山岳ガイド 佐藤勇介の山日記 -4ページ目

利根川本谷 源流

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山岳ガイド 佐藤勇介の山日記 『利根川本谷 源流』


安眠から覚めていざ出発。

今日は源流を経て大水上山へ。そして十字峡へと下山する。

大利根滝。写真では小さく見えるが20mの落差がある。
右側の壁を登る。外傾しているが容易。

深山滝20m。これも右からⅢ級程度だがノーピン。
利根川本谷は全般的に岩が固く快適。

渇水期のため雪渓はまったくなく。今回はここが水源。
一滴一滴したたりおちていた。

ここで下山用の水を補給。

本来の水源の三角雪田(跡)。

雪は消えてお花畑になっていた。稜線は間近。

歩いてきた道のりを振り返る。

右に大きく曲がっていくのが本谷。背後に平ヶ岳が大きい。

最後は軽く藪を漕いで、縦走路を十分ほど歩き大水上山の山頂へ。
山頂からは越後三山、巻機山など越後の名峰がズラリ。

天候に恵まれ、水量は少なく、雪渓もほとんどなかったため、実質1泊2日の行程であった。

全滝直登。オール水線通しに行くことができ充実の遡行となりました。

でも困難な方が達成感が大きかったりするので、少し拍子抜けもありましたが…。

大水上山からは丹後山へ縦走した後、十字峡へと下る。

コースタイムは4時間ほどだが実際は2時間ほどで林道まで下れる。

林道へ下ると…。

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利根川本谷 遡行

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「もうか」という言葉を知っているだろうか?

「猛火」ではない。

「猛蚊」と書く。


左足に20匹。右足に20匹。左手に10匹。右手に10匹。背中に30匹。頭に30匹。

常時まとわりついてくる。

夕方から明け方までずっと…。

焚き火のすぐそばでも…。

払っても逃げずに死んでいく…。
でもすぐ次の新手がやってくる。

寝袋の中にも奴らはやってくる。

寝ることは許してくれない。

頭からすっぽり寝袋をかぶり、
口元だけ出してそこを網でカバーしてもわずかな隙間をついて侵入してくる。

耳元では常に「プ~ン」という甲高い音を立てている。夜通しだ。

我々にできるのは一刻も早くそこを立ち去ることだけであった。

これは水長沢出合においての一夜のことであった。

予定よりも1時間30ほど早く行動することになり出発する。

今日は昨日の夕方よりも目に見えて水量が減っているようだ。
「シッケイガマワシ」も太もも程度の深さで、水の中を歩いて行くことができる。
巻淵も泳ぐ必要はなかった。

井戸沢出合。
多くの岩が吐き出されたようだ。

剣ヶ倉土合のゴルジュも基本的にすべて水線にそって歩いて行ける。

有名な「ヒトマタギ」。

大河である利根川を文字通り一跨ぎできるところである。

ここまで来たものにしかできない偉業。

しばらく行くと崩壊した雪渓があらわれたが道をふさぐほどではない。

本谷の核心部「オイックイ」のスノーブリッジは崩壊しており
困難はなく乗り越えることができた!

時期が時期なら数百メートルもあるスノーブリッジの下をくぐったり、
越えたりしなければならない所である。

ゴルジュに引っかかった流木。
どれほどまでに増水したのか想像するだけで恐ろしい。

水流が宙を飛ぶ「ヒョングリの滝」。

だんだん滝もでてきた。

シャワークライミングも水量が少ないので余裕の突破!!

といってもそこそこ水圧はある。

この日は裏越後沢出合にて泊まる予定であったが、
順調に進み過ぎて2日分歩き佐市平にて幕を張る。

泳ぎを交えて通過するはずの淵は埋まり歩きやすくなっていた。

困難な雪渓もなく順調に進んだ。

この夜は数匹の蚊が時折、来るだけで余裕の爆睡であった…。

これ以上の幸せがあろうか?

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利根川本谷 出発

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「坂東太郎」の名で知られる利根川は流路延長322㎞、
流域面積は日本最大の1万6840k㎡(四国の面積の80%)を誇る
日本屈指の大河川である。


現在、国内のほとんど全ての河川において
その源流域にまで林道は伸び開発され尽くしている。

富士川、荒川、千曲川の水源である甲武信ヶ岳などは山深く林道が食い込み、
すぐ近くの雁坂峠には雁坂トンネルが貫き自動車が列をなしている。

ふもとの西沢渓谷は多くのハイカーで混みあって
シーズンには大渋滞を引き起こしている。

かつては秘境といわれた黒部川にいたっては黒四ダムの建設に伴い
ハイヒールの観光客が押し寄せている始末である。

北海道の日高あたりを除いては、
国内に秘境とされる場所は数少なくなっているのが現状である。


利根川の水源は越後三山の中の岳と
巻機山を結ぶ稜線上にある大水上山とされている。

それが明らかになったのは
1954年(昭和29年)の群馬県の奥利根水源調査隊が行った遡行調査以来であり、
ごく最近のことであるともいえる。

利根川源流域は群馬県により環境保全地域に指定され、
開発が禁止になったことに加え、
皮肉であるが矢木沢ダムの完成により下界から隔離されたことにより、
原始のままの自然を今もなお保っているのである。


我々はその利根川源流を調査するために、この度水源まで遡ったのである。


日程は3泊4日。

一日目は東京から矢木沢ダムまで行きボートで湖を渡り水長沢出合でビバーク。
二日目は裏越後沢出合まで。
三日目は佐市平まで。
四日目に稜線を越えて丹後山より三国川ダムへ下山。

こんなプランであった。


矢木沢ダムはボートで渡る。

かつてあった湖岸道はヤブに覆われ荒れ果てて歩けば10時間のヤブ漕ぎ…。


送っていただいた奥利根マリンの高柳さん。
この辺りを知り尽くす強者である。


ボートはどんどん進んでいく…。
今年は台風12号の影響で小穂口沢出合までしか入れない。


流木で埋まったバックウォーター。

上陸すると泥沼地獄で膝まで潜る!

これ全部流れてきたの?


安全な水長沢出合でビバーク。

これより先に増水に耐えるテン場はないらしい。

快適な夜を迎えるはずが…。


(続く…。)

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