2002年に、ビージーズのバリー・ギブと共作し録音され、
マイケルの死後、2011年にリリースされた
「All In Your Name」
バリー・ギブは、2002年12月20日、
ビルボード誌に、All In Your Name について、
これは、マイケルとともに書いた、
アメリカのイラク攻撃に対する反戦の歌であることを明かしている。
マイケルが、小児癌に侵された少年に援助を行い、
少年と共に映し出されたドキュメンタリー番組、
「Living with Michael jackson」(2003年2月3日)の放映に端を発し、
その家族によって、2度目の児童性的虐待の嫌疑にかけられ、
長い裁判を闘うこととなった、その直前の作品でもある。
非常に、哲学的で、難解な歌詞である上、
正式に歌詞のスクリプトが公開されておらず、
レコーディングも完成版とは言えないものなので、
一部、聞き取れない部分もある。
これを理解し、訳すには、難儀すぎる曲なのだ。
しかし、この曲は、
母国アメリカが、泥沼のイラク戦争へと突き進むことに対して、
また、アメリカに生み出される、イスラムの国々、人々に対するヘイトの感情に、
どのような思いを持っていたのか?
彼が人生の最晩年に、どのような宗教観に至ったのか?
それを知る手がかりとなるとても重要な曲の一つであると思う。
そして、正に、今、わが日本では、
アメリカの戦争に加わろうとする法案が審議されている真最中である。
及ばないながら、
今夜は、心を澄まして
彼らのメッセージに耳を傾けてみたい。
************
マイケルは、おそらく、
多くの哲学や、宗教の書物を読み、
また、その道の識者と直接、議論を交わしただろう。
そこから受けたであろう思想的影響を
詳細に解き明かすことができればいいのかも知れない。
けれども、ここで世の偉大な哲学者や、宗教家が唱えた
難しい議論を、引き合いに出して、語ることは、
まず、私の手には負えそうにない。
ともかく、ここは、マイケルとバリー・ギブが歌う
All In Your Nameという歌の歌詞に沿って、
この歌の主人公が語る物語と、
彼の元に現れたガーディアン・エンジェルのメッセージについて、
考えてみたいと思うが、
ひとつ言えることは、大雑把に言って、
バリー・ギブ(主人公の男)が語る物語は、
西洋的宗教観に基づくものであり、
彼の前に現れる、マイケル(ガーディアン・エンジェル)は、
東洋的宗教観を含んだメッセージで彼に応える、という構造に
なっているということである。
ところが、彼らが歌う歌には、
何の不調和もない。
彼らの共通の願いは、この世界から戦争をなくす事であり、
平和を願う彼ら二人の反戦の歌は、見事に共振している。
これが、イラク戦争に対する反戦歌として、
最も重要な意味をもつポイントであろうと思う。
*****
さて、まず、バリーの歌声による
絶え間ない戦争を嘆き、反戦の声を上げる男。
彼は、ある物語を語るミッションを感じたのである。
彼が語る物語の宗教的素地は、
キリスト教であることには、ちがいない。
彼はこう語る。
聖書のアダムとイブの物語のように、
一人の女と一人の男は、
この世界に生まれ、名を授かる。
We suffer the children
我々は、神に祝福された子供たちである。
suffer the childrenは、
マタイによる福音書の中の一節が引用されている。
ここでの suffer は、「許される 黙認する; 認容する 」という意味になる。
この聖句が下地にあることを押さえて、初めて意味が通じる歌詞となっている。
Matt 19:14
Then were there brought unto him little children, that he should put his hands on them, and pray: and the disciples rebuked them.
But Jesus said, Suffer little children, and forbid them not, to come unto me: for of such is the kingdom of heaven.
