僕は深夜の教室に居た。
僕は?僕たちは?
銃で切り抜いた空間からどす黒いみかん人が襲ってくる。
さっき始末したのになぜ?
教室に来る前僕らは、
エレベーターを登った。
その時は意気揚々とこの世界のルールを掌握していた記憶が蘇った。
僕には、言葉にしたことを具現化する力があった。
それと同時に、具現化する度に記憶が無作為に失われる。
失われた記憶は無作為に蘇る。
今思い出したことは、襲い来るみかん頭たちを殺すことは容易いけど
後で困るということ。
先頭を歩いていたのは透明なみかんで、赤いみかんがその後を歩いていた。
そいつらはかけがえのない仲間だった。
記憶の全ては戻らない。
ただし蘇った記憶をここに記すことは自由だ。
僕は生き長らえた時間をできるだけ使って
蘇った記憶をここに記す。
少し前の記憶は、僕らが透明だった時の記憶だ。
僕と相棒の二人で、川を渡った。
川には氣のいい船頭さんがいて、
僕らが渡るのを許してくれた上においしい食べ物の話をしてくれた。
ありがたい。
僕らにとって情報はいのちの源。
知れば使える。
おいしい食べ物を具現化して命をつないだ。
川を渡る前、透明になる前。
僕らは凶悪な生き物を追っていた。
まるで、背中で地を這って高速移動しながら交尾する2対の悪霊のような生き物。
そいつは僕らの後に目覚めた。
僕らは目覚めた時、その後どうなるか知っていたから先手を打つことができた。
目覚める時間も知っていた。
だからその前に、そいつに気付かれないように透明になることができた。
光が眩しくてこれ以上記憶を取り戻せない。
暗闇に潜って記憶を捜しに行かねば。
という夢をみた。