宮崎駿のOn Your Mark~核とカルト | ☆Dancing the Dream ☆

☆Dancing the Dream ☆

Let us celebrate
The Joy of life ♡
with ☆Michael Jackson☆

On Your Mark』は、
CHAGE and ASKAが発表した曲のPVのひとつとして作成された
宮崎駿のアニメ作品。
1995年7月、映画『耳をすませば』と同時上映で公開された。

《Story》
地表が放射能で汚染され、病気が蔓延し、人類が地下に住むようになった世紀末後の未来の都市が舞台。
あるカルト教団「聖NOVA'S」の施設を襲撃、制圧した武装警官隊。その中の警官2人は、教団施設の奥で翼の生えた少女を発見する。
2人は彼女を救助するも、研究資料として今度は政府機関の施設に連れ去られてしまった。2人は彼女を空へ帰そうと奮闘を始める。----


1985年頃から、オウム真理教の活動が徐々にマスコミに取り上げられ、89年には、
サンデー毎日が先駆けて「オウム真理教の狂気」という批判記事を書いた。
1986年、チェルノブイリ原発事故が発生。
ハルマゲドン、イニシエーション、ポア、解脱などのオウムのカルト的終末思想&救済思想を表す言葉が流布した。
宮崎駿がOn Your Markの絵コンテを描いたのは、オウム真理教地下鉄サリン事件発生(95年3月)の2ヶ月程前のこと。




月刊アニメージュ1995年9月号インタビュー

――「警官」と「天使」なんて、まるで押井守さんの作品のようですね。

宮崎:
押井さんが天使が生まれるの、生まれないのとか、もったいぶってやっているから、さっさと出しちゃった(笑)。
といっても、天使だとは言っていないし、鳥の人かもしれない。それはどうでもいいんです。

――6分40秒の中に、映画1本分の内容が詰っていると感じました。

宮崎:
暗号のようなものは、いっぱい入れてあるけれども。音楽映画だから、見た人の感じたように受け取ってもらってかまわないんです。

――冒頭の、のどかな田園風景の中に建つ奇怪な建物は何ですか。

宮崎:
どう解釈してもらってもかまいませんが。その直後に出てくる放射能注意のマークのついたトラックを見て、何となくわかってもらえればいいと思うんです。地上には放射能があふれていて、もう人間が住めなくなっている。でも緑はあふれていて、ちょうどチェルノブイリの周囲がそうだったようにね。自然のサンクチュアリ(聖地)と、化している。で、人間は地下に都市を作って住んでいる。実際はそんな風には住めなくて、地上で病気になりながら住むことになると思いますが。

――このアニメは「On Your Mark」の音楽映画作品として作られていますね。

宮崎:
「位置について」という意味のタイトルだけれど、その内容をわざと曲解して作っています。いわゆる世紀末の後の話。放射能があふれ、病気が蔓延した世界。実際、そういう時代が来るんじゃないかと、僕は思っていますが。そこで生きるとはどう言うことかを考えながら、作りました。
きっとそういう時代は、ものすごくアナーキーになっていく一方で、体制批判というようなことについて、ものすごく保守化しているんじゃないか。それはまだ失うものがあると思っているから。何にもなくなると、ただのアナーキーになっていって 、のたれ死にが始まるんです。そういうものを紛らわしてくれるのは、「ドラッグ」や「プロスポーツ」や「宗教」でしょう? それが蔓延していく。そういう時代に、言いたいことを体制から隠すために、隠語にして表現した曲と考えてみた。ちょっと悪意に満ちた映画なんです(笑)。

――例えば「いつも走り出せば、流行の風邪にやられた」という歌詞の、「流行の風邪」というのは、放射能や病気に覆われた世界のことでしょうか?

宮崎:
(肯定も否定もせず)地球全体の歴史から見れば、人間の問題なんて流行の風邪みたいなものですからね。

――……二人の警官が救い出す天使は、混沌とした世界の一筋の希望のようにも見えます。「僕らがそれでも止めないのは……」という歌詞の通り、天使を救出するシーンが何度も繰り返されていますが。何度かの失敗の後、混沌とした世界から、一筋の救いのように彼女は青空に飛び立つ。でも、警官たちは地上に取り残されて……。

宮崎:
彼女が救世主だったり、救出を通して彼女と心の交流があったというわけではないんです。ただ、状況に全面降伏しないで、自分の希望、ここだけは誰にも触らせないぞというものを持っているとしたら、それを手放さなければならないのなら、誰の手にも届かないところに放してしまおうという。そういうことですよ。放した瞬間に、心の交流がちらっとあったかもしれないけれども。それでいい、それだけでいいんです。……きっとまた彼らは警官の仕事に戻るんです。戻れるかどうか知らないけれど(笑)。

――戻る世界は、また「流行の風邪」の世界。

宮崎:
結局、いつもそこから始まるしかない。メチャクチャな時代にも、いいことや、ドキドキすることはちゃんとある。ナウシカの「我々は血を吐きながら、繰り返し繰り返し、その朝を越えて飛ぶ鳥だ」です。


============

《↑太字・補足》

ドラッグ・・倒れた天使の傍にColaの空き缶やペットボトルがある。
        コカ・コーラの名称の由来は、コカ(コカイン)の葉。
プロスポーツ・・タイトルのOn Your Mark自体、国際陸上競技で使われる用語。
宗教・・「聖NOVAS=(ラテン語で新しいの意)」という宗教施設。
       god is watching youとある。

宮崎監督が最後に言ったナウシカの台詞は、
先日書いた記事の中↓の「墓の主」とナウシカの対決シーンに登場する。
http://ameblo.jp/et-eo/entry-11261282306.html

ナウシカ
「その朝が来るなら私達はその朝にむかっていきよう。
 私達は血を吐きつつ、繰り返し繰り返しその朝を越えてとぶ鳥だ!
 変わっていくだろう。腐海も共に生きるだろう。
 だがお前は変われない。予定があるだけだ。死を否定しているから・・。
 真実を語れ!私たちはお前を必要としない!」



=============



  お読みいただきまして 誠にありがとうございましたおじぎ