そのとき、イエスに手をおいて祈っていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。
するとイエスは言われた、「幼な子らをそのままにしておきなさい。わたしのところに来るのをとめてはならない。天国はこのような者の国である。」
預言者や、神の御子・救世主として受肉したとされるイエスなど
多くの賢人が語った聖書の物語、
そうでなくても、我々は、どんな宗教であろうと、
ともかく、大きな愛の家族、
この世界に繰り広げられる交わりの中に生まれてくる。
我々は、命を祝福されて名前を授けられ、
天国と同じような、大きな愛の家族としてあるこの世界に迎えられたはずだ。
よって、我々は、神が嘆くように嘆き、
神が奪うことなく与えるように与えることができる。
我々は、神と同じようであり得るはずだと
彼は主張するのである。
ところが、彼がそう主張するどの地でも、戦争は止まず、
ますます、情勢は悪化する一方であり、
まるで、天国から地獄に落ちたように戦火が絶えなかった。
彼は愛なる神を信じている。
神は彼を見守り、平和を望む彼の夢を応援していてくれると信じている。
ならば、神のように大胆に、この惨たらしい戦争に抗い、
ノーと言う勇気を持てるはずだ。と。
すると、
平和の天使の声が下るのである。
それは、マイケルのいつにない異常なハイトーンボイスで歌われ、
ある種、人間離れした存在を感じさせる歌声である。
天使は、
その全ては、神のみぞ知るgameの中にあるのだと言う。
「game」とは、いったい何を指しているのだろう?
gameという言葉は、
古英語ではgamen から来ており、
構造的には、「ga-(集合接頭辞」+「mann(人)」となり、
"people together 人の交わり"というような意味がある。
つまり、「game」とは、
この世界に繰り広げられる「網のように広がっている交わり」
「コミュニケーションという現象」と言ってもいいかもしれない。
そして、それを「遊び」と言っても、素敵かもしれない。
非常に興味深いのは、
gameの中にある"people together 人の交わり" からすると、
この言葉が、仏教の「縁起」にとても近い意味をもっていることである。
マイケルは、これを Only God knowsなもの、
gameを「神」と呼んだ。
この計り知れないほど神秘的で素晴らしい
大宇宙の「the game」を、神と名付けたのだ。
この世界は、網のように広がる途方もない交わりそのもの。
何もかもが見事に調和し繋がり合う現象自体が神なのだ。
「the game」とは、神の遊び。その遊び全体が神である。
余談だが、ちなみに、「遊」という漢字の語源は、
白川静先生によると、遊とは、子供が旗を振る子供の姿を表し、
神の遊びを意味していると言う。
人は、神と一緒になって初めて遊ぶことができ、
「遊びは神人合一の世界である。」のだそうだ。
君の名の中に全てがある。
全てとは、神そのものである、
この大宇宙に繰り広げられる交わりそのものだ。
だから、
name of god 神の名と、
your name 君の名は、同じなのだ。
この天使は、
戦火の中で命を落とした子供たちの彷徨える魂かもしれない。
どうか、この戦争を止めて、
僕を天国の門に連れて行ってくれと言う。
バリーの声の男は、
平和の天使に祈る。天国を守ってくれと。
我々は、一つの愛の家族であり、
天国のように平和を築けるはずだと主張するけれども、
恐ろしいことに、戦争を起こす者たちは、
in the name of god 神の名のもとに!神の名を語る。
彼らに、この主張が理解できるのだろうか?
平和の天使は、応える。
僕についておいで。
戦争は、終わる。
この世界の全て、この大宇宙のgame は、神そのもの。
私たちの一人一人の命を祝福された名前、
この宇宙の全てがある。
それに立ち返るんだ。
"神 name of god " = "世界 game" = "君 your name"
そして、= 愛 なのだから。と。
マイケルが歌う、平和の天使のメッセージは、
イスラムの Tawheed タウヒード(萬殊一本、万物あるがまま)
仏教の 一即多、多即一、
沖縄のいちゃりばちょうでー(行き逢えば兄弟)
アメリカ先住民のWakan Tanka ワカン・タンカ (Great Mystery 大いなる神秘)
アフリカのUbuntu ウブントゥ(みんながあっての私)などと、
同じ思想である。
では、All In Your Nameの和訳を。 ※改訂版の和訳です。
All In Your Name
Barry)
Now I got a mission
The story unfolds
What the wise men have told you, is already known
That a woman and a man
Should go by the plan
And we find out how high we can fly
今、僕は ある物語を届けるという
ひとつの使命を得た
賢人たちが君に語ってきたその物語、それはすでに知られている
それは一人の女と一人の男が
(生まれてある名前で呼ばれる)計画に沿って行くだろういう
また、僕らがどれほど高く飛ぶことができるかを見出すという物語である
* go by the plan・・「その計画に沿って行く」とは?
