チーム・ポリシーウォッチ(野村修也のブログ寺子屋)

http://shuya-nomura.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-8e89.html


私も朝刊各誌をみましたが、なかなか厳しい評価が続いています。


しかし、世の中に山積する問題は、あっちを立てればこっちが立たずの関係(環境と経済成長、格差是正と成長戦略)にあることが多く、さまざまな利害関係をもった全ての団体から高得点を得られるのは、難しいと言うべきでしょう。その意味では、やむをえないところはあるのかな、という気もしています。


自民党も民主党も、マニフェストの策定にあたって、全国知事会など評価する団体の目が気になると思いますが、全ての利害をふまえた団体ではありません。たとえば、全国知事会が示す地方分権が、国民一人一人を豊かにするかはまったく検証されていません。知事会の案が正しいか否かは、今後検証されるべき問題で、人気取りのために安易に乗っかるのはむしろ批判的に考えるべきでしょう。


当たり前ですが、やはり政治は国民のためのものです。一部の人たちだけのものでは決してありません。選挙にあたっては、国民一人一人が、自身の立場から、投票行動(棄権も含む)をすべきだと考えます。

滝井繁男『最高裁判所は変わったか―― 一裁判官の自己検証 ――』
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/1/0230270.html

 

2006年まで最高裁裁判官を滝井弁護士による一冊。あまり踏み込んだ記述はないかと思っていましたが、割と踏み込んだ指摘があり、興味深い一冊でした。

 

最高裁への上訴数が処理能力の限界であることを認めつつ、市民の裁判を受ける権利の関係から上訴制限を強化することにも疑問をもたれ、最高裁の役割についての「悩み」を正面から認めておられたのが印象的でした。

 

また、現在では、最高裁が弁論を開くと原判決が見直されるという「慣行」の結果、当事者がどうせ原判決が見直されるという思いから、口頭弁論に力が入らないことのジレンマも指摘されています(同書26頁)。

 

さらに、最高裁調査官解説に関して、以下の記述が印象深かったです(同書340-341頁)。
判例解説の功罪
滝井 私は、判例解説というものが果たしている役割が非常に強くて、それがちょっと枠をはめ過ぎるというような側面をもつものもあるのではないかということに若干の危惧を抱いているんです。
清水 そうですね。私も最高裁判例を読むときは、併せて判例解説も読むんですが、あそこでは、当該判例の射程距離に言及している場合が結構あって、ああいうように射程距離に言及されると、現職の裁判官はやはり萎縮してしまうかもしれない。
滝井 まさに、平成二年一一月の貸金業法の判決の判例解説はそういう面もあったのではないかと思っています。
清水 なるほど。判例解説はあくまで調査官のいわば個人的見解ということだから、ほんとうはそんな気にすることはないのかもしれませんが、今や、判例を読む場合のバイブルみたいになってしまっていますから、我々弁護士も、判例の射程距離を考えるときに、ついあれに引っ張られてしまうということがあります。しかし、考えようによっては、もう少し緩やかに読むという工夫も必要なのかもしれませんね。
水野 今、最高裁の判決自体が、何もそこまで言っているわけではないのに、最高裁の調査官が、これはこういう趣旨だろうとか、いろいろなことを言って、限定的な解釈をして枠をはめるという面があると言われたけれど、調査官が最高裁の判決に枠をはめるようなことを書くのが許されていいのかという気もしますけれど。
清水 結局、読むほうが重視し過ぎてしまっているだけなのかもしれませんけれどもね。滝井 あれは、調査官の個人の考えだと書いてあるのです。以前は、調査官室という表示があったのを何年か前からはずしてしまいましたね。
水野 判決が出れば、みんなが自由に解釈して、いろいろなことを言っていいんだけれども、調査官の判例解説だけは別格だというような風潮というのもね。
滝井 それと、私はもう一つ、このごろの学者の判例批評が膨大になった判例解説に比べて、以前ほど重厚で読みごたえのあるものが少なくなっているんじゃないかという気もするんですよね。
水野 学者にはもっと発奮してもらわないと。
清水 ただ、昔はまだ判例の集積もなかったですからね。判例評釈に求められる役割が、判例はこうだがわが説はこうであるというようなものでも済んでいたかも知れませんが、これだけ判例が集積してくると、判例理論を分析したうえでの議論になってくるので、つい、自説の前の判例理論の分析の作業が重くなってしまうんでしょうね。
滝井 何といったって、最高裁の調査官室には膨大な蓄積があって、それに基づいて仕事をしているわけですよね。だから、これを前にしたら、そう簡単な判例批評はできないという、そういうムードが、もし学者のなかにあるとすれば、非常に問題じゃないかと思います」

※ここで「水野」とあがっているのは、水野武夫弁護士、「清水」は清水正憲弁護士です。

ジュリスト1381号
http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/017931


[法科大学院の実務訴訟教育と裁判修習]
◇法科大学院における民事・刑事訴訟実務の基礎の教育の在り方について●林 道晴……158
◇民事裁判修習の現状等について●田村幸一……170
◇刑事裁判修習の現状等について●河合健司……176


