今年の私法学会シンポジウム(商事法セクション)資料。

実証研究がシンポジウムのテーマになるのはきわめて興味深いです。


旬刊「商事法務」8月25号(No.1874)

http://www.shojihomu.or.jp/shojihomu/shojihomu090825.html


■日本私法学会シンポジウム資料■
 コーポーレート・ガバナンスと実証分析
  ――会社法への示唆――

  Ⅰ シンポジウムの目的
    □山下  友信 東京大学教授

  Ⅱ 総論――会社法学における実証研究の意義
    □田中   亘 東京大学准教授

  Ⅲ 取締役会構成変化の決定要因と企業パフォーマンスへの影響
    □内田  交謹 九州大学准教授

  Ⅳ 日本におけるエクイティ・ファイナンスの実情
   ――増資決議時の株式市場の反応とMSCB発行動機に関する実証分析――
    □広瀬  純夫 信州大学准教授
    □大木  良子 東京大学大学院博士課程

  Ⅴ TOB(公開買付け)と少数株主利益
    □井上光太郎 慶應義塾大学准教授

  Ⅵ 買収防衛策イン・ザ・シャドー・オブ株式持合い
    □胥    鵬 法政大学教授


今年の私法学会民法部門のシンポジウムのテーマです。


ジュリスト1384号

http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/017933


【特集】家族法改正――婚姻・親子法を中心に
◇検討の経緯――「民法改正委員会家族法作業部会」について●中田 裕康……4
◇婚姻法・離婚法●大村 敦志……6
◇実子法●窪田 充見……22
◇養子法●床谷 文雄……41
◇親権法●水野 紀子……58
◇婚姻外カップルの関係●山下 純司……75
◇親子の養育関係●久保野 恵美子……87

この記事が事実であれば、債権法改正へ一歩前に進むことになります。


債権法、初の全面改正へ 明治制定、時代に合わず(asahi-com。朝日新聞)

http://www.asahi.com/national/update/0823/TKY200908220265.html


法制審議会の専門部会に入るメンバーが注目されます。

また、会社法の立案作業での経験からは、「立法担当官(立案担当者)」に誰がなるかも、最初のうちから注目しておく必要も出てくるかも知れません。会社法と同じように、解釈に大きな影響力をもちうる可能性があります。

別冊NBL No.127
シンポジウム「債権法改正の基本方針」
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/7099.html


なお、基本方針の提案をさらに詳細に解説したものが7月あたりに出ると聞きましたが、まだのようです。


山野目先生による不動産登記法の体系書も出ます。


山野目章夫『不動産登記法』
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1672.html


研究者の手による不動産登記法の体系書は久々のように思います。幾代先生以来 かもしれません。


足利事件で犯人にされた菅谷さんの手記が刊行。


菅家利和『冤罪』
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=10681


なお、出版記念トークショーが、三省堂書店神保町本店開かれます。


8月28日: 朝日新聞出版刊『冤罪 ある日、私は犯人にされた』刊行記念 菅家利和さんトークショー ゲスト:弁護士 佐藤博史先生(三省堂書店公式ブログ)
http://www.books-sanseido.co.jp/blog/jinbocho/2009/08/828.html

独占密着! 検察vs弁護士
裁判員裁判の舞台裏(リアルタイム特集・第2日本テレビ)
http://www.dai2ntv.jp/news/mesen/index.html


さいたま地裁の事件について、検察、弁護側の双方の準備段階にクローズアップするものです。

みた感想ですが、裁判員裁判にあたって、検事正(地検のトップ)がプレゼン予行練習に立ち会うなど、検察の「組織力」を見せつけられました。

なお、配信期限は2009年9月18日21:00まで


中山竜一『ヒューマニティーズ法学』(岩波書店)

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/5/0283230.html


次の部分が示唆的でした(103頁以下)。


「筆者はもう一度学生として勉強したいと思い、イギリスの法学修士(L.L.M)のコースに入り直したことがある。主に勉強したのは、専門の法哲学や法思想史といった科目であったが、その当時書きたいと思っていた論文のテーマとの関連で『損害賠償と法』という授業にも出席した。その一回目の授業で、アメリカの学部出身だという一人の学生が、担当の教授に対して『この授業では「法と経済学」を取り上げないのか』と質問し、続けて『法と経済学』の重要性について延々に語り始めた。演説が終わると、教授はおおよそ次のように回答した。『自分もアメリカのロースクールで教育を受けたので、「法と経済学」は興味を持って勉強したことがある。しかし、今ではそれほど重要とは思わなくなった。法について考えるということは、やはり判例を一つひとつ丹念に読み、それらのうちの同じ部分、違う部分、そのなかに含まれる法理、その例外等々について一歩一歩確かめていくことだ。「法と経済学が、損害賠償にかかわる実際的な問題の解決に何らかの指針をあたえてくれるようなことは、まずないと思っていい。法はそんなものではないからだ。どんなものであれ、いわゆる大きな理論には常に慎重になった方がいい」』

(中略)

 さて、このとりとめのない記憶の断片から何を言いたかったのかといえば、これからも法学はそれほど変わらないということ、とりわけ、これまでに誰もが夢想だにしなかったような革新的なグランド・セオリーがある日突然出現し、法学の世界全体を根底から変えてしまうなどといったことなどは、多分ありそうにないということだ。(後略)」