「イテルさんの彼女ってどんなひとなの?」
「本当に彼女なの?脳内彼女なんじゃないの?」
そんな質問を受けることがたびたびあるので、
今回は僕の彼女について書く。
彼女との出会いは僕の学生時代にさかのぼる。
お互い意識していなかったけれど、
気兼ねせず話していられた。
水と空気みたいな、プレーンな関係。
学校を卒業してしばらく連絡は途絶えていたけれど
社会人になってからばったり再開。
思い出話なんかしてるうちに、いつのまにか意気投合して個人的に会うようになった。
僕はおくてである。自分から積極的にアプローチするのが苦手だ。
彼女は、ことあるごとに、ほどよく、ぼくのきもちを確認しながら、
距離を縮めてくれた。
そのころの僕は、生きる気力をなくしたぬけがらみたいになっていた。
彼女は魅力的で活き活きしていて仕事もできる人なので、
こんなヒモノみたいな僕がまさかおつきあいできるとは思っていなかった。
ひからびたこころの、しわのひとつひとつに、彼女はうるおいをあたえてくれた。
ぼくひとりでは見慣れて印象の残らないなにげない風景にも彼女は意味を与えてくれた。
僕の枯れた根っこが、再び養分を吸えるようになってくるような、そんなきっかけをくれた。
介護学生を卒業してしばらく、そんないろどりのあるつきあいが続いた。
まだ恋人としてとかつきあうとか、考えてはいなかった。
あるとき彼女は言った。
「わたし、遠まわしにじょうずに言ったりできないんだけど。いてるくんは、わたしのことどう思ってるの?」
あ、このひとを、女性として意識していいんだ、という許可をもらったような気がした。
単に女性として魅力的なだけでなく、
あのときに僕が必要な、目に見えない命のもとをすこしずつ、
僕が吸収できるぶんだけ供給してくれた。
そんな恩人だ。
こころに必要なぶんを、必要なだけ。
そのセンスがいまの仕事に活きている。
僕はギター講師のほかにスカイプで話を聞く仕事もしている。
・誰にもいえない秘密を聞く「秘密屋」
・お客さんと直感アンテナを立てて共同リーディングする「気まぐれ屋」
どちらも、彼女がしてくれたように、
無理なく、がんばらず、自然に、流れにまかせてやっている。それがすごく楽しい。
彼女は僕に生きる希望を与えてくれただけでなく、
仕事に役立つセンスも育て続けてくれている。