学校祭で何か提案したらしい僕は、白い営業車両で学校に通っていた。
提案は通らなかったけど、クラスの連中とはうまくやっていた。
帰る前に体育館の楽屋で制作しているのをみた。
お化け屋敷とフリマをやるらしい。
フリマに僕は、手持ちのいくつかの本を提供した。
読み古した愛読していた教育書。少し心残りがあったが手放した。受け取ってもらえた。
と、あと少々えっちい小説があった。
小説のほうは誰にも見えないようにあとで処分しようと思って、手元に残した。
僕は車をお化け屋敷で使うものの型として提供していた。
最近引っ越しをしたので、手続きやら何やらで忙しくあまり学校祭の手伝いはできていなかった。
図書室で物書きをして、そのままいつものように放送室を通って玄関に出ようとした。
放送室では見知った委員たちが作業している。
誰もいないと思っていたのでびっくりしつつ、すいません、と声をかけて出た。
委員たちコラコラという顔をちらっと見せた。
駐車場では長身の男が僕の車から型を外すところだった。
外郭を外して、さらに坊主頭の男と運転席にも型をつけていたのを外した。
ハンドルの根本で小さな炎が灯っているのを見た僕は慌てて消火した。
ガスコンロのように小さくつけたままだったのだ。
坊主頭の男が消し忘れたのか、
それとも僕が登校時に消し忘れたのか、わからなかった。
僕は坊主頭の男に詰め寄った。坊主頭の男は作業していて僕には取り合わない。
作業が終わって去り際に坊主頭の男は僕に
「ようやく利己心を克服したね」と言った。
そうなのかな、そうなのか、と僕は首を傾げたり、納得したり、した。
図書室に何か忘れ物をしたかもしれないと取りに行って、赤鉛筆を消しゴムを手に取り廊下をうろうろした。
何か思い出せそうで思い出せない。
ちびた赤鉛筆を何度か見て、何かを振り切ろうとした。帰ろうと思った。
廊下で会った先生に挨拶をした。
今度の引っ越し先は、前より学校に近いんです、と僕は言った。
そうか、と先生は言った。
さよなら、と言って僕は車に向かった。