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待ち合わせ場所について

まわりを見回してみると

 

 

恵子はまだ着いていない

みたいでした

 

 

 

 

恵子とは高校の同級生で

一緒に映画を観に行ったり

ショッピングに行ったり

する友達でしたが

 

 

 

私に彼氏が出来てからは

その回数が少し減っていました

 

 

 

電話で待ち合わせ場所を決めた時に

「わぁ。男の子に会うなんて久しぶり。

何着ていこう?」

と、弾んだ声で話していた恵子

 

 

 

 

私も嬉しくなり、この日を

楽しみに待っていたのです

 

 

 

 

 

 

 

10分ほど経った頃

恵子が花柄のスカートで現れました

私と同じように、

浴衣の入った紙袋を抱えています

 

 

 

いつも男っぽい格好の私とは違って

恵子は、お嬢様風というか可愛い感じで

よく対照的だと言われていましたが

 

 

 

この日は、何時も以上に可愛く

「気合い入れてきたねぇ~!」

と、私は彼女をからかいました

 

 

 

恵子は恥ずかしそうに笑いながら

少し困った顔になり

「今日、早く帰らなあかんくなってん。」

と言いました

 

 

 

 

なんで?と聞くと、

予定を伝えていたはずなのに

お母さんがそれを忘れて、夜勤の仕事を

入れてしまったので、弟たちの夕食の用意を

しなければいけなくなったそうでした

 

 

 

 

彼女の家は

お父さんが長期の単身赴任中です

 

 

 

夜勤もある看護師のお母さんを手伝って、
普段から家事をしているのは聞いていました

 

 

 

「いつも偉いなぁ。恵子は。」

と、返事をして

 

 

 

「今日は時間までいっぱい遊ぼう!」

と声をかけると、

恵子もニッコリ笑ってくれました

 

 

 

 

今日は、たくさん話そうね!と言いながら

2人で、南海電車の切符を買い

改札を通ろうとした時

 

 

 

 

 

 

彼から電話がかかって来ました

 

 

 

 

「今どこ?ちょっとトラブルで

約束の時間に遅れそう!」

 

 

 

 

8人乗りのワンボックスカーを

持っている森くんの車で

駅まで迎えに来てもらい、先輩の家に

行くことになっていましたが

 

 

 

ガソリンスタンドに寄ったところ、

そこでパンクが見つかったらしいのです

 

 

 

しかも、森くん

タイヤ代を持ち合わせていなかったらしく

 

 

 

彼氏が自分のお金を持って

これからガソリンスタンドまで行くと。

 

 

 

「ごめん、また電話するから。

ゆっくり来て!」

 

 


私は電話を切ると、恵子に相談しました

 

 

 

待ち合わせの駅までは

私達のいる、南海なんば駅から

1時間ほどかかります

 

 

 

恵子は

「どこで待っても一緒だよ。

電車乗っちゃおう!」

と明るく言い、私もそれに賛成しました

 

 

 

 

 

私達は

これから行く、お祭りや浴衣に

心躍らせながら、改札を抜け

ホームに向かいました

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど電車が来て

乗り込もうとした

 

 

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

 

 私は

 

 

 

 

後ろからグッと

服の裾を引っ張られました

 

 

 

 

 

 

ドキッ

 

 

 

 

 

として立ち止まった私が

感じていたのは

 

 

 

 

 

 

祖父の匂いでした

 

 

 

 

 

続く・・・

 

 

 

 

次のエピソードはこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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