法科大学院における実務教育、司法修習のあり方について、司法研修所関係者による論説が掲載されています。


全体的な感想として、司法研修所の方針は、法科大学院、新司法試験、法曹大増員、法曹有資格者の進路の多様化の時代に即した修習にシフトしようとしている印象を受けます。あえて造語が許されるのであれば、「核心司法」ならぬ「核心修習」と言うべきでしょうか。もちろん、これは司法研修所が考えている方針に過ぎませんので、全国の現場レベルで浸透しているかは未知数ではあります。


以下は各論(私が気になったところのみピックアップ)。


法科大学院では、従来の司法修習に言う前記修習レベルは求められて「いない」ことが指摘されています。

 

林・前掲158頁。
「法律実務基礎科目については、従来型の司法修習で実務修習の導入教育としての機能を果たしていた司法研修所の前期修習に代替する教育、その肩代わりとなる教育が行われるべきであるとの議論がある。しかし、法科大学院教育がなかった時代に存在した従来型の司法修習の前期修習が、新法曹養成プロセスにおいても依然として必要であるという議論の前提自体が、同プロセスに合っていない」

 

また、集合修習の場面で、事実認定のみならず、法的理解を問う方針も示されています。

 

河合・前掲181頁。
「修習生が、法科大学院で修得した刑事実体法、刑事手続法に関する基礎知識について、実務的な観点から、その法的根拠や必要性、法的な意味合いを理解させる目的で、起案において、実体法、手続法について法的理解を問う問題を、これまでよりの重視する方向に転換を計った」


これまでの司法研修所が理論を全く無視していたとは考えられませんが、「転換を計った」と書かれている以上、法的理解(法理論の理解)にウエイトを置いた指導へシフトしているのでしょう。率直に言えば、起案等における採点で、法理論を理解しているか否かについての配点を高めている、と考えられます。


※ここからは私の考えに過ぎませんが、「法的理解」と言っても、それは法制度の基本的仕組み、基本概念、条文上の要件・効果、判例の一般的理解などのことを指していると思います。理論=細かい学説の理解というイメージがあるかもしれませんが、それは司法研修所が求めている「法的理解」の中身には入っていないように思います。

平和宣言(広島市ホームページ)

http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1110537278566/index.html


その中で、久保先生のblogから。


広島原爆忌(Dai-Kubo Diary)

http://daikubo.tea-nifty.com/daikubo_diary/2009/08/post-2906.html


「いま、日本は核武装すべきだという声を聞くようになったけれども、被害の大きさ・凄惨さから見て明らかに核兵器は非人道的な兵器であり、減らすことはあれ、増やすことがあってはならないと思う。隣国が持つのならば自分も、というのは、対立をますます激化させるだけだ。一方で北朝鮮の核実験を非難しておきながら、他方で核武装を主張するのは、罪を咎めつつ裏でその罪を犯すのと同じであって、その罪は甚だしい」

全く同感です。


人事院のホームページより。
募集期間が合格発表後、間もないので注意が必要です。

 

経験者採用システムによる選考試験の実施(Ⅰ種試験相当)
- 新司法試験合格者及び社会人経験者対象 -
http://www.jinji.go.jp/kisya/0907/keikensha0907.htm

 

合同説明会も開催されます。
http://www.jinji.go.jp/kisya/0907/keikensha0907-2.pdf


合同説明会の詳細は以下。
(これは東北大学のホームページから)
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/graduate/090804-jinji-setsumei.pdf


読了しました。


野村修也『年金被害者を救え』(岩波書店)

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/0/0243020.html


年金記録問題について、政府側の調査委員等を務めている野村先生による一冊。

年金記録問題について要点をまとめ、野村先生の考える解決への道筋を示しています。

年金問題はほとんどの国民に関係することですから、多くの方に一読をすすめたい本だと思いました。

(野村先生は、商法学者であり、弁護士でもありますが、法律の素養がなくても読める本になっていると思います)


野村先生が示している年金記録の被害者を救済する方策については、ほぼ共感しました。

その方策については、今後の選挙の結果による政権交代の有無に関わらず、一日も早く実現してほしいものだと思いました。


ただ、この問題を考えるに当たっては、被害者救済だけでなく、原因究明と再発防止策も必要だと思います。私が読んだ限りでは、行政内部に設置された各種の調査委員会は、捜査機関のように強制力がないにも関わらず、年金記録問題の原因をかなり突き止めたように思います。野村先生をはじめ、各種調査委員会等の方々には敬意を表したいと思います。


同時に、このような問題が、二度と起きてはならないと考えます。そのためには、徹底した原因究明に基づく、再発防止策の策定と、その再発防止策の行政現場レベルでの実施が求められると考えます。年金被害者の救済と同時に、こちらの視点も忘れずに持っていかなければならない、と改めて痛感しました。

今日8月3日のクローズアップ現代。

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2009-08-03&ch=21&eid=7977


引用はじめ。


チャンネル :総合/デジタル総合
放送日 :2009年 8月 3日(月)
放送時間 :午後7:30~午後7:58(28分)
ジャンル :ニュース/報道>特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養>社会・時事

弁護士…葉玉 匡美, 【キャスター】国谷 裕子


引用終わり。


葉玉先生がゲスト出演ですね。


なお、ご本人も告知されています。


クローズアップ現代に出演します(会社法であそぼ)
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-e15b.html


最高裁事務総局については、ベールに包まれていたので、(刊行されたら)是非とも読んでみたい一冊です。


新藤宗幸『司法官僚  裁判所の権力者たち』

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/0/4312000.html


2009年8月20日発売予定。