go [pass] by the name of○○
go [be known] by the name of○○ ・・「○○という名前で呼ばれる」
生まれて名前が付けられ、その名で通ること。
There's just one religion
One family of love
We suffer the children
As God cries above
And the giving, not the taking
With hearts open wide
And it looks like we fall
And it burns like a flame
Any ground that I claim
ひとつの愛の家族
ひとつの結びついた束がある
僕らは神に祝福を許された子供たちだ
天上で泣き
そして 大きく開いた心で
奪うことのなく与える神と同じように
けれども、その愛の家族は、僕らが天国から落ちるかのようであり
その束は、まるで火のように燃えている
僕がそう主張するどの地でも
So what is my life
If I don't believe
There is someone to watch me
Follow my dreams
Take all my chances, like those who dare
And what of our world
What does it become
When *the damage is done
And you held out, you said no, you stand up
もし、僕を見守る誰かがいてくれ
僕の夢を理解してくれることを
僕が信じないならば 僕の人生は何だというのか
大胆なる神々のように
自分のチャンスの全てをつかむのだ
でなければ、僕らの世界はどうなるのか?
それはどうなるのか?
取り返しがつかなくなって初めて
君は抵抗し、ノーと言った 立ち上がるのだ!
*the damage is done=もう手遅れだ
(Michael)
Only God knows
That it's all in the game
It's all in your name
Carry me to the gates of paradise
They're the same
It's all in your name
神のみぞ知る
私たちの交わりの全てが神の神秘なのだ
君の名の中に全てがある
僕を連れて行っておくれ
楽園の門へ
神の御名と君の名は同じなのだ
君の名の中に全てがある
(Barry)
Look to Heaven
An angel of peace
To love and protect us
Through all of our tears
And the gateway to peace
It stands open wide
And it looks like we fall
And it burns like a flame
Any ground that I claim
天国を見守れ
平和の天使よ
僕らを愛し守る為
僕らの涙の全てをくぐり抜け
そして 平和への門戸は大きく開いている
けれども、その愛の家族は、僕らが天国から落ちるかのようであり
その束は、まるで火のように燃えている
僕がそう主張するどの地でも
So what is my life
If I don't believe
There is someone to watch me
Follow my dreams
Take all my chances, like those who dare
And where is the peace
We're searching for
Under the shadows of war
Can we hold out, and stand up, and say no
もし、僕を見守る誰かがいてくれ
僕の夢を理解してくれることを
僕が信じないならば 僕の人生は何だというのか
大胆なる神々のように
自分のチャンスの全てをつかむのだ
でなければ、僕らが戦争の影の下で手を伸ばしている平和は
いったいどこにあるというのか?
僕らは抵抗できたか? 立ち上がれ!そしてノーというのだ!
(Michael)
Only God knows
That it's all in the game
It's all in your name
Follow me to the gates of paradise
They're the same
It's all in your name
神のみぞ知る
私たちの交わりの全てが神の神秘なのだ*
君の名の中に全てがある
僕を連れて行っておくれ
楽園の門へ
神の御名と君の名は同じなのだ
君の名の中に全てがある
*That= Only God knows(神の神秘)
game= "people together 人の交わり" ≒縁起
(Barry)
???
Love you, and understand you
???
will they all know (?)
君を愛せ、そして君を理解せよ
彼らは皆、解るだろうか
*ex.You all know that =everybody knows that.の意味なので、
will they all know (?)は、彼らは皆、解るだろうか?となる。
(Michael)
It's over
もう終わりだよ
(Barry)
Then we'll all know(?)
その時、私たち皆は、わかるだろう(か?)
(Michael)
It's over
もう終りだよ
(Michael)
see? that it's done(?)
見てごらん、それは終わったんだ
(Barry)
And it's all in your name
そして、全ては君の中にある
(Michael)
It's all in the game
It's all in your name
Follow me through the gates of paradise
They're the same {yeah yeah, yeah yeah}
私たちの交わりの全てが神の神秘なのだ
君の名の中に全てがある
僕についておいで
楽園の門をくぐり抜けて
神の名と君の名は同じなのだ(そうさ、そうさ、そうさ、そうさ)
It's all in the game
It's all in your name
Follow me through the gates of paradise
They're the same
They're the same {yeah yeah}
私たちの交わりの全てが神の神秘なのだ
君の名の中に全てがある
僕についておいで
楽園の門をくぐり抜けて
みな同じなのだ
神と君は同じなのだ(そうさ、そうさ)
It's all in the game
It's all in your name
Follow me through the gates of paradise
They're the same
私たちの交わりの全てが神の神秘なのだ
君の名の中に全てがある
僕についておいで
楽園の門をくぐり抜けて
みな同じなのだ
...It's all in your name
君の名の中に全てがある