高校の同窓会では彼女と会いたくないので出席しない自分がいた。

高校時代は本当に人生の闇の時代で、下宿先にも迷惑をかけまくっていたし、
噴火で何もかも失ったのは家族にとってもかなり痛手だったのに、
新宿にいた自分は実感がなかったので、それを親父にはだいぶ人間否定された。
憧れていた女子バスケの先輩が卒業してから、
茶髪でロッカーみたいな革ジャンで新宿を歩いているのを見てショックだったり、
まあなにもかも思い通りにいかない事ばっかりだった。

今でもSNSでなんとなく繋がってたり交流があったりするけど、
同級生のお母さんが金 美齢さんなので、議員になってから電話をもらったり、
話したことないけど、芥川賞作家の「沖で待つ」の絲山秋子さんが同級生だったり、
おきゃんぴーの中野麻理子がクラスメイトだったりとか、いろいろあるよね。
高校の大先輩の坂本龍一さんとか、カメラマンの馬場憲治さんとか
入学していきなり60周年式典の講堂で怒られた、丸井の社長、青井さんとか

小さいころからずっと、コンプレックスの塊で過ごしてきたし今もそうだけど、
途中には、この小説のように「よかったね」と、心の奥で思う事もあって
コロナウイルスでできた時間をこんなふうに過ごしています。


秋元康さんプロデュース
深夜のラジオ番組「TOKYO SPEAKEASY」で、
幻冬舎の社長 見城徹さんと林真理子さんが話していた。
実際に林真理子さんの家に居候していたステラという女性の話
そして彼女の最初の小説にして直木賞候補作

 


この小説で出てくる新宿のDANは、新宿高校時代に親父に連れてってもらった記憶がある。
待ち合わせによく使ったTOPSも懐かしいし、紀伊國屋書店、アドホックにもよく通った。
レンガ造りのビルの上にあった「ジェームス」という床屋、
有線でジャズが流れている散髪屋で親父と並んで毎月髪を切ってた。

ステラが「イッセイしか着ないの」という話から、身につけるものへのコダワリが感じられる
自分も高校時代から洋服へのコダワリは強くなって、
ジーパンはリーバイスの501しか履かないとか、ヘインズの3Pの白シャツとか
クラークスのワラビーやデザートブーツ、LLビーンのトートバッグなどなど
今は店の作業着として学生の頃は買えなかったパタゴニアを着るくらいだけど。

高校生や大学生、社会人になるまでには、
ライフスタイルのカッコいい、真似したい大人がたくさんいた。
あの人が何を使っているのか?なにを着ているのか?どんな店に行くのか?
その店に行くと、同じ匂いのする大人が集まっている。そんな時代だった。

渋谷のプライム(いまはなくなってしまった)に行くと、大学のキャンパスに行くより
友達や仲間に逢えた。夜は六本木のJ-TRIP BARにもよく通った。
新宿に住んでいたので、表参道は自転車で行ける距離、デートでよく通った。

林真理子さんと見城徹さんの会話には都会のキラキラがたくさん散りばめられている。
この「星影のステラ」とはジャズの曲で、この小説の終わり方は、
わたせせいぞうさんの「ハートカクテル」にあった、
彼女がDJをしているFM放送が聞こえなくなったトンネルで終わるシーンに似ている。

還暦を越えた大人たちが楽しかった時代を、自分は少しだけ知っている。
今の若者にも、ぜひ時代を謳歌してもらいたいと思う。
そのためにはこの機会にたくさん良い映画を観て、いい音楽を聴き、本を読み、
自分は本当は何がしたいのか?考えて欲しい。
好きなことを思い切りやったほうがいい。人生は一度きりだから。


殆ど使う事のなかった今の家の古い自分の部屋に、
本がたくさん詰められた箱が3つある。
たぶん2000年の噴火で全島避難してた頃、親父が読んだ本を
全島避難解除後に島に送ったままの箱だと思う。

その中で幻冬舎の本という事で、沢木耕太郎さんの「無名」を手に取って
読み始めた。2016年に他界した親父の事がフラッシュバックして
感傷的になりながら、コロナウイルスでできた時間をこの本に費やした。

 


この本の中で、父の俳句集をまとめるという作業が記されているが、
ちょうど一昨年、自分の父が全島避難中の島民を元気づけようと
自費で送り続けたハガキを沖倉商店のブログに全てアップした時の事が被った。
「絆」というハガキ41枚分

たまたま今日は、お通夜に顔を出して、いろいろな過去の事が頭に浮かび
久しぶりにブログに記憶を残そうと思った。
人はいつか死ぬ。人は生まれた瞬間からその日に向かって生きている。
自分が亡くなった時に、何が残るのか?何だか切なくなりながら暫く考えてしまった。