霊能者なおこの事件ファイル9
〜引っ張る手④〜
途中下車した駅で
引っ張る手の感覚を思い出し
不安な予感に包まれていた時
また電話が鳴りました
電話を取ると
予想外の明るい声で
彼が言いました
「あのさぁ、遊園地行かへん？」
「は？遊園地？」
「まだ少し待たせるけど
遊びながら待ってもらえるし
浴衣は着れんけど、楽しいやろ？」
まるで
俺、いいこと思いついたやろ？
というテンションです
えー！
結局、浴衣もお祭りも
キャンセル？
と、不満に思ったものの
今の状況を考えると
私にも、それ以上のアイデアが
あるわけでもなく
「みさき公園で降りて、
先行っといて！」
という彼の提案に
「分かった」とテンション低く
返事をしました
恵子は、隣で電話を聞いていて
なんとなく予定変更を
感じ取った様子でしたが
遊園地に行くと伝えると
パッと顔が明るくなり
「みさき公園行くの？」
「遊園地って久しぶり！」
と、私とは逆に
嬉しそうにはしゃぐので
私も時間を気にして
予定通りお祭りに行くより
これで良かったのかなと
思い直して
次に来た電車に乗り込みました
私と恵子は
浴衣の入った紙袋を
コインロッカーに入れて
チケットを買いました
ロッカーの鍵をかける時
「せっかく浴衣持って来たのにな」
と、また暗くなりかけましたが
入場して
遊園地の空気に触れてしまえば
不思議と楽しくなってくるもので
次に彼から連絡が入る頃には
私も恵子と同じくらい
この予定変更を楽しんでいました
彼と森君が到着して
やっと合流すると
みんながまるで示し合わせたように
「お腹空いたねー！」
と言いました
それもそのはず
今日はもともと
お祭りに行くはずだったので
お祭りの会場で
色々買って食べよう！と
お昼ご飯も軽めで
済ませて来ていたのです
腹ペコの私達は
まず何か食べようと
お店に入りました
気になる森君と恵子の
第一印象は・・・
と、2人の表情を
それとなくうかがいますが
まだよく分かりません
食事を済ませた私達は、
何か乗り物に乗ろう！と
いうことになりましたが
食べたばかりで
激しく揺れる乗り物は
気分が悪くなりそうです
まずは
観覧車に乗ることにして
彼と私、森君と恵子の
2対2に分かれ
別々のゴンドラに乗り込みました
続く・・・
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