第二回の感想 | 川瀬有希の独り言

川瀬有希の独り言

田中好子さん、キャンディーズ、岡田有希子さんに捧げるブログ

日曜日にEテレでオンエアされた『響け!ユーフォニアム3』第二回放送の感想を改めて。




福岡からの転校生・黒江真由の登場で物語はここから本格的に動き始める。

彼女は吹奏楽コンクールの全国大会常連・清良女子高に在席していた。

しかも久美子と同じユーフォニアム担当。

超がつくほど強豪校のメンバーだったことから演奏の上手さは言うまでもない。

そんな彼女が持ち合わせている思考が色々と厄介な波紋を引き起こしそうな描写が随所に。

真由は純粋に合奏を楽しみたい、いわゆるエンジョイ派。

北宇治の部員が意思統一している全国金賞を目指すコンクール派とは異なる考えの持ち主・・・でありながら根っからの、仲間に溶け込みたい性分でもあるので争う気なんかさらさら無く、その持ち前の優しさ・穏やかさが問題をややこしくしそうな雰囲気が漂っている。

原作では親の転勤の都合で頻繁に転校を繰り返していることが綴られているが、その点がアニメではカットされているので真由の性格が場合によっては誤解される恐れがあるようにも思われた。

新しい環境に早くそして無理なく溶け込むには極力対立の芽を摘み取ったかたちで接していこうとするもので、度重なる転校でその処世術を自然に身に着けていることは容易に想像されるが、その辺りが完全に省略されているので、まるで空気の読めない発言を口にしているかのような印象をもった視聴者もいたのでは。

性格の良すぎる点が以降どう転ぶか、この先の見所だったりする。

そんな真由に接する奏の態度には、その物腰の柔らかさとは裏腹に一線を引こうとする傾向がありありと見てとれた。

面と向かって色々聞き出すシーンはアニメオリジナルで、それを強調する上でなかなか上手い脚色だな、と(体育館の場面も含め)。

「黒江先輩という呼び方もとても素敵だと思いますけど」

棘のある台詞だ・・・。

奏の抱く警戒心とはまた違う何かを、久美子自身も内含してそうな表情もちらほら挟まれ、今後の苦悩を暗示させる。



アニメオリジナルと言えば、滝先生から提示された自由曲候補3曲の中から選ぶ展開、例のベンチで久美子と麗奈が打ち明け合うシーンはお見事。

久美子曰く「想像してみたの、全国で北宇治が演奏するところ。その一音目は何がいいかって・・・クラリネット」

直後に雨上がりの雲間から陽射しが零れ落ち、〈一年の詩〉第一楽章のイントロが流れ出すあのシーン。

今放送回最大の白眉といっても過言ではない。

こういうファンを唸らせる演出がこの先も頻出することを期待している。




まだずっと先になるが、劇中紹介された課題曲「スケルツァンド」とこの自由曲「一年の詩」2曲が最後のコンクールで演奏されるシーンはどうか12分フルで描いてもらいたい。

一期でそれに近いのはあったが、あれは結構省略されていたし、これまで完全に描き切ったことは一度もない。

今期Eテレで放映されている利点を最大限に活かしてほしい。

民放のようにCMを挟む必要が無く、アイキャッチを省けば可能だ。

個人的な願望だが、シリーズ最終章である以上それが実行出来る最後のチャンスなので是非とも。

絶対観たい!

なお、自由曲候補3曲のさわり部分が既にネットでupされている。

松田彬人さん、全部オリジナルでつくられたのか・・・凄すぎる。


さて自由曲決めを2人で語る場面の直前、お姉ちゃん愛にあふれる釜屋すずめのクレー厶に久美子も難渋。

姉・つばめの説明もあり丸くおさまったが、部長としての苦労が忍ばれる。

責任ある立場はつらい。

こういうことも解決していかねばならないし。

ここだけみるとすずめは厄介な子と捉えがちだが実はなかなか有能で、恐らく次回さらっと久美子に話す件で部の問題点を気付かせてもくれたりする(ネタバレになるので詳しくは書かない)。

キャラの真の性格は最後までみないと判らない。

優子の例もあるし。



ところで、新入部員の会話で香炉峰(の雪)とホイコーローを掛け合わせた冗談、あれってアニメではカットされると予想してたが若干脚色されつつも使われていた。

原作未読だったり古典に精通してない視聴者はぽかんとなったに違いない。

伝わりづらいから完全省略か別のネタに置き換えるかなとも思ってたからちょっと意外。

「そのギャグ、全然面白くない」という葉月の台詞、多くの視聴者の心の声を代弁してたと思う(笑)。

もっともこれが無いと「清少納言だけに少々和んだでしょ」も使えないから結果オーライかな。

これら一連のやりとりをちゃんと理解している美玲が暗に成績優秀なことも判る、さり気なく背景の濃いシーンでもあった。


ということで今回も細かい描写に至るまで完成度の高い放送で十分満足。

麗奈の改めての決意表明に部員一同熱烈に拍手するラストで、ひとりかたちだけのそれをして俯く沙里の表情を見ても分かる通り、恒例のサンフェス前に一悶着ある気配が濃厚。

次の第三回も楽しみです。



おまけとして、前にも取り上げたことがあるが劇中に出てくる清良女子は福岡の精華女子をイメージモデルにしている。

2011年全国大会での同校演奏による「宇宙の音楽」は圧巻。

これが全国金賞のレベル。

こうしてみると出だしソロ担当は相当のプレッシャーだろうなぁ。

「一年の詩」イントロのソロ、誰がクラを奏でるだろう。


指揮している藤重佳久氏は大変有名な方で、現在は京都両洋高校吹奏楽部音楽監督。

そして文化放送で毎週火曜日に30分のレギュラー番組も担当されている。

先週と今週はユーフォ奏者をゲストに迎えユーフォニアムという楽器の魅了について語っておられたので興味のある方はチェックを。